公開中
紅い月の下、紅い思い
現世よりもっと深い、誰も知らない世界があった。
--- 吸血鬼の国・ヴァイパー。 ---
「ねぇ、ヴァルン」
「何ですか、お嬢様」
「・・・もう。その呼び方嫌っていったでしょ!名前で呼んでよ。ヌヴァルって」
「・・・じゃあ、ヌヴァルお嬢様は?」
「お嬢様は嫌!」
「だけど、僕は執事。貴方はこの町のお姫様だ。執事が雇い主の身内を名前だけでは呼べません」
執事であるヴァルンは、困り果てた。
「私堅苦しいのは嫌いなの!ねぇ、もしお父様に怒られたら私が弁明するから!」
ヴァイパーにある、この町の持ち主、良家のお嬢様であるヌヴァルは、不服そうに頬を膨らませた。
「弁明する前に、僕が首を切られますよ。物理的に」
「・・・血は好きだけど、血まみれのヴァルンは見たくない・・・」
「でしょう?なら、我慢してください」
「はぁい・・・」
---
ある日2人は、屋上にいた。
通常は、ヌヴァルは危ない所に行ってはいけない決まりなのだが、2人は父親の目をかいくぐり、よく屋根に登っていた。
今日は9月の15夜。日本でいう月見の日だった。
地下の月は現世の月とリンクしており、地下の月もいつも以上に輝いていた。
「ねぇ、ヴァルン。なんで私達の世界の月は黄色じゃなくて紅いと思う?」
「・・・僕らが住む世界の月は、偽物だから。地理の勉強で習ったでしょう」
「もう!ロマンがないわね!」
昔は、吸血鬼も地上で暮らしていた。しかし、人間との闘いに敗れ、吸血鬼は地下に追いやられたのだ。しかし、吸血鬼は月をとても愛していた。
なので、《《地下に偽の月を作った》》。
「確かにそうだけど・・・でも、もしかしたらあの中にはとっても美味しい血がいっぱいあるとしたら?」
「・・・ファンタジーな思考回路ですね。それでよくテストで満点とれますね」
「うるさい!ファンタジーでいいじゃない!テストの点に影響はないのだから!」
ヌヴァルはそっぽを向いたが、ヴァルンは知らんぷりしていた。
「・・・ヴァルン」
「なんです?」
「月が綺麗ですね」
「・・・突然なに言い出すんですか」
「・・・あんたは夏目漱石知らないのね」
「・・・知ってますよ。ニホンって所の作家でしょ?」
ヌヴァルは呆れた。でも、ヌヴァルの心には熱い決意が生まれた。
この恋に、いつか絶対気づかせてやる。と。
というわけで、リクエストいただいたので書きました!これ実は私が小学生の時に思いついた奴をリメイクした奴なんですよ!
最初お題を見た時、「あ、あの子たちを使おう!」って思って。それで今回このようなお話になりました!
楽しんでくれたら嬉しいです!
そしてリクエストありがとうございます!