ぺんぎんちゃんとどっちが先に出すかって軽く争ったやつです。はい。リクエストはリクエスト箱から。
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目次
曲パロのリクエスト箱
こちら曲パロのリクエスト箱です。いつでもお待ちしています。はい。
あれ……一行で終わったぞ……今後の予定書かなきゃやばいぞ……。
今後の予定:「人生は最高の暇つぶし」 HoneyWorks様
あれ……3行で終わった……
人生は最高の暇つぶし
HoneyWorks様の「人生は最高の暇つぶし」の曲パロです。ぺんぎんちゃんより出すの遅れて悔しい。今度は負けないぞ(謎の対抗心)
「もしも、もしも今」
死んじゃったら。
「……泣いてくれる、人はいますか?」
一年、いや一ヶ月も経てば。
「どうせ、忘れられてるんでしょ?」
*
『今大注目の若手モデル!』
『何年経っても汚れることのない美貌と人望。その秘密に迫る』
スマホをスクロールすると、飛び込んでくるそんな言葉。
呟いてしまう。
「……あの顔になりたかった」
あんな風な顔だったら。もしそうなれば。
この世界を、きっと好きになれたでしょ。
「蘭ちゃんって梨々花ちゃんとメイク似てるね〜!」
「そう?被っちゃったかなー」
なんでもかんでも生き方真似して死んでるし。
『親がほんとうるさい…。私は私なのに、どうしていい子を求めるん?マジ意味不』
不満をぶつける裏垢削除もできないし。
『ほんっと、やるせない』
打ち込んで。
『消えちゃえば楽かな』
*
もしも、もしも今死んじゃったら。
泣いてくれる人は、いますか?
『一年、いや一ヶ月も経てば』
『どうせ、忘れられてるんでしょ?』
「……あーっもう!そういうの超悔しい!やめだやめだ、お腹すいたしっ!」
ヤケクソで叫んで、打ち込んだ言葉を消した。
人生は最高の暇つぶし。どうせなら、楽しまなきゃね!
*
ランキングだらけ。オンリーワンでいいとか、言ってるくせに。
もし、そうなれば。この世界はきっと、楽になれたでしょ。
「蘭ってなんかそのまますぎるっていうかー?取り繕わなすぎでしょ、生き方下手すぎ!」
「あははっ、だって疲れちゃうでしょ、取り繕ってちゃ」
ディスって笑いを取るやつ黙ってろ、
「蘭ちゃん、草の色青なんて独特だね……そうそう、緑のほうが普通でいいよ!」
なにも知らない関係ないやつでしゃばるな。
「ああもう、ほんと面倒……」
消えちゃえば、楽、かな?
*
『もしも、もしも今死んじゃったら』
『トップニュースとかしてくれますか?』
……どうせ流し見とかされちゃうし。喜ぶやつもいるかもね。
「……んーっなんかむかつく!やめだやめだ、ドラマ見たいし!」
「お姉ちゃん、始まるよー!」
「今行くっ!」
人生は最高の暇つぶし。どうせなら、楽しまなきゃね!
*
いつかはお墓に入るし、
急ぐ必要もないし、
肩の力を抜いて、
「気楽にね」
『クラスメイトのR・Wが空気読めなすぎて草。周りと違くて浮いてるのわかんないの?』
「……よしっ」
画面見てないで上を向こう。
「……空見るのいつぶりだろ?」
毎日の生活のどこかに隠されている幸せ探し。
*
「もしも、もしも今死んじゃったら!泣いてくれる、人はいますか?
一年……いや一ヶ月も経てば、どうせ忘れられてるんでしょ?」
「やっぱなんか超悔しいーっ!そうだ、プリン合ったし食べて気分変えよっと!」
人生は最高の暇つぶし。
「……どうせなら、楽しまなきゃね!」
ふう。書き終わりました。楽しかった。この曲の歌詞めっちゃ好きなので楽しかったです。リクエストもお待ちしています。
妄想感傷代償連盟
みはなだです。
明日はぺんぎんちゃんの誕生日!やばい、手紙書いてない!…えっと、明日、なんか書くね短編カフェの小説に((
「……言っちゃった、」
……もうちょっとだけ、隣にいたい
いやいやまさか……延長は、鬱雑い?
