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#001 異世界転生のおやくそく【転生したらうさぎでした。】
沙月《さつうさぎ》
なんのことはない、普通の日々のはずだった。
私は|南丘《みなおか》|音恩《ねおん》。
取り立てておかしいことはない毎日を過ごしている高校1年生だ。
そりゃあ進路への不安とかはあるのだけれど、そんなことを考えても仕方がないと割り切って一日一日を過ごしていた。
朝起きたら、母におはようという。
父は今日は早い出勤で、私が起きたときにはすでにいなかった。
今日は少し寝坊してしまったようだ。
少し急ぎ目に行動しよう。
階段を降りて(私の部屋は2階にある。両親と私の3人暮らしだ)、洗面所に向かい、顔を洗う。
何も変わらない。いつも通りの毎日だ。
いろいろな支度を済ませたら、母親が朝ごはんを用意して待っていた。
「いただきます」
今やルーティンとなったその言葉。なぜか今日は嫌によく響いた。
ご飯を食べ終え、食器をキッチンへと運ぶ。
部屋に行き、スクールバッグを持つ。
階段を降りて、母に「いってきます」といって玄関のドアを開ける。
母が私に「いってらっしゃい」と返す。
ごく普通の、当たり前の日常だ。
―–当たり前だと、思っていた。
今になって、寝坊したことが響いてきた。
このままのペースだと、学校に間に合わない。
少し急ぎ足で学校に向かった。
しばらく歩く(人によっては走るというスピードだったかもしれない)と、信号が見えてきた。
色は、赤。
一度止まる事になり、時間をロスしてしまうが、今のところ間に合いそうだし、急ぐ必要はなくなった。
なくなった、はずだった。
気まぐれに、横断歩道を見た。
それが、私の運命を決めた。
横断歩道の白線が、擦れて見えづらくなっている。
そういえばこういうのって塗り直したりしないのかな――と思った矢先、「それ」が目に入った。
目に入ったのは、ウサギ。
この辺りの街は森に面しており、狐や鹿などが出没するのは日常茶飯事である。
ウサギはなかなか見ないが、しかしいることは珍しくはなかった。
だが、そのさきの風景を見て、私は目を見開く。
暴走したトラックが、こちらに向かって爆走してくる。
運転手は居眠りをしており、こちらに気づくとは考えにくい。
それだけなら、私は何もしなかった。
トラックの進行方向上に、私はいなかったからだ。
もちろんある程度は避けるが、まあこういうこともあるよな、という感じの認識だったのだ。
だが、私は気づいてしまった。
そのトラックの進行方向上に、ウサギが居ることに。
ウサギはトラックなど気にも止めずに、のんびりと歩いている。
私は、ウサギを見捨てることはできなかった。
自分のペットでもない。
何かの思い入れがあるわけでもない。
でも、目の前で一つの命が失われようとしているときに、見て見ぬ振りをすることは私にはできなかった。
私は道路に飛び出した。
ウサギを抱え、反対の歩道へと駆ける。
だが、あと一歩間に合わなかった。
私の体は暴走したトラックに撥ね飛ばされ、そこで私の意識は途絶えた。
ただ一つの心残りは、ウサギは無事なのか、ということと、母親との最後の会話が「いってきます」「いってらっしゃい」だったことだ。
まだ、いっぱい言いたいことがあったのに。
やりたいこともあったのに。
あ、ただ一つの心残りとかいってたのに二つあるじゃん――なんてどうでもいいことを考えながら、私の意識は闇に飲まれた。
目が覚めると、私は森の中にいた。
こころなしか、視線が低い気がする。
ここはどこだろう、、、そんなことを考えながら辺りを見回すと、横に私と同じくらいのサイズの大きなウサギがいた。
「うわっ!!」
思わずその場から飛び退く。
そして、辺りに3匹ほどの大きなウサギがいることに気がついた。
しかし、ウサギ達はなぜか幼く見える。
こんなに大きなウサギなのに、なぜだろうか?
すると、大きなウサギが話しかけてきた。
「どうしたの〜?」
「あそぼうよ〜」
意味がわからない。
なぜウサギが日本語を喋れるのだろうか?
思考を巡らせていると、私と、大きなウサギよりも2、3まわりほど大きなウサギが2匹も来た。
その圧倒的な存在感に、思わず固まってしまう。
しかし、私の周りのウサギ達はなんだか喜んでいる。
「おかあさんだ〜」
「おとうさんも〜」
「ごはんたべようよ〜」
おかあさん、、、?おとうさん、、、?
これは、、、もしかして、、、
「ほら、ネオンも食べなさい」
大きなウサギより大きなウサギがそう話しかけてくる。
、、、ネオンは私の名前だ。
そう、私はうさぎに転生してしまったのだ。
こんにちは、沙月です!
「転生したらうさぎでした」第一話、いかがでしたでしょうか?
これからも不定期に更新するのでよろしくお願いします!