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目次
蒼色ストライクス 1話 「夕暮れ時の灯り」
夕暮れの横須賀スタジアム。
練習を終えた外野の芝生には、橙色の光が長い影を落としていた。
清水麻成はグラブを肩に引っ掛け、ダッグアウトへ帰ろうとしていた。
しかし、その背にふと声が追いかけてくる。
「麻成、ちょっとキャッチボール付き合ってくれない?」
振り返ると、金渕光希がボールを片手に立っていた。
汗で額に貼りついた前髪の奥の瞳は、夕陽を反射してきらりと光っている。
「まだやんのか。練習、さっき終わったばっかじゃん」
「うん。でも……もうちょっとだけ投げたいんだ。今日、フォームがしっくり来なくてさ」
光希は照れたように笑った。
その笑顔を見ると、麻成の胸の奥に小さな熱が灯る。
それを悟られたくなくて、麻成はわざとため息をついてみせた。
「しょうがないな。ほら、早く行くぞ」
二人は外野の端へ並び、距離をとって向き合った。
光希が投げたボールは、夕陽の中で美しい軌跡を描く。
麻成はそれを受けとめながら、ふと気づく。
——光希は、こんなにも真っすぐな目をしていたっけ。
何度も返して、何度も受け取って。
やがてボール越しに視線が重なったとき、光希が少しだけ声を落とした。
「麻成と投げると、落ち着くんだよ。なんでだろうね」
心臓が一瞬止まり、次の拍で跳ねた。
麻成は慌てて視線をそらし、ボールを握り直す。
「知らないよ……勝手に落ち着いてな」
強がった声とは裏腹に、指先が少し震えていた。
その震えを見透かしたように、光希は柔らかく笑う。
「ありがとう。……これからも、いっぱい投げてくれる?」
その問いは、ただの練習の約束以上の響きを持っていた。
麻成は小さく息を吸い、ゆっくりと頷いた。
「……ん。光希が言うなら、いつでも」
夕風が吹き、二人の距離をそっと揺らす。
グラウンドを包む橙色の光の中で、ボールが再び行き交う。
それはまるで、まだ名前のついていない想いを確かめ合うように——。
蒼色ストライクス 2話「春と雨雲」
三月の横浜スタジアム。
午後の練習が終わる頃、空には淡い雨雲が広がり始めていた。
清水麻成は、ブルペンの片隅でストレッチをしていた。
そこへ、少し息を弾ませた声が届く。
「麻成、今日も投げない? 雨が降る前にさ」
振り返ると、金渕光希がタオルを肩にかけながら立っていた。
髪先に汗が光り、その奥の瞳が期待と少しの不安を宿している。
「……またかよ。練習、さっきまでやってたじゃん」
「うん。でも、麻成と投げる時間は別腹」
さらりと言われて、麻成は不覚にも動きを止める。
別腹ってなんだよ、と言い返そうとして——言葉が喉の奥で消えた。
「……分かったよ。雨に濡れたら体育倉庫な」
「やった!」
光希は子どものように笑い、麻成の隣へ並ぶ。
その笑顔を見るたび胸の奥がざわめくのは、もう誤魔化しきれなかった。
二人は軽く準備運動をして、外野の芝生へ向かった。
雨粒がぽつりぽつりと落ちてくる。
「急ごうか、麻成」
「お前が誘ったんだろ……」
言いつつも、麻成の声はどこか柔らかくなる。
光希はそんな変化に気づいているのかいないのか、真っすぐな目でボールを構えた。
雨が強まり始めた頃、光希の投げたボールが麻成の胸元へ吸い込まれた。
捕った瞬間、光希が駆け寄ってくる。
「麻成、もう寮帰ろ。風邪ひいちゃう」
「……お前が言い出したんだけどな」
言葉では文句を言いながら、麻成は光希の腕を掴んだ。
雨の中、二人は並んで走り出す。
気づけば——光希の手が、そっと麻成の袖をつまんでいた。
麻成はその温度を、雨よりも鮮明に感じていた。
蒼色ストライクス 3話「濡れた服、揺れた心」
体育倉庫には薄い灯りが灯っていた。
金属の匂いと、少し湿った木の香りが混ざっている。
二人は濡れたジャージを軽く絞り、壁に寄りかかった。
「……寒くない?」
光希が先に口を開く。
「平気。お前は?」
「んー、ちょっと寒いかも」
光希は両腕を擦りながら小さく震える。
それを見た麻成は、気づけば自分のジャージを脱ぎ、光希の肩にかけていた。
「麻成……?」
「風邪ひかれたら困るから」
「困る……?」
麻成は返事ができなかった。
光希はジャージを握りながら、じっと麻成を見つめる。
「ねえ。麻成ってさ、時々すごく優しいよね」
「時々ってなんだよ。俺はいつも——」
言いかけて、照れ隠しに口を閉じる。
光希はふわっと笑った。
「分かってるよ。麻成のそういうところ、好きだなって思う」
胸の奥が跳ねた。
