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目次
いつか、また。
キキ―ドンッ
ピーポーピーポーピーポーピーポー
---
「智佳、智佳っ!!目を覚ましてよ、智佳っ!!」
「先生、智佳は…」
「…今の智佳さんは植物状態です。目を覚ます可能性は、低いと考えられます。」
元々焦っていた心の内が、医者の一言で一気にかき乱された。
「じゃあ智佳は…」
「少なからず目を覚ます可能性はあります。希望を…持ってください」
「…はい」
---
それから何日も何日も、お見舞いに行き続けた。目を覚まさなくても、前みたいに返事が来なくても、ずっと。
でも、何週間たっても、何か月たっても、’君’は目を覚まさなかった。
---
ねぇ、智佳。目を覚ましてよ。絶対君に、伝えなきゃならないんだ
あの日からずっと、好きだった って
---
ねぇ、あの日のこと、君は覚えてるかなぁ
追い込まれていた私に、手を差し伸べてくれた、あの日を。
---
虐められていた最中、君だけは私に声をかけてくれた。それから私とたくさん遊んだりパーティーしたりしてくれて、追い込まれてた私の心を救ってくれた。
二人で写真を撮ったり、沢山話したり。智佳といたその一秒が、私にとって一番幸せで、一番の宝物だった。
智佳にとって、私といた時間は幸せだった?お願い…もう一度、もう一度でいい。もう一度だけ、声を聴かせて…
---
目を覚まさなくなってもう1年。周りの環境が変わっていても、君との時間だけが、ずっと凍って解けないまま。今日もいつも通り、見舞いに行こうとした、その時。
prrrrrrrrrrr
「もしもし、智佳さんの意識が戻りそうです…!!」
看護師さんが、焦りと喜びが混ざった声でそう告げた。
「今すぐっ!!今すぐ行きます!!」
---
コンコン
「智佳っ!!」
「んん…」
「智佳ぁ泣」
「ごめん、ね」
「大、好き…」
「智佳!?智佳っ智佳!!!」
「智佳のバカぁ…返事くらいさせてよぉ…泣」
「今まで、ありがと、智佳…」
---
おーい
おーい
だいじょうぶ?ほら、起きなよ
智佳!?
ふふっ久しぶり
智佳!会いたかった…!
私もだよ
今度は、ちゃんと言える
大好き、智佳
私も!!
---
はッ
「夢、かぁ」
「またいつか、逢える日が来ますように」
ま し ゅ ま ろ さまに作るのを手伝っていただきました✨
ご協力くださりありがとうございます!!
確証の無い、「また明日」
最近全然小説出してなくてごめんなさいm(__)m
最近短編ばっかですね(笑)
また勉強が落ち着いたら幼君とか放課後の病室でも更新させてもらいます!
ではどうぞ!
「また明日」
その言葉は、どれだけ重い物なんだろう
それが当たり前のような言葉だったとしても、その”当たり前”は一瞬で崩れ落ちていく
だから、僕は今日も願う
苦しむくらいなら、明日なんて来なければいいのに、って。
---
君はいつも言ってくれる。「また明日」って
その言葉に、私は何度も支えられてきた
君と明日も会える、って。
でも、神様は私の願いを聞いてくれなくて
小さい子を庇って亡くなったって。
死ぬときは一緒に死のうよって。いつまでも私といるって。そう言ってくれたじゃん
私を置いていかないで…
「また明日」って言って
その一言だけでいい
一言だけでいいから、言ってよ
苦しい
悲しい
なんで
もう一度会いに来てほしい
---
君は、”遺書”を残していた
そこには、「永遠に、愛してる」その一言だけ書かれていた
君はどんな気持ちでこれを書いたんだろう
考えるだけで涙があふれてくる
もう会えなくなっても、また明日と言えなくても、おはようって言えなくても。
私も、君を、永遠に想い続ける
だから、これだけ言わせてほしい
