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第六話 欠けた記憶
**第六話 欠けた記憶**
朝。
🐰「......」
きなこは少し寝不足だった。
昨夜の夢が頭から離れない。
誰かと話していた。
優しい声だった。
だけど。
顔も名前も思い出せない。
🍆「大丈夫?」
朝食中。
ぼんさんが声をかける。
🐰「うん」
少し悩んでから続ける。
🐰「また夢見た」
全員の視線が集まった。
🍌「黒ローブか?」
🐰「違う」
🐷「じゃあ誰だ」
🐰「分からない」
それが問題だった。
🐰「知らない人なんだけど」
🐰「知らない気がしないんだよね」
🦍「難しいなそれ」
⛄️「夢あるあるだ!」
🍆「でも最近そういう話が多いね」
確かにそうだった。
黒ローブの男が現れてから。
思い出せない記憶が増えている。
まるで。
忘れていた何かが、
少しずつ浮かび上がっているように。
**その日**
六人は再び図書館を訪れていた。
前世について調べるためだ。
🍌「本当に何か残ってるのか?」
🐷「期待するだけ無駄だろ」
🐰「そんなこと言わない」
言いながら、
きなこは本棚を見上げる。
古い本。
古い記録。
長い年月の中で埋もれた歴史。
その中に答えがある気がした。
しばらくして。
⛄️「あ!」
おらふくんが声を上げる。
手にしていたのは、
かなり古い日誌だった。
表紙は擦り切れている。
文字もほとんど読めない。
🍆「何か見つかった?」
⛄️「これ!」
全員が集まる。
日誌には旅人の記録が書かれていた。
『勇者達の一行に出会った』
その一文から始まっている。
ページをめくる。
『勇者は誰よりも優しかった』
🐰「前世のぼくだね」
🍌「自分で言うか」
さらに読む。
『格闘家は賑やかだった』
🦍「ぼくだ!」
全員 「だろうね」
即答だった。
『剣士は仲間を守っていた』
🍆「懐かしいねぇ」
『神官は困っている人を放っておけなかった』
⛄️「うわぁ......」
少し照れていた。
『弓使いは遠くを見ていた』
🍌「俺か」
『シーフは愛想が悪かった』
🐷「誰がだ」
全員 「お前だ」
反論できなかった。
みんな少し笑う。
だが。
次のページで空気が変わった。
そこには。
『六人の近くには、いつも一人の少年がいた』
と書かれていた。
全員が黙る。
🦍「少年?」
🍆「いたっけ?」
⛄️「覚えてない」
🍌「......」
誰も思い出せない。
さらにページをめくる。
『勇者とよく話していた』
その瞬間。
🐰「!」
胸がざわつく。
夢の声。
聞き覚えのある声。
優しい言葉。
何かが繋がりそうになる。
けれど。
思い出せない。
あと少しなのに。
届かない。
『少年はよく笑っていた』
『誰よりも勇者を信じていた』
『いつも後ろから旅を見守っていた』
そこまで読んだところで。
日誌は終わっていた。
最後のページが破れていたのだ。
🐰「そんな......」
思わず声が漏れる。
重要な部分だけが。
消えていた。
**帰り道**
夕焼けが空を染めていた。
六人は並んで歩く。
だけど今日は少し静かだった。
みんな考えていた。
『少年』のことを。
もし本当にいたのなら。
なぜ誰も覚えていないのか。
その頃。
森の奥。
黒ローブの男は木にもたれていた。
手には古びたペンダント。
傷だらけの銀色だった。
男はそれを見つめる。
「そこまで辿り着いたか」
静かな声。
怒りもない。
憎しみもない。
ただ。
少しだけ寂しそうだった。
そして空を見上げる。
「思い出してくれ」
誰に向けた言葉なのか。
夕暮れの森に溶けていく。
男は目を閉じる。
かつて交わした約束を思い出すように。
風だけが静かに吹いていた。