倉庫の薄い灯りが二人の影を重ねる。
「……お前、簡単にそういうこと言うなよ」
「簡単じゃないよ」
光希は少しだけ近づく。
距離が縮まるにつれて、麻成の鼓動が大きくなる。
「本当に思ってるから、言ってるんだよ」
麻成は視線を逸らせない。
光希の瞳に、自分が映っているのが分かる。
「麻成が投げたボール受けるとね、胸があったかくなるんだ。
一緒にいると、安心するし……ちょっと緊張もする」
「……緊張?」
「うん。だって——」
光希の声が、少しだけ震えた。
「麻成のこと、特別だって思ってるから」
倉庫の空気が変わった。
雨の音だけが遠くで響く。
麻成は一歩、光希に近づいた。
肩にかけていたジャージの隙間から、光希の温度が伝わる。
「光希……」
その名を呼んだ瞬間、光希の表情が柔らかくほどけた。
「麻成も……少しはそう思ってくれてる?」
麻成は迷わず頷いた。
「ずっと、言えなかったけど……俺も、お前のことが——」
言葉の先は、光希の笑顔に溶かされていった。
蒼色ストライクス 4話「雨上がりのやさしさ」
まえがき
久々の前書き。
ひいばぁちゃん入院になって看護師に名前間違えられて滅❣
雨が止んだ頃、二人は倉庫を出た。
外の空気は澄んでいて、夜のスタジアムはしんと静まり返っている。
「麻成、手……つないでもいい?」
光希が恐る恐る尋ねる。
麻成は少しだけ照れたが、そっと手を差し出した。
光希の手は温かい。
その温度が指先から心臓の奥へ流れ込む。
「これからも、ずっと一緒に投げよ」
光希の声は、春の風のように優しかった。
「……ん。いいよ?」
二人の影が重なり、夜のグラウンドへ伸びていく。
手をつないだまま歩くふたりは、今までよりも自然で、どこか嬉しそうだった。
もう、このまま、
麻成のものになりたい。
光希のものになりたい。
——横浜に春が来る頃、
二人の関係は確かに、そっと動き始めていた。
あとがき
今冬だけど春の話なのよ……
coco☆bayの日常の話載せる部屋作ろうと思ってるんだけど
A.つくって〜!!!
B.そんなもんいらんわ。ボゲェ
どっちがいいかコメントしてくれると嬉しいです!
忙しければコメントしなくても大丈夫なんだ!(*^○^*)
蒼色ストライクス 5話「おぼろ月夜と静かな瞬間」
春の夜、寮の屋上。
練習後のクールダウンを終えた麻成は、寮を出た目と鼻の先にある自販機で買ったスポーツドリンクを片手に階段を上っていた。
ドアを開けると、そこには月明かりの中でストレッチをしている光希の姿があった。
「麻成!」
振り返った瞬間の笑顔。
それは麻成が密かに“ずるい”と思っている光希の武器だった。
「こんなところで何してんの」
「風が気持ちよくてさ。……麻成も、来ると思ってた」
「なんでだよ」
「うん、なんとなく。麻成って、疲れた時ほど風に当たりたくなるタイプでしょ?」
図星だった。
麻成は少しだけ視線をそらしながら、光希の隣に腰を下ろした。
「……お前、俺のこと見すぎ」
「見てるよ? だって、気になるもん」
光希はさらりと、まっすぐな言葉を投げてくる。
その度に麻成の心は不意打ちを食らう。
沈黙が訪れる。
風が吹き、光希の髪が揺れた。
ふいに光希が、麻成の肩にそっと頭を置いた。
「……ちょ、光希?」
「ダメ?」
「いや、ダメじゃないけど……」
麻成は硬直した。
光希の髪がかすかに触れて、くすぐったい。
「麻成の肩って落ち着くんだよね。ボール投げるときの姿勢も、呼吸も……全部知ってる感じがして」
「……知ってるのは、光希だろ。ずっと受けてくれてるんだから」
光希の肩が小さく揺れた。
笑っているのが分かった。
「ねえ、麻成。もっと近くにいていい?」
その声は、風に溶けるような甘さだった。
麻成は返事をせず、代わりにゆっくりと光希の頭を自分の肩へ預け直した。
自然に、二人の距離が縮まる。
肩と肩が触れ、体温が伝わる。
光希が小さな声でつぶやく。
「……これ、すごく幸せ」
麻成は胸の奥が熱くなるのを感じながら、そっと答えた。
「俺も。……ずっと、こうしてたい」
その言葉を聞いた光希は、安心したように目を閉じた。
二人だけの静かな夜。
月明かりが、まるで二人を包むように優しく照らしていた。
あとがき
短編カフェのユーザーの皆さん、短編カフェ、タブレット、そしてBL…………
みなさん、良いお年を。
蒼色ストライクス 6話「知らない気持ち」
まえがき
みんな
あけおめことよろ
翌日。
二人は早朝練習のため誰もいないグラウンドへ出ていた。
キャッチボールをしていると、光希が急に手を止める。
「麻成、昨日のことなんだけどさ」
