これは、苛烈な運命で、避けられない戦いで。
そんな言葉を、よく耳にする。
確かに、ハッピーエンドとは言えないかもしれない。
全て正しい選択とは、最善の選択とは言えない。
後悔も、沢山ある。
それが人生というもの。
それじゃあ、
私の物語において君は何なのだろうか?
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目次
1 / 赤は黒 黒は赤
その日、一人の少年が捨てられた。
誰にも希望を見出す事なく、一人で生きる事を決意した少年は、静かに星が瞬く夜空を見ながら暗い荒野を歩き出した。
???「綺麗だな。」
少年は呟いた。
黒色の髪がそよ風に揺れ、翡翠のような瞳には煌めく星々が映る。
この世界を守る、そんな大層なことは考えなかった。
ただ、この美しい世界で自分は生きている、そう思うとどんな事をしても生きていけると思った。
人々は少年を罪人と呼ぶ。凡才であると言う。
しかし、少年はそんなことどうでもよかった。
空が青ければ、今は、どうでもよかった。
---
一人の女性が白髪の少女を拾った。
少女は眠っており、時折寝言を言う。
年は四歳位だろうか。
女性は少女を抱くと歩き出した。
???「よしよし。一緒に帰ろうね。」
少女は安心したのか女性の服に顔をうずめて穏やかな寝息をたて始めた。
空は満天の星空で、少女を祝福するようだった。
---
`「|怪物の国《スペクルム・テラ》から子が来た。」`
`「世界が割れる。」`
`「次に勝つのは|怪物の国《スペクルム・テラ》か、それとも|神々の城《ディー・アルクス》か。」`
`「鍵を握るのは|炎神の申し子《イグニス》と|闇神の申し子《ノクス》。」`
`「呪いと祝福は紙一重」`
`「赤は赤に、黒は黒に、戻る。」`
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俺はこの世界というモノに飽き飽きしてきた。
|羽狼《アーラルプス》の中でも俺は若い方だが早くも人生に飽きていた。
別に死にたいとか生きたくないとかそういう話じゃない。
つまらなかったんだ。ただひたすら老いて死ぬのがつまらなかった。
仲間は空が青いのがいいとか、世界は美しい、とか言うけど俺には理解できなかった。
|羽狼《アーラルプス》の中でも才能があるとかよく言われるが使わなければそんな才能ただの飾りだ。
そんな風に思って毎日をぼーっと生きていた。
谷の中にある山で面白いくらいに面白味がない空をいつも通り眺めていた。
白髪がそよ風に揺れ、木の葉が空に舞い、青空に散っていく。
___これの何が良いのだ。
そんな時、瑠璃色の目が同じ白髪の少女を瞳に映した。
年は、六位だろうか。
白髪の髪が靡き、深い蒼の目に空を映しながら少女は笑っていた。
それを、俺は初めて綺麗だと思った。
モノクロのテレビに色がついたように、鮮明に俺の世界を彩ってくれる。
???「なあ、お前。名前は?」
少女は此方に顔を向けると満面の笑みで答えた。
まるで聞かれたのが嬉しくて嬉しくて仕方がないかのように。
???「せれ!」
幼女特有の舌っ足らずな感じの喋り方と声だった。
俺は、この少女と、セレと運命を共にしたい。
生きて、この世界に抗ってみたい。
そんな、変な反抗心が心に浮かんで、すぐに消えた。
???「セレ、か。俺はソキウス。|羽狼《アーラルプス》だ。俺は、今からお前の相棒だ。」
俺はこの世界にようやく飽きなくて済むと、そんな事を考えて、微かに淡い期待をしていた。
セレは、俺の人生を変えてくれるかもしれない、と。
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昔、季節はなぜ廻るのかと私は母さんに質問したことがあるらしい。
その時、母さんが何て答えたかは知らない。
けど、今の私ならこう答える。
__それは、私が生きているからだと。
セレ「今日も空が綺麗!」
私は此処、アーラ渓谷の山から見る景色が一番好きだった。
アーラ渓谷、羽根が生えた狼のような生き物、|羽狼《アーラルプス》がいるからアーラ渓谷ならしい。
此処に住む人々は他の国々の人は「谷の子」と呼ぶらしい。
外の世界には行ってはいけない、と母さんは言う。
だから私もアーラ渓谷以外からの景色を見たことがない。
だから、一番好きも何も好きになるのが此処以外ないわけだ。
ちょっとしたジョーク。
我ながらうまいと思いクスッと笑う。
???「随分と呑気な顔だな。セレ。」
背後からいきなり声をかけられてビクッとする。
慌てて振り返ると私の相棒の|羽狼《アーラルプス》、ソキウスもといソウがニヤニヤした笑みを浮かべて立っていた。
ソキウス「見事な間抜け面だ。」
セレ「ひどい!ソウがからかってきた!私はこれが通常ですー!」