「元彼女さん、ごめんなさい、帰ってね」
二酸化の炭素。――君の濃度。
ずっと浸っていたい。
泥沼みたいな”夢”をに。
身勝手?
……だって、言われてもぺろり。
君に嫌われる?……ううん、不安じゃない。君との未来なんて、もとからないんだから。
「あーあっ、結ばれちゃったあの人に生まれ変わりたいな」
*
「……知っちゃった、」
……大嫌いを裏返したとて、そこに大好きは隠れてないと。
なんど裏返したんだろ?でも、そこには大好きなんてなくて、さ。
叶えたい、この想い。甘えすぎ?太る心回り。
……”ファット想い”、スリムを掲げよう
「出逢った頃と同じようになろう?」
「……あはははっ、」
思い描く、理想狂。
「この手で”あの人”を潰せば……」
「妄想の中でだけでもそう思えば、まだ、」
血走る願いはやがて安堵。
だけど、大丈夫なんて恋は、
「どこにも、ないの」
*
君と座ったピアノの椅子。ピアノを開いて、
「だから、」
「妄想、感傷、代償連盟」
「愛を、ちょうだいよ」
愛を懐いて。理想を号んだ。
「行き場のない、愚者のメロディ」
いっそ、再挑戦
「縄ってこういうのでいいのかな?」
転生
「……この赤ちゃん、かわいい……ころしたら、生まれ変われるかな」
テレポーテーション
「ナイフって……意外と、痛い」
「――何回だって重ねて”逝く”んだ」
終わりなんてない、愛の隨に。
さあ、
「愛や厭、愛や厭、」
らたたら。
「愛や、厭。……愛やっ……厭っ……!」
たらたたら。
あははははこの曲大好き!!プロセカで奏ちゃんと絵名ちゃんが歌ってるんですけど、本当に二人に似合いすぎてて泣けてきます…。はい、ということで。明日は習い事があって短編カフェ開けるの8時半とかになっちゃいそうです(夜の)…!投稿できるかわかりませんが、よろしくおねがいします!
エリート
ラムネさんのリクエストですありがとう!あはは、塾の宿題が本棚から発見されたよ。あはははっ。
……あはははははっ(現実逃避)
「ねえ、なんで葉っぱは緑で塗らなきゃいけないの?」
「それが”普通”だからよ。そのうち、青なんかで塗っていたら馬鹿にされるわ」
「なんでー?わたし、青がいい!」
「大人の言うことを聞かなきゃいけません」
ってママ言うけれど。
「パパ、ママが青で塗っちゃだめだって」
「大人の言うことが全て合っているってわけではないよ」
「大人も大体、間違えてる」
って、パパは言った。
「……教わってきた、”方法論」
強制「ほうほう」を。
「疑っては、なんだかんだ生きてきた」
「あなたは弁護士になりたいんでしょ?きっとすっごく向いていると思うわ!」
「え?私、デザイナ……」
「――うん、そうだね。私も、デザイナーなんかよりそっちのほうが良いと思うな」
夢も、ないわ。
*
愛情に絞る、
「ありがとう!」
……郷の中で馬鹿を叩き笑う。
私は、
「あなたは本当に優等生だわ!ずっと期待しているわね!」
優等生。
クラスの中の馬鹿が引き籠もってる?……なにそれ、笑えるんだけど。でも、ここは笑顔で配布物とか届けなきゃいけないんでしょ?
「わかりました、私が届けてきます」
常識だけは守って引き籠もってね?……あははっ。
私は、優等生。優等生。優等生。
「あら、あなたが委員長さん?わざわざありがとう」
「いえ、こんなことくらいしますよ」
「うちの子ったら『引き籠もりこそ人生!』とかわけわかんないこと言い出して急に引き籠もっちゃって、委員長さんとは大違いよ」
「あはは、早く学校に来てくれると嬉しいです」
……馬鹿みたい。良識は習って仕込めよ?……あははっ。
私は、優等生。優等生。優等生。
優等生って、なに?