麻成の心臓がわずかに跳ねる。
“昨日のこと”といえば、あの屋上の……。
「なんか、ずっとドキドキしてる。昨日のまま気持ちが戻らなくて」
光希は胸を押さえ、困ったように笑った。
「……俺もだよ」
「え?」
麻成はグラブを外し、光希に歩み寄った。
「光希のこと考えると、ずっと胸がざわざわして……苦しいくらい嬉しくなる。昨日だけじゃない。ずっと前からだった」
光希の瞳が大きく揺れた。
「麻成……そんな……」
麻成は一歩近づき、光希の手首をそっと取った。
手袋越しでも体温が分かる。
「俺、お前のこと……本当に大切に思ってる。投げる時も、会話してる時も、屋上で肩貸した時も……全部、嬉しかった」
光希の頬がゆっくり赤く染まっていく。
「麻成……そんな顔で言われたら……好きになっちゃうよ」
「……もう、なってると思ってた」
麻成が微笑むと、光希は視線を落とし、そして——小さく笑った。
「うん。もうとっくに、麻成が好きだよ」
二人の間の空気が甘く満ちていく。
光希がそっと麻成の胸に額を押し当てた。
麻成は驚きながらも、光希の背中に手を添える。
心臓が触れ合うように近かった。
「麻成……もう少しだけ、このままでいていい?」
「いいよ。いくらでも」
春の風が吹き抜ける。
グラウンドの真ん中で、チームメイトも観客もいない世界で——
二人はそっと寄り添った。
それは恋と呼ぶにはまだ照れくさいけれど、
もう後戻りはできないほど甘い時間だった。
蒼色ストライクス 8話「ないしょ電話」
朝の寮は、まだ眠りの余韻を残していた。
遠くから聞こえる鳥の声と、誰かがシャワーを浴びる音。
麻成は、まぶたの重さを感じながらゆっくり目を開けた。
枕元では、スマホの画面が薄く光っている。
通話時間 —— 6時間42分。
「……え?」
慌ててスマホを耳に近づけると、小さな寝息が聞こえた。
——光希だ。
昨夜、電話を切らずに寝落ちしたのだとようやく思い出す。
「おい……起きろよ……」
小声で呼ぶと、反対側からくぐもった声。
『ん……あさ……?』
寝起きの光希の声は妙に柔らかくて、麻成は一瞬固まってしまう。
「通話……まだ繋がってる」
『……え? あ、ほんとだ……っ!』
光希の声が急に跳ね上がる。
『うわああっ、寝落ちしてた!? ご、ごめん! 切るの忘れて……!』
「俺もだから。お互い様」
麻成は苦笑しつつも、胸の奥がほのかに温かかった。
——なんだよこれ。
まるで、恋人みたいじゃんか。
そんなことを考えていると——
ドンドン!!
突然ドアが激しく叩かれた。
「清水ー! 朝練行くぞー!」
チームメイトの声だ。
麻成は飛び上がる。
「やばっ……!」
光希も慌てて声を潜める。
『麻成!スピーカーにしないでね!? 絶対だよ!?』
「するわけねぇだろ!」
慌てて通話を切ろうとした——が。
ドアがガチャッと開いた。
「あれ麻成、起きて……って、あれ? 誰と電話してんの?」
入ってきたのは同部屋のチームメイト、小笠原蒼。
麻成は反射的に布団にスマホを押し込んだ。
「蒼!?別に誰でも……!」
だが、スマホからは容赦なく声が漏れる。
『麻成!? 切らないの!? どうしよ!?』
「……え、女子?笑」
「ちがうって!!」
蒼はニヤリと笑い、怪しむようにスマホを見る。
「寝起きの優しい声で話してたよね…?麻成そんな声出せたんだ?」
「違うって言ってるだろ!」
だが、スマホの向こうの光希もパニックだ。
『ま、麻成!僕の声、聞こえてない!?ねぇ、麻成っ!』
その声が聞こえた瞬間——
蒼は固まった。
そして。
麻成を見る。
「……ねぇ。今のって……金渕くん、だよね」
「……っ!!」
麻成の顔が一瞬で真っ赤になる。
蒼はニヤァァ……と悪魔の笑みを浮かべた。
「まさか〜〜〜?あの二人、最近仲良いと思ってたんだよ〜。
寝起き電話かぁ……しかも切り忘れ?」
「違うって!!ほんとに違うから!!」
そこへタイミング悪く、廊下から明るい声が飛び込んできた。
「麻成ー!朝練行くよー!」
光希の声だった。
蒼の耳まで赤くなる。
「……生声きた」
麻成は頭を抱える。
部屋の前まで来た光希は、勢いよく扉を開けた。
「麻成、おはよ——」
だけどそこでぴたりと止まった。
蒼と麻成の険悪な(?)視線の間に挟まれ、光希の頬がみるみる赤くなる。
「……もしかして……聞こえちゃいました……?」
「うん、ばっちり。ごめんねー⋯。」
「ぎゃー!!」
部屋じゅうが混乱に包まれ、麻成は頭を抱えながら叫んだ。
「だから違うって言ってんだろー!!」
蒼は肩を震わせながら笑っていた。