明日会いたい、何て我儘はいわない。その代わり、一つ、一つだけ、これだけでいい
ひとつだけ、約束をして
『またいつか、絶対に会うこと』
「愛してる」なんて言っておいて、会わないなんて許さない
絶対にまた逢えると信じてる
もう、「さようなら」なんて言わないで
「またいつか逢おう」
またいつか、絶対会える
そう、信じてるから。
いつかまた、あなたと出会えるその日まで。
俺の、
私の、
”叶うことのない、夢。”
---
「はー疲れた…」
「○○、お疲れ様。はい、水」
「ありがとー」
ゴクッ
「ふぃー生き返った…」
「今日もよく走ってたね~」
「あのコーチ厳しいんだよな…」
「まーま、仕方ない仕方ない」
「ふーストレッチしとくか…」
「え、○○がそんなこと言うなんて…大丈夫?頭打った?」
「失礼な…ちょっとは考えられるようになったんだよこれでも」
「えー?ほんとに?」
「ほんとだって!」
あはははははっ___
---
ピーポーピーポーピーポーピーポー
「…え?」
「だから_____が亡くなった…って…」
「うそ…だろ…?うそだよ、うそ、だよな?うそだ、うそだって言ってくれ!!!」
「…ほんとうのことだ」
「そんな…」
「……」
「…葬式は、明後日だそうだ」
「…わかり…ました」
ハッハッハッハッ
「うそだ…嘘だ嘘だ嘘だっっ!!__が死ぬなんて絶対…絶対…絶対にありえないっ!!」
はーッはーッはーッ
「うそ…うそだ……」
バタッ
そこで、僕の意識は途絶えた___
---
「ぉーぃ ぉーぃ おーーーい」
はッ
「えーだいじょうぶ?やっと起きた。軽い熱中症だってさ。今コーチ呼ぶね」
「え?え、え?__生きてる..?亡くなったんじゃ...」
「もー何言ってるの?私は生きてるしー!気でも狂った?」
「てかここ...どこ?」
「え?だいじょぶそ?
えーっとここはサッカーグラウンドです。んで、あなたは試合の途中に熱中症で倒れました。」
「ほーそういうことですか。」
「なぜに敬語w」
「てかこの状況何…なぜ膝枕」
「まー…なんとなく?」
「なんとなくでやるもんじゃないだろ膝枕はぁ!」
「うお、なんかすんません」
「まあいいけどさぁ…!?」
「いやいいんかい
あ、コーチがよんでるよ、行ってきな」
「はーい」
「ただいま~」
「え、戻ってくんの早くない?」
「えーっとですね…」
---
コーチに呼ばれてそっちのほうまで駆け寄っていくと
「おい〇〇、体調大丈夫か?」
って言われて
「はい、だいじょうぶっす…
てかコーチ、今って何年ですか?」
って聞いたら
「おいお前…大丈夫か?
もう今日の練習はいいから日陰で見学しとけ」
って倒れて記憶喪失になったやつみたいな扱い受けまして
「あ、はい…」
っつって戻ってきましたぁ☆
---
「なにそれ笑
何年ですかはやばいw」
「ええ…でもさぁ!?
ほんとにわかんないんだもぉぉぉん」
「www
ほんとにだいじょーぶ??笑」
「まあ…だいじょぶやろ」
「えぇ……」
「今日の練習終わり!ちゃんとダウンしてから帰ってなーー」
「「はーい」」
「あっ終わったよ練習」
「ほんとやぁ
帰るぞーーー」
「おーーー」
「おい○○だいじょぶかーーー?」
「死んでないかーーー?」
「俺は死んでねぇよっ!!」
「いつも通りだなおっけーだいじょぶ」
「もうちょっと心配しろよーー」
「まああんたなら大丈夫でしょ」
「もうちょっと心配してほしいよ俺はぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ほい○○帰るでー」
「はぁい…」
---
「んじゃばいば~い
明日までにおかしくなった頭戻しときなよ~
また明日ー」
「一言余計なんだわ!!笑 ばいばーい」
---
ピピピッピピピッ
「うぅんうるさいなぁ…」
ん…?カレンダー…?
「予定…__の命日から一年…?