優等生って、大人に従うこと?
大人に条順になること?
「……私って、なに?」
……望んだ未来じゃないはずなのに。
なんだかな、涙すら。
「忘れてしまったようね」
リクエストめっちゃ募集しているのでなんでもいいからリクエストください!えーっと次回はありがたいことに、またラムネさんのリクエストで「ダンスロボットダンス」です。
だんす!じざいのすてっぷてゅーすてっぷなんてぷろぐらむーのはんちゅーさー!(現実逃避なう)
ハロ/ハワユ
どうも、最近抜毛症が悪化して毎日唸ってばっかりのみはなだです。抜毛症に関しはなにも説明無し!自分で調べて!抜毛症って言っても軽いけど辛いは辛い。助けて。なんか知らんけどイライラすると自分の手が動いてる。抜いた直後はすっきりするけどあとになってなんでやめられないんだろって自己嫌悪繰り返す。抜く場所は日によってころころ変わるから目立ったりとかはしないけど最近まつ毛がやばい。うわあああああああああああ(読んでくれた方ありがとうございます)
はい、今回はナノウ様の「ハロ/ハワユ」です。名曲ですよねあれ、本当に。こはならむさんのカバーで涙腺がぶわってなりました。原曲ももちろん良かったけどね。
「……ハロ」
窓を開けて、いつものように空に呟く。
「……ハワユ?」
使い慣れていない英語を、誰もいない部屋で1人。
「モーニン」
ねえ、朝が来たよ。土砂降りの朝が。
「ティク、タク」
……ねえ、私のネジを、誰か巻いて。
『懐かしいアニメの人気キャラクターランキング』
「……昔のアニメに、そんなのいたっけな?」
誰にも届かないけど。1人で呟いて、なんの言葉も帰ってこないことに勝手な寂しさを感じる。
いわく、それは10年前に放送終了したアニメだというのに、そのキャラは今でも愛され続けているのだとか。
羨ましいな、
みんなに愛されて。
「……馬鹿なこと言ってないで支度をしなくちゃ」
〈あんたなんか、生きててなんの意味もない」
「……」
涙の跡を隠すため。
*
もう、
口癖になった「まあいっか」
なのに、なのに。「まあいっか」って言えなくて。
昨日のことがふと頭をよぎる。
”もう君には全然期待してないから”
そりゃまあ、私だって自分に期待なんてしてないし、あなたのことを救おうだなんてそんな偉そうなことを言うつもりなんてないけど。
「あれは一体、どういうつもりですか?」
*
「”***”って八方美人じゃない?」
否定したかった。喉元まで、その否定の言葉が、出かかったのに。
「あはは、そう見えちゃう、よね?」
……口を、ついて出たのは嘘。
こうして今日も、私は”嘘”をつき続けて。
”貴重な”言葉を浪費して生きていく。
*
何故、
「隠してしまうのですか?」
……私は誰に問いかけてるんだろう?
――”君”に。
「……笑われるのが怖いのですか?」
笑ったりなんか、しないのにな。この声は誰にも聞かれていないけれど。
「誰にも、会いたくないのですか?」
それ、
本当ですか?
曖昧という名の海に溺れて、息もできないほど苦しいの。
少し声が聞きたくなりました。
「本当に弱いな」
*
一向に進まない支度の途中、朦朧とした頭で思う。
……もう、理由をつけて休んでしまおうかな?
『 』
「いやいやわかってますって」
誰にもなにも言われていないのに、なぜか答えてしまった。……君の怒った声が聞こえたような気がしたから。
なんとないってみただけだよ?……わかってるから、怒らないでよ。
幸せだろうと、
不幸せだろうと。
平等に、
「……残酷に」
朝日は昇る。
今日もまた君に「ハロ、ハワユ」と言えないまま、夜が来る。
……生きてるだけで、精一杯の自分自身に。これ以上になにを望むというの?