「いや〜、朝っぱらから良いもん見れたわ。そのまま付き合っちゃえば?」
「「ち、ちが……っ!!」」
二人の声が見事にハモった。
廊下中に響き渡るその声に、他の選手もひょこひょこ顔を出す。
「なに? どうしたの?」
「清水と金渕が朝からめっちゃ仲良くしてたってさ〜〜」
「ちょっと!!やめてくれ!!」
光希は顔を覆い、麻成は布団でうずくまった。
そうして、
——二人の“通話つなぎっぱなし事件”は、瞬く間に寮全体の噂となった。
しかし。
麻成は気づいていた。
光希が真っ赤な顔でこちらを見たとき、
ほんの少しだけ嬉しそうに見えたことを。
そして光希も気づいていた。
麻成が噂を否定しながらも、
光希を守るみたいに前に立ってくれたことを。
——恥ずかしい朝だったけれど、
二人の距離は確かにまた一歩近づいていた。
あとがき
この前は書かなかったけど、
私の最推し、山本祐大選手が福岡にトレードされました。
本当にその時は泣いて、一瞬記憶が飛ぶくらい、信じられないことでした。
ゆーだい本人がこんな小説読んでるわけないけど、
この文章もきっと本人には届かないだろうけど、
ちゃんと神奈川の田舎から応援してるからね!!!
5月某日 coco☆bay
蒼色ストライクス 9話「いろんな意味で、忘れられない」
夕食を終え、各自が部屋に戻り始める時間。
朝の“通話事件”のおかげで、麻成と光希のことは寮中の笑い話になっていた。
麻成はというと、疲れを理由にベッドへ倒れ込んでいた。
だけど——頭のどこかでは、ずっと光希のことがちらついている。
(あいつ……顔真っ赤だったよな)
思い出すとこっちまで熱くなる。
すると、枕元に置いたスマホが震えた。
画面には——
『金渕』
と下に書かれた文字に、光希のグローブが写ったアイコン。
麻成の心臓が、跳ねた。
急いで通話ボタンを押す。
「もしもし、光希?」
『……麻成? 今、大丈夫?』
声が少しだけ弱くて、甘い。
昼間の明るい光希とは違う“夜の声”だった。
「大丈夫。どうした?」
少し沈黙があって——
光希は、息を呑むように言った。
『……今日も声、聞きたいなって思って』
麻成は言葉を失った。
(ずるい……そんなこと言われたら、断れねえよ)
「……いいよ。俺も聞きたかったし」
『……ほんと?』
「嘘つくわけないだろ」
スマホ越しなのに、光希の表情が思い浮かぶ。
きっと少し照れて、笑ってる。
『あのね……今日の朝のこと、まだ恥ずかしいんだけどさ』
「俺も」
『でも……それ以上に嬉しかった。
麻成が“違う!”って必死に否定してるの見て……
なんか守ってくれてるみたいで、ちょっと心があったかかった』
麻成は枕に顔を押し付け、声を抑えた。
(もうダメだ。ほんとに好きだ)
「……俺は、お前に恥かかせたくなかっただけだよ」
『ううん。麻成がそう思ってくれたことが嬉しいの』
光希の声は、まるで耳元で囁かれているように優しかった。
『ねえ麻成……今日も、寝るまで繋いでていい?』
「……ああ」
『ありがとう。……麻成、今日どんな一日だった? 聞かせてよ』
麻成は苦笑しながら、話し始めた。
「朝のせいで、チームメイトにめちゃくちゃ冷やかされたけどな」
『あっ、それ僕も……! でもね、それが全部イヤじゃなかった。
麻成と一緒だったからかな』
「……光希、お前ほんと……ずるいよ」
『ふふ、何が?』
「そんなふうに素直に言われたら……期待するだろ」
光希は小さく息をのんだ。
『……期待、していいよ』
「……え?」
『麻成になら、してほしい』
静まり返った夜に、その言葉がやさしく落ちる。
麻成の心臓は、手のひらでつかまれたみたいに鼓動が強くなった。
「光希……」
『ん……?』
「お前、俺をどうしたいんだよ」
『どうもしないよ。ただ……もっと近くにいてほしいだけ』
言葉が甘すぎて、息が止まりそうになる。
『麻成の声がね……落ち着くの。
だから今日も聞きたかったんだ』
麻成は天井を見つめながら、ため息のような笑みをこぼした。
「……俺もだよ。光希の声、もっと聞きたくなる」
『ほんと?』
「ほんと」
その後、二人は他愛ない話を続けた。
練習のこと、好きな食べ物、子どもの頃の話。
そして、眠気が落ちてくる頃——
光希が囁くように言った。
『麻成……おやすみ』
「おやすみ、光希」
通話は、切れなかった。
スマホ越しの静かな呼吸音が、まるで同じ部屋にいるみたいに心地よい。
——夜の声だけで、こんなに距離が縮まるなんて。
二人はもう、お互いに気づいていた。
“友達以上”のその気持ちに。
あとがき
全然関係ないけど、ゴルウィに推し活してきました!!!