あれ…昨日はいたはずじゃ…」
いや、きっと嘘…
そうだほっぺたつねってみようそうだそうだ
夢だったら痛くないはず…!!
「いっったぁ!!」
うわ夢ちゃうやん
「えってことは…
昨日まで生きてた___は…
昨日『また明日』って別れた___は…
死んでいた…?」
いや、そんなはずない
だったら昨日はなんだったのか
なぜ…なぜ___がいたのか
あれ…俺、一昨日、何してたっけ……
昨日なにした?俺は
昨日___が生きてた?
何言ってるんだ俺は
__は一年前の今日に死んだんだ
生きてるはずない
「あーーーー!!!!わかんねーー
どうなってんだよ
昨日のことも一昨日のことも思い出せないしよ…
まあ、いったん寝て落ち着くか」
---
うぅん…どこだここ……
≪はーいこんにちは君!元気かい?≫
誰だよお前…
≪誰だと思う?≫
まさか神とか…
≪うーん…ご想像にお任せします?≫
さては図星
≪さあそれはどうでしょうね~???≫
うわうっざ
でここどこ
≪えー…なんていったらいいの
てか僕君をこんなにはやくここに連れてくるつもりなかったんだけどさ…
なんか誰かさんのせいで早く連れてきちゃった…んだよね≫
お前か
≪てへ☆ごめんね≫
ふざけんなよ
てかお前神ならさ
俺が昨日と一昨日なにをしてたかわかるか?
≪知ってるよ?ぜんぶ≫
じゃあ教えてくれ!!
なにか…なにか大事なことを忘れてる気がするんだ…
≪そっかぁ…思い出してないなら仕方ないね
言えない
ごめんね≫
なんでだよ!?
言えるだろ?お前は神なんだから
≪そういう決まりなんだよ
ごめんね
あと僕は神ではないよ
近い存在ではあるけどね≫
でも…でも!!
知ってるんだろ!?俺が何してたか
≪知ってるよ≫
じゃあ教えろよ!!
≪答えは自分で見つけるものだよ
僕は何もできないからね≫
そんなの…そんなの神でも何でもないじゃないか!
≪まぁ…がんばって
またね≫
__僕は…いや、私は…神でもそれに近い存在でも、なんでもないさ…__
---
うーん
昨日なにしたっけ?
覚えてないな…
まーいいや
今日なにしよ
んー…
サッカーの練習でも…
prrrrrrr
「はいもしもし」
「あ、やっとつながった
もーぜんぜんでないんだから」
「ごめんって、__。」
「もー
まあいいや」
「それで用件は
早くしてほしいんだけど」
「えーケチ
あそぼーよ
どうせ暇でしょ?」
「なんでわかったのさ」
「なんとなーーく」
「じゃあ今11時だから…
13時集合!」
「なんか遅くない?」
「ご飯食べるでしょそれぐらいがちょーどいいやん」
「たしかに」
「ね、私天才」
「あーはいはいそーですねー」
「棒読み草」
「まあはいじゃあ13時に」
「うんじゃあまた」
13時ねぇ…
寝たかったんだけどな
はー
準備するか
---
ピンポーン
「んぇ!?」
「おーい早くして」
「まだ12時57分ですけど!?」
「もう12時57分、でしょ
5分前行動!!」
「ごめんごめん…」
「まさか寝てたんじゃ…」
「ご名答」
「ご名答じゃないよほら
いくよ」
「はーい」
「ところでさ
どこ行くの?」
「えーーっとぉ…
どこか!」
「えぇ…」
「とりあえず公園!」
「なにすんの?」
「いいからいいから!」
「じゃじゃーん」
「…サッカーボール?