ソキウス「いつも通りの間抜け面だ、って言った方がいいか?」
セレ「ひ、ひ、ひどい……!私は間抜け面じゃなーい!」
精一杯の講義をするとソウは笑った。
ソウは私の相棒。
生涯を共に過ごす、家族でもなく恋人でもないがかけがえのない存在だ。
|羽狼《アーラルプス》は孤高の生き物で、相棒を持つ人は谷の子の中にも少ない。
実際、ソウも私と出会う前は笑うこともなく、全てがつまらなそうな顔して空を見ていたという。
そう考えると笑ってくれて嬉しいが、私をネタに笑うのはやめてほしい。
セレ「今、真剣に考えてたのに!」
ソキウス「なにを?」
セレ「そ、それはっ……!」
私は言葉に詰まった。
空が綺麗だと考えてた、って言ったら余計笑われるし、このまま何も言わなければからかわれる。
もっともらしい嘘をつかなければいけないのだがお生憎、脳みそは脳天気に空の事ばかり考えており、うまい嘘をつくなどということはなかなか難しかった。
セレ「そっ、そういえばソウって人間の姿でいること多いけど何で?」
実際、ソウは|羽狼《アーラルプス》本来の白銀に輝く毛並みを持つ巨大な狼の姿でいる事は少ない。
大体、いつも白い短髪に瑠璃色の瞳、谷の子独特の服を身につけた青年の姿でいる。
ソキウス「ああ……まあ、な。昔、セレと出会う前に、人間に憧れたから、かな。」
ソウはいつもの軽口を言う目ではなく遠くを見つめるような目で空を見上げた。
私もつられて空を見上げる。
相変わらず綺麗な青空だ。
ソキウス「……やっぱ分かんないな。」
セレ「なにが?」
ソキウス「こっちの話。」
ソウの呟きが私は気になったが追求してはいけないような気がして口を噤んだ。
妙にしんみりと気まずい雰囲気になってしまったな、と思いつつ空を見続けた。
私はふっと微笑む。
__平和だな。
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私は軍服を身につけ、腰に剣をさした。
後、三日。
`???「さあ、哀れな人々をあの世へお送りしましょう」`
《あとがき》
本作は「わたきみ」のリメイク(?)版となります。
想像以上に世界観が変な方向へ行き登場人物はあまり変わりませんが世界観が恐ろしい位に変わっています。
不穏ですね、ええ。
主人公が二人になりましたし登場人物も増えます。
思った以上に色々なりそうで作者が楽しみです。
また別の話でお会いできるのを楽しみにしています。
(あ・と・が・き)
龍花「始まったぜーっっっっっっ!!」
セレ「やったーっっっっっっ!!」
ソキウス「テンション高い……。」
???「本当ですよ。」
セレ「未登場キャラクター出していいの!?」
龍花「メタい話しないの……。それはそれで君はなぜいるの?」
???「出番が少ないからあ・と・が・きに顔出すことにしました。」
龍花「君はこの先出番増えるから。」
ソキウス「作者もメタいな。」
龍花「作者だからね。今回はわたきみが何か設定もっりもりになっちゃったんだぜ☆」
???「筋肉もりもりみたいに言わないでもらっても?」
龍花「しょぼーん……。」
ソキウス「俺の表記はいつまでソキウスなんだ?ソウでいいだろう。」
セレ「それはそうだよ!」
龍花「作者の気分で変わります。」
???「そろそろ二話を執筆してもらっても?」
龍花「あっ、はい。それでは。」
2 / 過去は記憶 記憶に赤
???「きれいなひとみ!ほうせきのヒスイみたい!」
昔、誰かにそんな事を言われた気がする。
夢の中だった気もするし、過去のことだった気もする。
翡翠みたいで綺麗だと言われて僕は少し照れた思い出がある。
《《彼女》》の顔を思い出そうにも靄がかかって思い出せない。
???「それじゃあね!」
そのまま彼女は遠くへ遠くへ行ってしまう。
僕は足が動かなくて必死に遠ざかっていく彼女の背に手を伸ばした。
???「待って………!
行かないで!!」
私はそこで目が覚めた。
久しぶりに悪夢以外を見た。
いや、あれも悪夢の部類に入るのか。
そんな事をぼんやり思いながら上半身を起こし額に手をあてる。
???「彼女は、誰だ。」
夢の中でも彼女の顔だけは見えなかった。
私はどこかで彼女に会っているのに。
記憶力はよい方だと思うが思い出せない。
まあ『記憶力』というよりか『記録力』の方だから人物は思い出せないか。
???「私もあんな風に笑う頃があったとは……。」
自嘲とも苦笑とも取れる笑みを浮かべると私は立ち上がった。
「谷の子惨殺計画」まで後二日。
そう考えたとき、私は自分の手が震えている事に気づいた。
私はその手を見つめながら自分自身に問いかけた。
__今更、何を恐れると言うのだ。
もう両手はとうに血で染まっているだろうにまだ可哀想などと思うのか。
私の良心を受け取る人なんているわけないのに人を殺すのが悲しい?
