公開中
第五話 思い出せない記憶
**第五話 思い出せない記憶**
森から戻った夜。
誰も眠れなかった。
リビング。
珍しく全員が起きている。
🦍「結局誰なんだろう」
ドズルが天井を見上げる。
🍆「前世を知ってたね」
🍌「それどころじゃない」
🐷「俺達を知りすぎている」
その通りだった。
役職。
過去。
戦い方。
全部知っていた。
まるで。
ずっと見ていたかのように。
⛄️「でもさ」
おらふくんが考え込む。
⛄️「声に聞き覚えあったよね?」
静かになる。
全員感じていた。
確かに知っている。
だが。
思い出せない。
あと少し。
本当にあと少しなのに。
霧がかかったように思い出せなかった。
🐰「前世の知り合いかな」
🍆「可能性はあるね」
🍌「敵か味方かも分からん」
🐷「少なくとも友好的ではない」
異論はなかった。
あの魔物をけしかけた時点で、
警戒対象だ。
**翌日**
六人は前世について話し合っていた。
記憶の整理。
思い出せていない人物はいないか。
確認のためだった。
🦍「勇者パーティー以外で?」
🍆「関わった人達かな」
🐰「王様とか」
🍌「騎士団長」
⛄️「村の人達」
🐷「敵もいる」
次々に名前を挙げる。
しかし。
黒ローブに結びつく人物はいない。
**その時**
🐰「あ」
みんながきなこを見る。
🐰「一人だけいる」
🍌「誰だ」
🐰「名前思い出せない」
全員 「は?」
🐰「ほら」
🐰「前世で会ったことある気がするんだけど」
🐰「思い出せない人」
🍆「そんな人いた?」
🐰「いた気がする」
気がする。
それが問題だった。
記憶が曖昧。
顔も。
名前も。
声も。
思い出せない。
なのに。
なぜか引っ掛かる。
**その夜**
きなこは夢を見た。
暗い廊下。
石造りの城。
前世の記憶。
誰かがいる。
目の前に。
しかし顔が見えない。
黒い靄がかかっている。
「大丈夫だよ」
誰かが言った。
優しい声。
聞き覚えがある。
だが。
そこで夢は途切れた。
🐰「っ!」
目が覚める。
夜中だった。
静かな部屋。
心臓だけが早く動いている。
🐰「誰だったんだろう」
分からない。
だが。
一つだけ確かなことがあった。
あの声は。
敵の声ではなかった。
同じ頃。
森の奥。
黒ローブの男が空を見上げていた。
月明かりが差し込む。
静かな夜。
「思い出し始めたか」
誰に言うでもなく呟く。
その手には、
古びた小さなペンダントが握られていた。
傷だらけの銀色。
長い年月を感じさせる。
男はそれを見つめる。
そして。
「もう少しだ」
どこか寂しそうに笑った。
その表情を知る者は、
誰もいなかった。