あれこれ…俺のじゃん」
「せいかーい
さっき呼びに行ったときに取りました」
「いつの間に…」
「サッカーしよ」
「あれ__できたっけ」
「ちょっとは?」
「リフティングできたり?」
「しま…
す!!」
「なんでできんの…こわ」
「ほらはいっ」
「うおっ
いってぇなぁ」
「見てないのが悪いんでしょー、」
「ほいほーい
じゃあいくよ」
---
「あー楽しかった」
15時00分
「うわだいぶたってんな…」
「まだまだ行きますよぉ!」
「えぇ…」
神社
「何しに来たのこんなところに…」
「んー願掛け?ちょっとまってて
巫女さん、お守りください」
「はい。どれにしましょう?」
「健康の意味のお守りとかってありますか?」
「ありますよ」
「じゃあそれ2つ…いや、1つと
安全祈願のお守り、をお願いします」
「かしこまりました」
「ありがとうございます」
「おまたせ!○○」
「なにしてたの?」
「ん?ちょっとね
さ、いこっか」
「はーい」
「え、もう16時?」
「はや」
「んー…帰る?」
「そうするか」
「ここから20分くらいかかるしね」
「そうだね」
「ねぇねぇ
明日試合じゃん?○○」
「うん
そうだけどそれがどうした」
「かてよーーー」
「うーい
明日いく?__」
「行くよもちろん
私が行くからには勝てよ」
「なんだよそれ笑」
「あ、そうだ、これ、お守り」
「え、二つも?」
「うん
頑張って、明日」
「おう!」
「じゃあね、○○」
「またな!」
---
あーつかれた
ねるか…
あ、そうだ、このお守り、何のお守りなんだろ…
調べたい…でも、眠気が…
≪元気してるー?≫
誰だよお前…
≪あ、そっか覚えてないのか
ごめんごめん
はじめましてー
名前はないよーよろしく≫
は?
名前がない?
どういうことだよ
≪まあまあ気にせず!≫
んでここはどこなのさ
≪えー
現実を見てもらう場所?≫
現実?
それってどういう…
≪とりあえずこれを見てもらいましょー!≫
うわっ
これ、葬式?
凄いな
みんな泣いてる
≪これを見て何か思うことは?≫
誰が死んだんかなーってだけ
≪ほーほーほー…
じゃあ次!≫
これ…女の子、か…?
白い服着て寝てるみたいだな
≪この子死んじゃった子なんだよね≫
お前なんでそんな平然と言うんだよそんなこと
≪もう、なれたから、かなぁ≫
ほー
意味が分からん
≪まあまあまあ気にせずー≫
これだけか?用は
≪うんこれだけ
ばいばーい≫
唐突だな別れが!
≪え、もっと一緒にいたいの?≫
違うわ
≪じゃね≫
---
「ふぁーねむ…」
てかあの夢のやつ…
なんなんだよあいつ…
というかあの女の子…見覚えが…
ピンポーン
「はーい」
「あ、おはよー
試合でしょ?今日
寝てるかと思っておこしに来てあげたのに起きてたし」
「いや今起きたとこ」
「あっそ
えーおしかったな
じゃ、帰るわ」
「えまってご飯作って」
「やだ」
「なんで
眠いんだよ俺は」
「はー…
仕方ない今日だけだよ」
「はーい」
「あ、そうだ、お守りの意味、なんだと思う?あれ」
「あ、そうだそうだ気になってたんだよね
どんな意味?」
「えー
正解ほしい?」
「うん」
「正解はー…
健康祈願とスポーツ祈願、みたいな?」
「へーそうなんだ」
「ほら準備して!」
「はい…」
「ほら、準備できた!?」
「できました…」
「行くよ!」
____ここからの記憶は、俺はまったく残っていない_____
---
「ここ…どこ…?」
「○○さん!!目を覚ましたんですね!」
目を開けるとそこには、看護師の姿をした知らない人が立っていた
そして俺は、ベッドに横たわっていた。
なぜか2つのお守りをもって。
5分もしないうちに、医者らしき人が来て言った
「○○さん、大丈夫ですか?」
俺は意味が分からなかった
それでも医者は続けていく
「あなたは________。」
あまり内容が頭に入ってこなかったが、かろうじて分かったのは半年近く俺が寝ていた、ということだ
「○○さん、倒れる前の記憶はありますか?」
「記憶…?」
覚えていない、何も
「そういえば__は…?」
気になっていたことを聞いてみると
「「!?」」