推しの山本祐大のタオル、中川颯のキーホルダーをふたつ(違う種類)。
いい散財だよ………😏ニヤリ
推してるからって匂わせてるわけじゃないからね!
逆に無関係みたいなもんだからね!
逆に価値に差がありすぎてもはや近寄れん…
蒼色ストライクス 10話「朝の光の中で」
翌朝。
まだ外は薄い白色で、寮の中も静まり返っている。
麻成は、目覚めた瞬間——腕の中のスマホに目を落とした。
通話時間 7時間13分
「……またかよ」
昨日に続いて、今日も切る前に寝落ちしてしまったらしい。
耳を近づけると、かすかな寝息が聞こえる。
——光希の。
(……ほんと、こいつとだと油断するな)
けれど嫌じゃない。
むしろ、胸の奥がゆっくり温まっていく。
そっと名前を呼んでみる。
「光希……?」
『……ん……』
寝ぼけた声で返されて、麻成は反射的にスマホを胸に押し当てた。
(寝起きの声……反則だろ……)
もぞもぞと布団の中で悶えてから、麻成は深呼吸し——
「光希、起きろよ。朝練行くぞ」
と優しく声をかけた。
『……麻成……?』
「おはよ」
少しの沈黙のあと、光希がはっとした声を上げる。
『もしかしなくても……また繋がってた!?』
「うん。がっつり」
『やーーーだーーー!! 恥ずかしい!!』
布団をかぶって暴れるような気配が伝わってきて、麻成は思わず笑った。
「落ち着け。もう誰にも聞こえてねぇよ」
『でも……麻成に全部聞かれてたって思うと……』
「……全部聞けてよかったけど?」
光希が一瞬言葉を失う気配がした。
『……麻成、あの、その……朝からそんな……』
「何?」
『……なんでもないっ』
光希がいよいよ照れて黙り込んだので、麻成はベッドから起き上がった。
「ほら、準備遅いとまた噂にされるぞ。迎えに行くから着替えとけよ」
『え!? 迎えに!?』
「電話で起こしたの俺だし。行く」
『ま、麻成が来たら……今日一日ずっと意識しちゃうよ……』
「……それは俺もだよ」
光希の呼吸がひゅっと止まって、麻成は頬が熱くなるのを感じた。
「ほら、行くぞ。すぐ行くから」
『……うん、待ってる』
光希の声の“待ってる”が妙に柔らかくて、麻成はスマホを握りしめたまま部屋を飛び出した。
光希の部屋の前
コンコン、と優しいノックをする。
「光希、起きてる?」
扉の向こうから、少し緊張気味の返事が返る。
『……開いてるよ』
麻成がそっとドアを開けると——
光希が髪を直しながら立っていた。
いつも通りの朝なのに、
なんだか照れくさそうに目を伏せている。
「……おはよ、麻成」
「おはよ」
一瞬だけ視線が重なり、どちらともなくふっと笑い合った。
その笑顔には、
“昨夜ずっと一緒にいた”
という秘密の温度が宿っていた。
「行くか」
「うん。……ねぇ麻成」
「ん?」
光希は小声で続けた。
「今日も、一緒に練習しよ?」
麻成は心臓が跳ねるのを誤魔化しながら、自然な声で答えた。
「もちろん」
そして二人は並んで廊下を歩いた。
周りには誰もいない。
ただ、微妙に近い距離感だけが“昨日からの変化”を物語っていた。
——朝の静かな光の中で、
ふたりの距離はまた、ほんの少し近づいた。
あとがき
作り置きタイプが裏目に出ました……ごめんなさい!!
短編カフェで、 最近作った小説が後にきてしまう という仕組みのせいで7話が最新話扱いとなっております。
なのでお手数ですが、目次をタップして7話をチェックしていただけると嬉しいです。
coco☆bay
蒼色ストライクス 11話「恋愛中毒、なの?」
朝練が始まったグラウンドには、まだ朝露が残っていた。
そんな中、麻成と光希はいつものようにキャッチボールの準備をしていた——
はずなのだが。
「光希、近くね?」
「え? そう……かな?」
光希はグラブを持ったまま、ほぼ隣に立っていた。
距離感が完全に“特別扱い”になっている。
麻成は苦笑しながら一歩下がる。
「せめてあと半歩。練習にならねぇよ」
「……あ、うん。でもさ、なんか……麻成の顔見てると近づいちゃう」
「練習中だっての」
小声で言いつつ、耳が熱くなる。
光希は無自覚なのか、意識しているのか……どっちだよ。
二人がボールを投げ始めると、周りの選手たちがちらちら視線を寄越しはじめた。
「おい……なんか今日距離近くね?」
「というか距離近いっていうか……もはや並んで歩いてきたしな」
「やっぱり付き合って——」
「しーーーっ!!!」
麻成はボールを捕り損ねそうになりながら、慌てて声を潜めた。
(……だから噂が消えないんだよ!!)