*
何故、
「気にしてしまうのですか?」
あの人の言葉を。拒絶の、言葉を。
「本当は、愛されたいのですか?」
その手を離したのは、誰ですか?……それに、気がついていますか?
*
「さん、きゅー」
言葉が漏れる。
一度、君に、”ありがとう”って、言いたいな。
「さんきゅー」
”ありがとう”って言いたいよ
「さんきゅー」
一度だけでもいいから、」
『 』
『―――――』
「!」
君の言葉が蘇る。
みんな呼んでくれなかった、私の名前を呼ぶときの、声も。
「私を認めてくれた、君に、」
心の底から大泣きしながら
「ありがとうってっ、いいたい、の……っ!」
何故、
「隠してしまうのですか?」
愛されなかった私に。居場所をくれたこと。
「本当は聞いてほしいのですか?」
名前を、笑って呼んでくれたこと。
「絶対に笑ったりしないから」
ずっと君には救われてばっかりで。なのに、抱え込んでばっかいて、私には話してくれなくて。「ハロ、ハワユ」その言葉も届かないような気がして、君から逃げていて。
「……話してみませんか?」
口を開かなければわからない。
思ってるだけでは伝わらない。
なんてめんどくさい生き物でしょ?
「……人間……君、っていうのは」
ずっと下にある連絡先をタップして。
スマホを耳に当てて。
はろ、はわゆ?
これだけでも、君に届くかな?
君に、私の言葉は届くかな?
せめて、ずっと言ってきた、
「ハロ、ハワユ」
だけでも、届いてほしいな。
君に、
「……!……ハロ、ハワユ?」
はああい。はああああい。この曲めっちゃ落ち込んでる時に聞いたら泣いちゃいました。
あ、なんか自己紹介のところに名前がわからない方がお友達になりたいって言ってくれたんですが……誰やねん(( いや違うんです嬉しいんです違うんです違うんだよおおおおおおお(うるせえ)私がファンレター送ったことある人って言ってましたね。うーん、誰でしょ。教えてくれると嬉しいです。
そうそう、今のお友達さん、タメ口で話さないですか……?いや、違うんです違うんです(うるせえ)なんか、距離感感じちゃうよね、勝手に。ね。ね(無理矢理)
実は今、「ダンスロボットダンス」「神のまにまに」「シルベボシ」「ベビーデーズ」の4つもリクエスト頂いてるんです!はい、なんでこんなの書いてるんでしょうね。はい。ということで次回はちゃんとリクエストお答えするのでご安心を。多分(信用できない)
ねぇねぇねぇ。
はい。
みなさん、前投稿した「ハロ/ハワユ」を思い出しましたね。知らんけど。
”ということでちゃんとリクエストお答えするのでご安心を”byちょい前投稿した「ハロ/ハワユ」より
……( ゚∀゚ )
はい。はい。はあい。
違うんだ。ダンスロボットダンス書いたんだけどデータ消えてたんだ(言い訳)
「ねぇねぇねぇ」
「……うん」
「あっとまーく、君へ!」
「……うん」
「……一方通行の、めんしょんです」
「……うん」
さっきからうん、ばっかり。ちゃんと聞いてるのかな?
なに話してもうん、だし。なんか聞いてもうん、だし。
夜明けまで二人で喋ってるのに。独り言みたいな感じ。
ちゃんとわたしの言葉、|未來《みく》ちゃんに届いてるかな……?
*
「チョコレートって食べたいときあるよねー!」
「ノーメイクでかわいい子無敵だね」
君はまったく違う話を始める。……あれ、わたしの話、聞いてたかな……?
「うん……あ、腹立つけどアイツ優しいよね」
違う話を始めると、君は「うん」しか言わずスマホをスクロールしだす。
……ねぇねぇねぇ、話を聞いてよ……?