と医師たちは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔になってこう告げた
__さんは半年前に、お亡くなりになられました、と。
そのあと、ご丁寧に写真を見せながら説明してくださった
なくなったこと、経緯、そして俺が葬式の前日に倒れ、半年目を覚まさなかったこと。
それだけ話すと、医師たちは写真を置いて、どこかへ行ってしまった
---
目を覚まして2日目。
今日は俺の両親が見舞いに来た。
いろいろ聞かれたけど適当に受け流して、
明日__の両親を連れてくるよう、頼んだ
頼みごとをすると両親はうなずいて病室を出て行ってしまった
そのあとは暇だったから、お守りについて考えていた
誰からもらったのか、どんな意味なのか、まったく覚えていないのだ
目を覚まして3日目
昨日お守りについて考えたが、なにも思い出せなかった
__の両親が来てくれて、厚い本を渡してくれた
手紙も挟まっていて、見てみるとたった一文、
『8月になったらこれを読め』
と書いてあった
__の両親にお礼を言って、ベッドに横たわった。
今日から8月まで1ヶ月。
どんなことが書いてあるのだろうと思いながら、眠りに落ちた
目を覚ましてから10日目
とりあえず退院した。
家に帰ってお守りの意味を調べた
安全祈願、健康祈願のお守りらしい
だが、そのお守りに書いてある神社は、どれだけ調べても出てこなかった
目を覚まして21日目
あと10日を切った。
体調が悪くなってきた。
頭が痛くてぐらぐらする
目を覚まして26日目
あと5日を切った。
熱が出始めた。
体調は一向に良くならない。
しんどい
目を覚ましてから30日目
今現在23時53分。
あと7分で
8月。
目を覚ましてから31日目
体調は一向に戻らない。
とりあえず8月になったので
厚い本を読んでみようと思う
_________________________
≪またあえたね。元気だった?≫
だれだ…?お前は
≪あぁ、そうだった、ごめんね
記憶、全部戻してあげるよ≫
記憶…?
ゔっ
≪ほら、今までの記憶!
っていってもー…全部…≫
夢。
そういいたいんだろ…?お前は…
≪おぉ~
記憶を戻したばっかなのに
すぐわかるなんてすごいね~
処理が速い。羨ましいよ≫
夢を見せたのはお前か?
なんで俺にあんな夢を見せたんだ?
夢ならなんで俺が目を覚ました時にお守りを握ってたんだ?
≪それはね…
……私の遊びって言えばいいのかなぁ≫
遊びでしていいことじゃっ…!!!
≪知ってるよ
全部知ってる≫
じゃあなんで…
≪僕…いや私は
こんなことしたから
もう戻れないかもね≫
なんでこんなことしたんだよ!!!
≪さあね
神の気まぐれ、っていうじゃん?
そんな感じ≫
じゃあ…じゃあなんでそんなに悲しそうなんだ?
なんでそんなに悲しそうな眼を…
≪あーあ
気づかれちゃった
バレないと思ったのになぁ
お守り
あれはちゃんと持っておいてね≫
やっぱりお前は…
≪何も言っちゃダメ。
…楽しかったよ、
最後に会いたかっただけ
ありがとう、大好き。≫
__!___!!
声を出そうとしても、その声が、その気持ちが、
届くことはなかった
---
目を覚ますと、俺はお守りと厚い本を抱えて寝ていた。
「ははっ…”神”は気まぐれだな、」
厚い本には
もうかなうことのない、夢の中の一ページが描かれていた
「あいつも、俺と一緒のこと思ってくれてたんかな…」
あいつが見せてくれた夢は
神が見せてくれた夢は
最高の悪夢だったよ、
感謝してるよ会わせてくれて
たとえあいつがほんとの神じゃなくても
何にも言わないでおいてあげよう
あの夢を、
あの気持ちを、心の中にしまっておく。
”いつかあの夕焼けの下で、一緒に空を眺めよう”
約束したんだ、まってるよ、いつまでも
いつかまた、あなたと出会えるその日まで。
思い出の旅
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To you across the stars.
美しさの代償
あの日はやけに蝉がうるさかった.