光希はと言えば、全く気づいていないのか——
いや、むしろいつもより静かに笑っている。
「麻成、ストレートいいね。昨日話してた力の抜き方、できてる」
「……近い近い近い!!」
光希が褒めるたび、気づけば距離が詰まっていく。
いつの間にか、キャッチボールの距離じゃない。
「おい金渕! そこで話すな、離れろ! ボール飛んでくぞ!」
コーチの怒号に、光希がびくっと肩を震わせる。
「ご、ごめんなさい!」
麻成は苦笑しながら光希の肩を引いて離れた。
「ほら、やっぱ近すぎるんだよ」
「……そうかも。麻成がいると、つい安心しちゃうんだ」
「練習中くらい緊張しろよ……」
とは言いながら、そんなふうに素直に言われると心臓がもたない。
近くで見る光希の横顔は、どこか嬉しそうで。
(……やべぇ、絶対顔赤い)
隣から聞こえる光希の小声が追い打ちをかける。
「麻成……今日、僕の方見すぎじゃない……?」
「お前が近いからだよ!!」
「えへへ……」
なぜか照れるのは光希なのに、落ち着かないのは麻成のほうだった。
その様子を、見ている者がいた。
内野でノックを受けていた小笠原蒼がニヤァァと笑い、
「おいー麻成、金渕〜。距離近いー。お前ら今日、キャッチボールじゃなくて“デート”でもしてんのか?」
「してねぇ!!」
「……っ! し、してないよ!!」
二人揃って否定した瞬間、さらに周囲の視線が集まってしまう。
内野手たちがひそひそ話し始めた。
「また通話つなぎっぱなしだったってマジ?」
「え、なんで知ってるの?」
「そりゃ清水が慌てて廊下走ってたの見たらな~」
麻成は頭を抱えた。
(……広まるの早すぎだろ……!!)
光希はというと、真っ赤になりながら麻成の袖を小さくつまんだ。
「……麻成。ごめん、僕のせいで……」
「お前のせいじゃねぇよ。気にすんな」
そう言いながら、袖をそっと振りほどく代わりに——
光希の背中を軽く押して前に出した。
(……守るって決めたんだ。噂くらいどうってことねぇ)
優しい力加減だったが、光希はびくっとして振り向いた。
ほんの一瞬だけ目が合う。
そのまま——
二人は自然と笑い合った。
周りの視線なんて一瞬忘れてしまうくらいに。
そして、練習後。
光希は思い切ったように近づき、そっと囁いた。
「麻成……今日、帰り……二人で歩いて帰らない?」
「……いいよ」
もう隠しきれない。
二人の距離は、確実に“友達以上”へ向かっていた。
蒼色ストライクス 12話「お互い、想い合い」
練習を終えた夕方。
麻成と光希は、自然と並んで寮へ向かう道を歩いていた。
夕風は暖かく、港の方に向かうほど潮の匂いが強くなる。
周囲には誰もいない。
二人の靴音だけが、静かな道に響いていた。
「麻成……今日、ちょっと寄り道していい?」
光希が小さな声で言う。
「どこ行くんだ?」
「……港の方。少しだけでいいから」
麻成は頷くと、光希の後ろ姿を追った。
やがて二人はみなとみらいを見渡せる小さな展望スポットへたどり着いた。
海面に光る街灯の反射。
風に揺れるライト。
人の少ない静かな場所。
光希は手すりに両手を置いて、深呼吸した。
「ここ……僕、昔から好きなんだ。落ち着くから」
麻成も隣に立つ。
「分かるよ。いい場所だな」
「うん。……麻成と来ると、もっといい」
その言葉に胸が高鳴った。
沈黙。
だけど、居心地のいい沈黙だった。
光希はゆっくりと麻成のほうを振り返る。
月明かりが、光希の横顔をやわらかく照らした。
「麻成……」
「ん?」
光希の瞳は、揺れていた。
恐れているような、でも強く決めているような——そんな目。
「今日の練習……距離近すぎって言われたけど、あれ、無意識じゃなかったんだ」
「……え?」
光希は視線を落とし、ぎゅっと手すりを握る。
「麻成のこと見てると……近くにいたくなる。声聞きたいし、触れたくなるし……一緒にいるだけで落ち着く。でも、それって“仲のいい友だち”だから……って思ってた」
風が吹き、光希の髪が揺れた。
光希は小さく息を吸う。
「でも違う。麻成だから、こうなるんだ。麻成だから……こんなに胸がいっぱいになるんだよ」
麻成は返事ができなかった。
心臓が早すぎる。
光希は、震える声で続ける。
「朝の電話だって……ほんとは嬉しかった。気づいたら声聞いてたいって思って……寝落ちしても起きても麻成の声で、安心して……」
そして——静かに顔を上げた。
「麻成。僕……麻成のこと、大好き」
