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第3話:水色のカーディガンと、甘い嘘
『特別イベント①【セーフゾーンの縮小】。現在から10分後、ステージの外周エリアを順次強制消滅(デリート)させます。
――おっと、言い忘れていました。このゲーム、最後まで生き残って勝利した陣営のプレイヤーには、現実世界で**【賞金一億円】**が贈られます。
これ、まじだからね。さあ、命と金を賭けて、急いで中央のビル街へ集まりなさい』
GMの、あまりにもゲスで魅力的な追加アナウンスがサイバー都市の夜空に響き渡る。
「賞金、一億円……! まじ、なのか……!?」
ハヤトの喉がゴクリと鳴った。ただの恐怖だったデスゲームに、今度は「強欲」という名のガソリンが注がれたのだ。
周りのプレイヤーたちの目の色が変わるのが、遠目からでも分かった。
「あはは! 最高じゃん! 人間、金が絡んだ時が一番必死で面白いんだよねェ!」
隣で【愉快犯】の流星がケラケラと笑う。
その時、崩れたビルの路地裏から、タタタッと軽い足音が近づいてきた。
「あの……っ、すみません!」
現れたのは、一人の少女だった。
肩あたりまで伸びた綺麗な髪に、どこか幼さの残る可憐な顔立ち。
サイバー都市の殺伐とした風景にはおよそ似合わない、優しい水色のカーディガンとベージュのスカートを身にまとっている。
彼女――儚木まりかは、怯えたようにハヤトの服の袖をきゅっと掴んだ。
「私、怖くて……。ゲームが始まったら、急にみんなバラバラになっちゃって。もしよかったら、一緒に、こんなゲーム終わらせましょう……?」
潤んだ瞳でまっすぐに見つめられ、ハヤトの心臓がドクリと跳ねた。
彼女の頭上に浮かぶホログラムウィンドウには、確かに【基本陣営:泥棒】とだけ表示されている。
特殊役職の欄は、ハヤトと同じように空白――つまり【一般泥棒】の表示になっていた。
――よかった……僕と同じ、能力なしの一般泥棒だ。
この子を守って、一緒に中央へ行かないと!
「うん、一緒に行こう。僕はハヤト。こっちのチャラいのは流星。とにかくあと10分でここが消滅するんだ、急いで中央のビル街へ――」
「ちょっと待ったァ」
歩き出そうとしたハヤトの肩を、流星がひょいと掴んで引き止めた。
流星のオッドアイが、じっとまりかを見つめる。
「おっ! そこのかわい子ちゃん。オレと一億円獲りに行かない? って言いたいところだけどさー。あんた、さっきから『賞金』ってワードが出た瞬間だけ、一瞬だけさぁ……すっごいニヤついてなかった?」
流星の言葉に、ハヤトは息を呑んだ。
流星はナンパは失敗するが、ゲームの観察眼だけは異常に鋭い。
まりかは一瞬だけ目を見開いたが、すぐに悲しげに眉を下げて首を振った。
「そんな……ひどいです。私、本当に怖くて、必死なだけなのに……」
「あー、ごめんごめん! オレ、客引きとか詐欺師に間違えられるタイプだから、つい疑い深くなっちゃってさ。姐さん、怒らないでよぉ」
流星はいつもの軽い調子で頭をかいた。
「流星、女の子をいじめるなよ。時間が無いんだ、行くぞ!」
ハヤトはまりかを庇うようにして、迫り来る消滅ゾーンから逃れるため、中央のビル街へと走り出した。
◇
ハヤトの背中を追いかけながら、水色のカーディガンを着た少女・まりかは、小さくうつむく。
その長い前髪の奥で、彼女の優しい瞳が、一瞬にして冷酷な、氷のような大人の目つきへと変わった。
――一億円、一億円、一億円……!
絶対に私が手に入れる。
目の前の冴えない男も、チャラ男も、全員私のための盾になってもらうんだから⋯!
彼女の手元にある隠された端末の画面には、ハヤトたちの目には見えない、最悪の役職名が真っ赤に拍動していた。
**【真の特殊役職:落とし子(警察陣営)】
****【※開始110分(残り10分)が経過した瞬間、最強の追跡者へと強制反転する】
**
ハヤトはまだ知らない。
自分が今、一番頼りにしようとしている少女こそが、このゲームの後半で全員を地獄に叩き落とす「最凶の爆弾」であることを。
参加していただいたキャラまたまた登場!
てなかんじで進めていきます。
おまけ
最近気づいてしまったこと2つ
その一。学タブで遊びすぎ(((
その二。本業のノベルケイクよりこっちの活動量多い