今までと変わらない景色の中に、澄んだはずのその場所が、僕の瞳には紅色に写っていた.
そんな夏の日の記憶だ.
カーテンの隙間から、ぼんやりと光を放った青い空がぼやける視界の中に入り込んでくる
あぁ、もう朝が来てしまったのか
憂鬱な気持ちと共に洗面所へ向かう
制服を着て、髪にドライヤーをかけて、朝食を食べる
そうこうしているうちに、あっという間に時間になってしまった
仕方なく靴を履いてドアを開ける
「行ってきまーす」
今日もいつもと同じ、青い空だ
---
地面と睨めっこしながら学校へ向かい、授業を受けて、ご飯を食べる
また授業を受けて、掃除をして帰るだけの面白みのない生活だ
でも今日は、いつもより少し慌ただしかった
昼休みに課題をする生徒、大量の冊子を持って忙しそうに歩き回る先生、いつもよりも長い掃除
あぁ、そうか
思い出した
明日は夏休みなのか
いつもと少し違うイレギュラーな周りの生活の中でも、やることは変わらない
ぼーっとしているうちに、いつの間にか寝てしまっていた
起きた頃には空がオレンジ色に染まりかけていた
退屈だと思いながら、リュックを背負って帰り道を歩く
無意識にいつもと違う道を歩いていた
いつもとは少し違う景色
その先には茜色に染まった海が広がっていた
誰かが砂浜に腰かけていた
思わず見とれてしまうような、すぐ壊れてしまいそうなくらい綺麗な少女だった
僕は砂浜に座り込んで、ぼーっと海と少女を眺めていた
その時、横に人の気配がした
少女だった
「あなたは、誰?」
---
いつの間にか日は暮れかけていて、さっきよりも暗さが増していた
声をかけてきたのは、さっき眺めていた少女だった
いつの間にか隣に来ていた少女は華奢で、おとなしそうだった
砂浜で並んで座りながら少し話した
その少女はこんなに人と話すのが楽しかったのは久しぶりだと言って
どこか疲れているようにも見える笑みを浮かべた
そしてまた明日の放課後、ここで会おうと言って彼女は僕に別れを告げた
帰宅しながら空を眺めて考え事をする
いつもと違うことばかりの1日だったけど
たまにはいいなと思えた日だった
念入りに外を見渡してからドアを開けると
久しぶりに疲れが溜まって、帰るとベッドに倒れ込むように寝てしまった
---
また日が昇り、学校へ行く準備をするために洗面所へ行こうとする
階段を降っていた時、突然叔母に早いねと声をかけられた
不思議だなと思ってカレンダーを見ると、夏休みと書いている
今日から不快な声も騒がしい声も聞かなくていいと思うと、少し心が軽くなる
放課後まで、何をして暇を潰そうか
課題をして色々していると
あっという間に放課後は訪れた
早く荷物を置いて、昨日の海に行こう
そう思った時、外から声が聞こえてくる
どこか聞いたことのある声
嫌な予感がする
咄嗟に開けかけていたドアから手を離し、鍵をかけ直す
念のため家の電気をけし、耳を澄ませて会話を聞く
この声は
クラスメートだ
幸いそいつらはただ芸能人の話をしているだけだった
安堵して通り過ぎるのをじっと待つ
その時、色白の綺麗な少女というキーワードが聞こえた
昨日の少女が頭によぎったが、流石に違うだろうと思い、聞き流した
通り過ぎたのを確認すると、僕は急いで家を出て一目散に駆け出した
海に着くと、まだ誰もいなかった
早かったかなと思い砂浜に座って少女を待つ
なかなか来ないので本を眺めながら待つ
だいぶ時間が経って辺りが茜色に染まってきた頃、突然後ろから声をかけられた
彼女は遅くなってごめんねといい、僕の隣に座った
彼女は絵を描くのが好きらしく、一緒に海の絵を描いた
彼女の絵はとても上手で、透明感も夕日の反射も僕の後ろ姿さえも綺麗に描かれていた
でもどこか切なさの感じる絵に、少し違和感を抱いた
そんなことは話しているうちに忘れて頭の片隅にしまってしまった
時がすぎるのが早く感じる
小さい頃に遊んでいた時もなっていたような、懐かしい感覚
これは、僕は話すのが楽しいと思っているからだろうか
ずっと続けばいいのにと思う
でも彼女は用事があるから、と言って日が沈みそうな時に去ってしまった
話している途中に仕事があるとポロッとこぼしていたことを思い出し、どんな仕事なんだろうかと思った
その時、昼間クラスメートが話していたことを思い出す
色白で、綺麗な少女.
