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蒼色ストライクス 9話「いろんな意味で、忘れられない」
夕食を終え、各自が部屋に戻り始める時間。
朝の“通話事件”のおかげで、麻成と光希のことは寮中の笑い話になっていた。
麻成はというと、疲れを理由にベッドへ倒れ込んでいた。
だけど——頭のどこかでは、ずっと光希のことがちらついている。
(あいつ……顔真っ赤だったよな)
思い出すとこっちまで熱くなる。
すると、枕元に置いたスマホが震えた。
画面には——
『金渕』
と下に書かれた文字に、光希のグローブが写ったアイコン。
麻成の心臓が、跳ねた。
急いで通話ボタンを押す。
「もしもし、光希?」
『……麻成? 今、大丈夫?』
声が少しだけ弱くて、甘い。
昼間の明るい光希とは違う“夜の声”だった。
「大丈夫。どうした?」
少し沈黙があって——
光希は、息を呑むように言った。
『……今日も声、聞きたいなって思って』
麻成は言葉を失った。
(ずるい……そんなこと言われたら、断れねえよ)
「……いいよ。俺も聞きたかったし」
『……ほんと?』
「嘘つくわけないだろ」
スマホ越しなのに、光希の表情が思い浮かぶ。
きっと少し照れて、笑ってる。
『あのね……今日の朝のこと、まだ恥ずかしいんだけどさ』
「俺も」
『でも……それ以上に嬉しかった。
麻成が“違う!”って必死に否定してるの見て……
なんか守ってくれてるみたいで、ちょっと心があったかかった』
麻成は枕に顔を押し付け、声を抑えた。
(もうダメだ。ほんとに好きだ)
「……俺は、お前に恥かかせたくなかっただけだよ」
『ううん。麻成がそう思ってくれたことが嬉しいの』
光希の声は、まるで耳元で囁かれているように優しかった。
『ねえ麻成……今日も、寝るまで繋いでていい?』
「……ああ」
『ありがとう。……麻成、今日どんな一日だった? 聞かせてよ』
麻成は苦笑しながら、話し始めた。
「朝のせいで、チームメイトにめちゃくちゃ冷やかされたけどな」
『あっ、それ僕も……! でもね、それが全部イヤじゃなかった。
麻成と一緒だったからかな』
「……光希、お前ほんと……ずるいよ」
『ふふ、何が?』
「そんなふうに素直に言われたら……期待するだろ」
光希は小さく息をのんだ。
『……期待、していいよ』
「……え?」
『麻成になら、してほしい』
静まり返った夜に、その言葉がやさしく落ちる。
麻成の心臓は、手のひらでつかまれたみたいに鼓動が強くなった。
「光希……」
『ん……?』
「お前、俺をどうしたいんだよ」
『どうもしないよ。ただ……もっと近くにいてほしいだけ』
言葉が甘すぎて、息が止まりそうになる。
『麻成の声がね……落ち着くの。
だから今日も聞きたかったんだ』
麻成は天井を見つめながら、ため息のような笑みをこぼした。
「……俺もだよ。光希の声、もっと聞きたくなる」
『ほんと?』
「ほんと」
その後、二人は他愛ない話を続けた。
練習のこと、好きな食べ物、子どもの頃の話。
そして、眠気が落ちてくる頃——
光希が囁くように言った。
『麻成……おやすみ』
「おやすみ、光希」
通話は、切れなかった。
スマホ越しの静かな呼吸音が、まるで同じ部屋にいるみたいに心地よい。
——夜の声だけで、こんなに距離が縮まるなんて。
二人はもう、お互いに気づいていた。
“友達以上”のその気持ちに。
あとがき
全然関係ないけど、ゴルウィに推し活してきました!!!
推しの山本祐大のタオル、中川颯のキーホルダーをふたつ(違う種類)。
いい散財だよ………😏ニヤリ
推してるからって匂わせてるわけじゃないからね!
逆に無関係みたいなもんだからね!
逆に価値に差がありすぎてもはや近寄れん…