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目次
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第一話
先日、予告していた新シリーズです!
「呪われた"赤魔女"!!お前との婚約は破棄だ!!」
そう、言い放つ私の愛する人━━━━━。
その傍らにいるのは、彼の愛する人━━━━。
ああ、めまいがする。
ボーン…ボーン…。
古い時計が夕方の5時をさす。
━━━━赤き血を持って ことわりを覆せ
ああ、なんて心地よい言葉…。私はこの言葉を知っている。
━━━━この血にかけて、お前を呪う。
そう、かつての私が言い放った言葉。
真っ赤に燃える赤髪に、深く澄んだ青い瞳。
かつての私の姿が思い浮かぶ。
━━━━我が名は、ラシェル・ラ・プリム!
"鮮血の赤魔女"
今やそう呼ばれる、歴史に残る大魔女にして、私のかつての姿。そう、前世である。
---
「何度も言わせる気か!ルミナーレ・リ・ラプア!お前との婚約を破棄する!!」
私の婚約者、ラゼストロ・セルビオスの言葉によって、一気に現実に引き戻される。
「婚約、破棄でございますか?何故?」
本心からの言葉だった。どうやらそれがラゼストロ様の癇に障ったようで。
「何故、…だと?とぼけるな、お前はこちらのご令嬢に悪質ないじめをしていた!」
…何を言っているの?心から、そう思う。
というか、どちら様で?
「ああ、ラゼストロ様…そんな私のために…。ルミナーレ様を責めないでさしあげて…?」
「ああ、なんと寛容な心の持ち主なんだ!ベディア…!」
…はあ━━━━?私をさし置いてなんなのこの人たちは━━━━━?
━━赤き血を持って ことわりを覆せ
絡みつく糸は 抗う者を縛り付ける
|遍《あまね》く針の向く先は |心《しん》を貫き全てを暴く
また、聞き馴染みのある言葉が聞こえた。
全身の血が燃えるように熱い。
不思議な感覚だ。
「なっ…!目が、光っているぞ!!赤魔女に呪われる…!」
目が光って、いるの……?
唐突に、誰かに引き寄せられた。
「ラゼストロ・セルビオス、話はそれで終わりか?…呪いなどと、馬鹿馬鹿しい」
え…?
「こんなに美しいのに…。ルミナーレ・リ・ラプア、俺と結婚してくれ」
…なんだか懐かしい気持ちになる。
「お、お前…!!な、何者だ!」
ラゼストロ様の言葉を嘲笑うように、その御仁は言った。
「失礼、申し遅れた。俺の名は、アルベルト・オ・リアヌール」
その名は、冷徹無慈悲と噂される"青の公爵"の名だった。
---
何故こうなったのか、いまだに理解できていない。
「なんていうか、怒涛の1日だったな…」
婚約破棄されるわ、前世思い出すわ、今度は婚約申し込まれるわ…。
結局、私は"青の公爵"との結婚を引き受けた。
なぜだか、私は彼を"知っている"気がしたから。もしかしたら、私の前世に関わった人なのかもしれない。
新シリーズ
「勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵」
始まりました!!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第二話
***ある歴史学者の手記 〜鮮血の赤魔女〜***
* これより記すは全て事実のことにあり。全て私が実際に見たものである。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十の日《とおのひ》〉*
* "鮮血の赤魔女"の討伐に我が国アストラネオスの勇者様が向かわれた。** 私は戦場には出ないが、この大規模討伐を国の歴史に残すよう王命があるため同行している。*
* しかし、"鮮血の赤魔女"の赤魔法はとんでもない威力を持っているらしい。*
* なんと末恐ろしいものか。** 今や討伐対象になっているが、もとは味方だったらしい。*
* "己の血をも使って敵を貫く"。** 文字通り"鮮血の赤魔女"は自らの血を使って攻撃をする。*
* 真っ赤な血の糸で標的を縛り付け、|遍《あまね》く針で貫く。*
* まるで、「裁縫をしているようだ」とその戦場に立っていた兵士は言っていた。*
* 己のものかも標的のものかも分からない血を軍服につけ、戦場に立つ姿から"鮮血の赤魔女"という異名がついたそうな。*
* そんな最強とも|謳《うた》われる赤魔女を討伐できるのか。*
* いや、そんなことを言っていては勇者様に失礼だ。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十四の日《じゅうしのひ》〉*
* ついに「魔女の巣窟」に到着した。*
* ━━━━━━━━の勇者様━━━━━順━に━━━━を━━━━━━━━。*
* ━━━━━━━━━━━━が倒れた。*
"青の公爵"に結婚を申し込まれた日の夜。
パサリ、と古い紙をめくる。自室のランプに照らされたそれ。
私は、ご先祖が残したある手記を読んでいた。
「…はあ。文字がかすれているわ。それに、
………………そのあとのページが破られてる」
私の前世"鮮血の赤魔女"について知りたかったのだけれど。
私の前世の記憶はまだ戻っていない。
ただ…この勇者というのは覚えている、気がする。