公開中
わん太主催の大会!
わん太×lemonade
静岡県浜松市――。
冬の潮風が吹き込む港町の片隅で、地下格闘大会「アイアンフィスト」は開催されていた。
主催者であるわん太は、薄暗い会場を見下ろしながら笑っていた。
「今年は“当たり年”だな……化け物しかいねぇ」
観客席を埋める者たちは皆、腕に覚えのある猛者ばかり。
その中で、一人だけ異様な気配を放つ男がいた。
包帯。
普段は無口で、どこにでもいる青年。
だが数日前――彼は“殺意の波動”に目覚めていた。
最初は夢だった。
血のように赤い空。
無数の拳。
耳鳴りのように響く声。
『戦え』
目覚めた瞬間、彼の拳は壁を砕いていた。
そして今。
その力を確かめるため、彼はアイアンフィストの舞台へ立っていた。
---
## 第一戦 ――「博麗の巫女」拓也
実況が叫ぶ。
「初戦! 包帯の相手は、“現代の博麗の巫女”拓也!!」
拓也は赤白の装束を翻しながら笑った。
「ま、遊び程度で頼むわ」
開始のゴング。
次の瞬間、包帯の姿が消えた。
――ドドドドドドドッ!!
「なっ……!?」
観客が立ち上がる。
包帯の拳が、視認できぬ速度で連撃を叩き込んでいた。
必殺――
**《一瞬千撃》**
一秒にも満たない間に放たれる無数の打撃。
拓也は防御を試みるが、衝撃波だけで床が砕け散る。
「ぐっ……!」
最後の一撃で拓也は壁へ叩きつけられ、勝敗は決した。
しかし包帯の目は、さらに深い闇へ染まり始めていた。
---
## 第二戦 ――「鬼哭啾啾」みょんだ
次なる相手は、いっくん教ナンバー2。
“鬼哭啾啾”みょんだ。
彼は不気味に笑った。
「お前、もう戻れないところまで行ってるぞ」
「……黙れ」
戦いは熾烈を極めた。
みょんだの蹴撃は鋭く、まるで亡霊のように軌道が読めない。
包帯も何度も膝をつく。
だが、その度に胸の奥から黒い力が溢れてくる。
殺意。
闘争。
破壊衝動。
「もっとだ……もっと戦え!!」
包帯の拳が赤黒いオーラを纏う。
「終わりだ」
《一瞬千撃・改》。
衝撃で空気が裂け、みょんだはリング外へ吹き飛ばされた。
観客席が揺れるほどの歓声が響く。
---
## 第三戦 ――「故豪鬼成」金正恩
会場の空気が変わった。
現れたのは巨躯の男。
“故豪鬼成”の異名を持つ、現代の豚――金正恩。
彼が歩くだけで床が軋む。
「小僧……潰してやる」
圧倒的な膂力。
包帯は初めて恐怖を覚えた。
吹き飛ばされ、壁へ叩きつけられる。
骨が軋む音がした。
だがその瞬間、彼の脳裏に声が響く。
『力を解放しろ』
包帯の瞳が紅く染まった。
黒炎のようなオーラが全身を包む。
「うおおおおおおッ!!」
拳と拳が激突する。
衝撃で照明が割れた。
そして最後、包帯の渾身の拳が金正恩の腹を貫く。
巨体が崩れ落ちた。
誰も言葉を失った。
---
## 準決勝 ――「瞬獄殺」ことね
静寂の中、一人の少女が現れる。
ことね。
別いっくん教最強戦力。
その異名は――《瞬獄殺》。
「あなた、危ないよ」
彼女は静かに言った。
「その力に呑まれる」
試合開始。
だが、包帯は一方的に押される。
速い。
見えない。
気づけば何度も地面へ叩き伏せられていた。
「くっ……!」
ことねの蹴りが顔面を捉える。
血が飛ぶ。
それでも包帯は立ち上がった。
「俺は……止まれない」
彼の背後に巨大な闘気が立ち上る。
そして放たれた渾身の一撃。
ことねは吹き飛びながらも、どこか嬉しそうに笑った。
「……やっと、本気になったね」
---
## 決勝 ――「金剛灼火」すてと
決勝の舞台。
最後の敵は、“顔が野獣”の異名を持つ男――すてと。
彼もまた、殺意の波動に目覚めていた。
「よう。同類」
赤黒い闘気同士がぶつかり合う。
会場の窓ガラスが割れた。
二人の戦いは、人間の域を超えていた。
拳が交わるたび衝撃波が生まれ、リングが崩壊していく。
互いに満身創痍。
それでも倒れない。
「終わらせるぞ、包帯!!」
「来いッ!!」
最後に放たれたのは、互いの全力。
世界が白く染まる。
そして――。
崩れ落ちたのは、すてとだった。
包帯は血まみれの身体で立ち尽くす。
観客が総立ちになる。
わん太が静かに告げた。
「優勝者――包帯ッ!!!」
歓声が轟く中、包帯は空を見上げた。
だがその瞳の奥には、まだ消えない闇が宿っていた。
殺意の波動。
それは終わりではなく――
新たなる戦いの始まりに過ぎなかった。