お前は馬鹿か。つぐつぐ哀れな奴だなお前は。
今度は明確な自嘲の意を込めて私は笑った。
私以上に愚か者でクソ野郎は早々いないだろう。
軍服の羽織りに袖を通しているとノックして同じく軍服の部下が入って来た。
部下「失礼します、フルオール隊長。計画の件です。」
???「ああ、今行くよ。」
私はこれからもこの先も両手を血で染める。
次世代の《神々の矛》候補として、国軍特殊部隊隊長、『ルードゥス・フルオール』として。
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セレ「ふんふふーん♪今日の夕食はハンバーグ~♪」
今日の夕食のハンバーグが楽しみすぎて鼻歌を歌いながら歩いていると、後ろからからかうような声が聞こえてきた。
???「オリジナルの鼻歌か?」
面白がっている感じでちょっとムッとしながら振り返り、金色っぽいクリーム色の短髪の少年を睨む。
睨まれた少年は紫色の目を細めて笑った。
明らかに楽しんでる。
セレ「そうだけど?何か悪い?オリバー。」
オリバー「いや。いいんじゃない?ガキ……セレっぽくて。」
セレ「今、絶対ガキっぽくてって言おうとしたよね!?」
オリバー「事実じゃん。」
母さんの実の息子、オリバーは血のつながりがない私を実の双子のように扱ってくれる。
それは嬉しいのだがオリバーはからかうのが好きでよく私をからかってくる。
ソウと言いオリバーと言い私ばっかりからかって。
ムスッと頬を膨らませるとオリバーはケラケラ笑った。
オリバー「やっぱガキじゃん!」
セレ「オリバーと同じ十二歳ですー!」
???「はいはい。オリバーもセレも喧嘩しない!」
オリバー「いてっ!」
オリバーは同じく金色っぽいクリーム色の髪の女性に後頭部を叩かれて情けない声を出した。
叩かれた部分をさすりながらオリバーは振り返る。
オリバー「喧嘩してねえよ母さん。」
セレ「そう!喧嘩してない!」
二人が口を揃えて言うので私の名付け親、リライナはため息を吐いた。
緑色の目には怒りというよりか呆れの色が浮かんでいる。
リライナ「そんなに喧嘩したいなら晩飯抜きで喧嘩してなさいよ。」
セレ「……それは困る。」
オリバー「……休戦だな。」
母という権力の前では子供二人は黙るしかない。
リライナはクスッと笑うと家の方角を指差した。
リライナ「さっ、早く帰りましょ。」
セレ「はーい。」 オリバー「へーい。」
家に帰る途中で私は足を止めた。
黄昏時だ。
藍色から青へ、青から水色へ、水色から薄紫へ、薄紫から茜色へ、茜色からオレンジへ、オレンジから黄色へ。
様々な色がリレーしているような黄昏時が織り成すグラデーションが私は好きだった。
『___、アナタはアカがスキなんだね。』
昔、誰かに言われた気がする。
ずっと、もっと、その昔。
綺麗な声で、囁くようでか細いようで響く声。
大切な何かを私は、忘れ____。
オリバー「セレー!早く行こうぜ!」
セレ「あ、うん。」
私は慌てて歩き出す。
私、何か大事なことしてた気がするけど何を考えていたんだっけ。
まあいつか思い出すか。
---
`鏡から私はそれを見ていた。`
`???「くっくっく……『ルベル』。君が私を覚えててくれそうで嬉しいよ。」`
`銀色の髪が目にかかり鏡が若干見えなくなる。`
`黒い鎖に囚われながら私は笑った。`
`???「君が|闇神《ノックス》を倒してくれることを願うよ。」`
「ねぇ、君が私を助けに来ることを願ってもいいのかい?」
《あとがき》
赤文字のとこは読んだら結構伏線です。
他のとこも結構伏線……んー……伏線なのか微妙ですね。
もうそろそろ龍花に席を譲らないと暴走し((((うるへー!あ・と・が・き、させろ!
(あ・と・が・き)
龍花「二話目ー!」
セレ「いえーーーい!」
オリバー「テンション高いな。」
リライナ「全くね。」
ルードゥス「私も思います。」
ソキウス「お前名前明かされたばっかなのに来るのな。」
ルードゥス「前回もいましたし。前者もそうでしょう?」
オリバー「否定はしない」
リライナ「確かにそうね。」
???「あのー、私も入っていい?」
全員「君はだめ!!」
ルードゥス「追い返せてよかったです。」
龍花「ページもないしサクッと行こう。」
ルードゥス「じゃあサクッと。早く執筆してきてください。」
龍花「えっ、あっ、はい。」