その言葉は夜の海より静かで、どんな波よりも強く麻成の胸に届いた。
麻成はゆっくりと息を吐き、光希の正面に立った。
「……光希」
光希がびくっと肩を震わせ、まっすぐ麻成の瞳を見つめる。
麻成はいつになく真剣な表情で言った。
「俺も……好きだよ、光希が」
光希の目が潤んだように見えた。
「最初は分かんなかった。でも……光希の声聞くと落ち着くし、近づかれると嬉しくて……だから、誰かに冷やかされるとムカつくし……気づいたら、光希のことばっか考えてた」
光希の唇が揺れる。
「麻成……」
麻成は、一歩近づいた。
「友だちとかじゃなくて……俺はもう、光希のことが〝特別〟なんだよ」
光希は顔を覆いそうになって、でもこらえて——
そっと麻成の胸に手を置いた。
「……こんなの、泣いちゃうよ」
「泣くなよ」
「だって……嬉しいから」
麻成は光希の手を、自分の手で包んだ。
それはまだぎこちない、でも確かな触れ合い。
「光希。これから……ずっと隣にいてほしい。俺の、特別な人でいてほしい」
光希の瞳から涙が一粒こぼれた。
それなのに、その顔はこの夜のどんな灯りよりも明るかった。
「……うん。僕も、麻成の隣にいたい。ずっと、これからも」
二人はそっと微笑み合い、風が優しく吹き抜けた。
世界が二人だけになったような夜。
港の灯りが揺れ、
どこかで小さな波がきらめく。
——こうして、
2人は“恋人”と呼べる関係へ、静かに踏み出した。
蒼色ストライクス 13話「察した蒼い風」
翌朝の寮。
麻成と光希は、互いに少し照れながらも自然に挨拶を交わす。
「おはよ、光希」
「おはよ、麻成」
声のトーンは昨日より少しだけ柔らかく、どこか甘く響く。
二人とも無意識に目が合い、目を逸らしてはまたチラッと見てしまう。
——すでに周囲には異変が伝わり始めていた。
上野と他の部屋の仲間たちが、廊下の端でひそひそ声を交わす。
「今日のまなとくん、なんか違くない?」
「光希も……昨日と雰囲気が違う気がする」
「朝からずっとニヤニヤしてやがる」
麻成と光希は、わずかに距離を空けつつも、歩幅やペースが自然にそろう。
ただの友達ではありえない“呼吸の合わせ方”だ。
蒼はすぐに察した。
「こ、これは……やっぱ昨日の件、ただの偶然じゃねぇな……?」
麻成は、ふと後ろからの視線に気づき、ちらりと仲間を見る。
すると光希も同じ方向を見て、思わず頬を赤くした。
「……ちょ、なんか見られてる?」
「……え、見られてる……」
小声でお互いを確認する二人。
顔を見合わせると、自然に笑いがこぼれる。
その笑顔は、昨夜の港で交わした約束の余韻そのものだった。
練習中も、なんとなく距離感が近い。
ボールを受け渡すタイミングや、声の掛け方。
小さな仕草すべてが、互いを意識しているのを示していた。
「おい、清水麻成、金渕」
コーチの声が飛ぶ。
二人は慌てて少し距離を取り、笑顔を作る。
「はいっ!」
「了解っ!」
周囲は心の中でニヤニヤ。
でも当人たちは、顔を赤くしながらも微妙に手を振るような仕草をしてしまう。
——その様子を見た小笠原蒼が小声でつぶやいた。
「……おらな。もう付き合ってんのよ、こいつら」
麻成も光希も必死で否定しようとするが、視線が合うたびに笑いが止まらない。
完全に“チームにバレそうでバレない微妙な距離感”になっていた。
蒼色ストライクス 14話「昼下がりの暖かさ」
昼休み。寮の食堂は賑やかだ。
麻成と光希は、自然と隣同士の席に座っていた。
「今日のご飯、めっちゃ美味しい!」
「ね、僕このお肉のやつ好き!」
光希は麻成の昼ごはんをちらりと覗き込み、つぶやいた。
「ねえ、ちょっと味見してもいい?」
「……え、いいけど」
光希が一口食べると、すぐに顔を上げ、にこっと笑う。
「うん、美味しい。麻成の選んだやつ、センスいいねっ」
「……ありがとう」
その距離、指先数センチ。
手が触れそうで、でも触れない微妙な空間に、周囲の目がちらちら集まる。
小笠原蒼と吉岡暖が背後から小声でつぶやく。
「…ほら、なぁ?やっぱり付き合ってるだろぉ?こいつら」
「でも、わざとらしくないのが余計ズルいっすね」
田内真翔も、何も言葉は発さないものの、唐揚げをほおばりながら「うんうん」とうなずく。
「………ね、はる。」
「ん、どーしたん、たなくん」
「今日…一緒に寝よ」
「えぇ、今から約束すんの、それ〜」