まさかとは思いつつ、一応検索してみる
名前は教えてくれなかった
なんとか特徴を絞り出して調べてみる
するとそれっぽいものを見つけた
タップしてサイトを開く
さっきの少女にとても似ている
芸能事務所。
芸能の仕事をしていたから遅くなったのか
急にいろんなことが理解できたと思う
明日海であったらまた聞いてみようと思い、とりあえず寝転がって目を瞑る
すると疲れていたのかすぐに眠りについてしまった
---
次の日
昨日早く寝たせいか異様に早く起きてしまった
やることもないのでとりあえず散歩をしようと思い外へ出る
ぶらぶらと歩いていると海が見えてきた
無意識に行きたいと思っていたのだろうか
うっすらと人影が見えた気がした
急いで近づくと、少女がいた
咄嗟に声をかけると、少女はいつもと同じ声のトーンでおはよう、と返してくれる
ふと昨日のことを思い出し、仕事のことを聞いてみる
やっぱり昨日のあの子は彼女だったらしい
なぜか気まずそうにしながら彼女は問いかけた
何か他に知ってる?、と
特に何も知ってることはなかったので知らない、と答えると
彼女は少し安堵したような表情を浮かべた
本当は知りたかったけれど聞かれたくなさそうだったので帰ってから調べてみよう、と思った
彼女は今日は忙しいらしく、あまり話せないままいなくなってしまった
僕も家に帰って少女のことを調べてみる
すると少女のことについていろんなことが書かれていた
彼女を非難する声、批判のコメント。
中にはみてもいられないようなぐらい酷いことが書かれているコメントも少なくはなく、事実ではない偏見からのコメント、人格を否定しているものもあった
怒りを抑えながら他のものも見ていく
すると、何か嫌なものが一瞬視界に入った
嫌な予感がする
これは見てはいけないと本能が言っている
でも見なければいけないと思い、指を振るわせながらそれをみる
そこに書かれていたのは
行方不明 の言葉
信じられなかった
昨日も、今日だって僕は会っていたのに
日にちを見る
昨日の朝。
正確にいうと、一昨日の夜から、と書いている
この記事には、僕が初めて会い、別れた後の一昨日の夜にはいなくなっていたと書いている
おかしいと思って家を飛び出す
海へ走る
今回は人影は見えなかった
その代わり、何か小さなモノが見えた
靴だ
急いで駆け寄る
そこには少女の姿はなく、一冊のノートと靴だけが残されている
全てを悟って海を見つめる
澄んでいるはずの海が、ひどく濁った紅色に染まって見えた
震える手でノートを開く
美しさは時に誤解を招き、時に悪意の矛先を向けられる
そして美しさはその代償に知らず知らずのうちにいろんなものを壊してしまう
その連鎖を断ち切るために、私は人生の幕を下げよう
そして、深い深い海に閉じ込めて、
もう二度と同じ過ちは起こさない
最後のページに、こう書いてあった
まるで物語のように描かれていた
それは彼女という優れた役者にぴったりの
演劇のような最後の物語だった
---
救いようがないようなこの世界でも、君のおかげで諦めずに済んだんだ
さよなら
来世こそは彼女と僕が幸せな世界でありますように
そう願いながら僕は彼女のいる海の中に溶けていった
美しさは儚く脆く、罪な存在だ
人の愚かさから、どうかこれ以上そんな過ちが犯される日は来ませんように
その言葉で、この物語は幕を閉じた.
【End】
作品名:美しさの代償