同学年同士がいちゃつき始め、蒼は「こっちもか」と、肩を落とす。
光希と麻成は、後ろのミーハートリオのくだりをまったく気にせず、昼食を食べながら小さな声で会話を続ける。
「昨日の通話……光希の声、ほんと落ち着くな」
「えへへ……麻成の声も、僕の癒しだよ」
麻成の頬が赤くなる。
光希は嬉しそうに笑って、また弁当に集中するふりをした。
休憩中の“見え隠れイチャイチャ”
昼食後、外で短い休憩時間。
ベンチに座る二人。距離は自然に近い。
光希が小さく手を伸ばす。
麻成は気づきつつ、手を軽く握り返す。
「……さっきの休憩、誰も気づいてないよな?」
「さすがに周りも分かってるだろ」
光希は頬を赤くして笑う。
「見え隠れしてるのが楽しいんだよね」
「……お前って、ずるいな」
二人のやり取りは自然で、でも甘い。
その距離感に、周囲のチームメイトはますますニヤニヤしまう。
あとがき
新キャラ2人登場しましたね。
吉岡暖(よしおか はる)選手と田内真翔(たない まなと)選手。
この2人はシーズンオフ、一緒にドバイに武者修行に行った仲でして。
(実は吉岡くん、栃木に派遣されているので現在は遠距離恋愛中…)
なんだかこの2人も怪しいような………?😏
次回もお楽しみに〜!
蒼色ストライクス 15話「好きなんだ」
球場の空気は緊張感で張りつめていた。
光希はピッチャーとしてマウンドに立ち、麻成は寮のテレビから光希を応援する。
試合は白熱していて、周囲の歓声も大きい。
光希は全力で投球する。チームの勝ちに、全てを捧げる。
――大好きな人のことも、頭に残らないほどに。
しかし、麻成は光希を意識していた。
もちろん麻成は、光希が自分のことを考えていないことなんて知っている。
麻成はちゃんと、光希が「集中するとその事にしか気持ちが行かなくなる」ことを知っていたからだ。
光希の一球。
**カァンッッッ**
「あっ、」
麻成は、その場に立ち尽くした。
すぐそこで起きていることなのに、
すごく、遠く感じた。
---
「あっ、光希。」
「まなと………」
「……今日、すっごいカッコよかったよ」
「…………っそんなことない。俺のせいで…っ…チームの勝ちが消えちゃった…」
光希は、自分を責めていく。
(まずい…っ)
「光希!!」
「……麻成……?」
「全然大丈夫だって!!前向きにいこーよっ」
「………うん…っ」
---
麻成って、ほんとすごいや。
打たれても、そんなにダメージを受けすぎないし、
制球も良いし、
何より性格も良い。
俺はそんな………
麻成のことを、
あとがき
この前、ファームの試合が小田原であったので行ってきました!!
そうしたら、まさかの入江大生(囲って検索してみて!)くんにファンサをいただく事態に…!!この日の先発は金渕光希くん!今年2回目!
悲しいことに雨がパラつく…
試合は負け☔
蒼色ストライクス 7話「さびしさを埋めるみたいに、ほら」
まえがき
お久しぶりです。サボりまくってました、すみません
5月の夕方の横須賀の街は、そういう時間帯なので薄暗く、でもうっすらと夕日に照らされて、風と一緒に、葉っぱのにおいが香った。
この日の試合は、光希が先発。
今日も今日とて、くたくたになって戻ってきた。
「あ、光希。お疲れ様、試合見てたよ」
「あぁ、ありがとぉ、まなと…」
「……めっちゃ疲れてない?だいじょぶ?」
「はりきって投げすぎた…あと、サイン書きまくってた。」
「あぁ〜…。出待ちに捕まっちゃったか。あそこ人多いもんね」
「うん…別に、嫌とは思ってないけどね。」
「疲れてんのに、ごくろーさま。」
麻成はやさしく、光希の頭をなでた。
そして、光希はゆっくり溶けていくかのように、麻成にもたれた。
「光希…っ」
「だめ?」
「だめ、じゃないけど……」
麻成は言葉を失った。
光希はニヤリと笑って、「お風呂いってくるー🎵」と言って出ていった。
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夜ご飯の後。
「まーなとっ」
「光希!どしたの」
「あ、あの、今日さ……」
光希は深呼吸して、伝えた。
**「今日の夜、麻成の声、聞きたい……っ麻成と、電話したい」**
あとがき
実はこの前、ベイスターズ(野球)の2軍の試合を横須賀に見に行きまして、
この小説にも登場している金渕光希選手にサインをいただきました!!!
この小説本人に知れ渡ったら大変なことになるぞ🙄