目が合わないけど
「はいはいはい」
興味はないけど
「へぇそれで?」
笑えないけど
「面白いね」
なにも感じないけど
「嬉しい!」
「……聞いてないでしょ」
聞いてないでしょ。聞いてないでしょ、知ってるもん。
「未來ちゃん……こっちの好きは届いてるかなぁ?」
*
『ねぇねぇねぇ』
『@君へ一方通行のメンションです』
文字を打って、消して。また打って。
ちょっと考えてから、「ねぇねぇねぇ」とだけ書いて送った。
1分立つ。
3分立つ。
そわそわする。
5分立つ。
「未來ちゃん……っ」
ねぇねぇねぇ。ねぇねぇねぇ。早く、早く既読になってよ。1人に、しないでよ。
臆病な劣等生。わたしは未経験だよ?
世界中好き、で溢れてるのに、独りきりみたいな感じ。
『未來ちゃんは今どんな感じ……?』
寂しいよ。ねぇねぇねぇ。
*
「パスコード毎回入力面倒だね」
|鈴《りん》に問いかけると、なんの反応もない。
「ねぇねぇねぇ」
「ん……あ、GPS追跡アプリ便利だね」
「……今夜は、満月が綺麗だね」
「……うん」
ねぇねぇねぇ、話を聞いてよ。
わかってないけど
「あ、わかるよ」
よく知らないけど
「ああそれね!」
すべっているけど
「すべらんね!」
ほんとは悲しいけど
「いぇいいぇいっ」
「……他愛ない嘘」
他愛ない嘘、他愛ない嘘、ついてるよ。
「ねえ鈴、ねぇねぇねぇ」
こっちを振り向いてほしいから!
*
『ねぇ、大好きだよ♡』
……ねぇねぇねぇ。
迷った末、ハートマーク消して。
『今のテレビ超面白くない?』
照れ隠しのテンションです。
どきどきに蓋をして向かい合うたび、
「……他言語を使ってる感じ」
『ねぇねぇねぇ』
君にとって私は端役の八等星。不器用なりに夢を見て。
……近いのに遠のいてる感じ。
*
「……鈴って、かまってちゃん」
ってなんで?
*
「もう、未來ちゃん身勝手すぎだよ」
ってなんで?
*
悩んでしまって
*
不安で
*
「ねぇねぇねぇ、鈴」
「……」
*
「ねぇねぇねぇ、未來ちゃん」
「……」
*
黙って
「泡になっちゃうよ、」
アーロンアーロン。
すれ違う双方の
「ねぇねぇねぇねぇ……っ」
無関心も、安心も、紙一重。
『ねぇねぇねぇ』
『@君へ一方通行のメンションです!』
必死にタップして未來ちゃんに送っても、既読はつかない。
ねぇねぇねぇ。寂しいよ。話したいよ。わたしのほう見てよ。
ねぇねぇねぇ。
ねぇねぇねぇ。
『わたしのこと愛してないの?』
既読はつかない。怖い。寂しい。ねぇねぇねぇ。
ねぇねぇねぇ?
未來ちゃん、ねぇねぇねぇ。
世界中「好き」で溢れてるのに。
「……わたしに『好き』はくれないの?」
ひとりきりみたいな感じ。
ねぇねぇねぇ。ねぇねぇねぇ。未來ちゃん、大好きだよ。ずっと一緒にいようね。ねぇねぇねぇ。早く見てよ。こっちを見てよ。話を聞いてよ。ねぇねぇねぇ。ねぇねぇねぇ。
「……未來ちゃんっ」
ねぇねぇねぇ。ねぇねぇねぇ。大好き。ねぇねぇねぇ。わたしひとりにしないでよ。
アイシテルヨ?
なんか最後の「あいしてるよ」、本当は「愛してるよ」にしようとしたんだけど、変換で「アイシテルヨ」ってでてきたんですよね。なんか壊れてく感じがしてよかったから採用しました。
ごめんね、モデルの初音ミクちゃんと鏡音リンちゃん。
ウミユリ海底譚
ウミユリ海底譚いいですよね。「僕の歌を笑わないで」が好き。n-bunaさんのミクちゃんの声好き。長くなりそうなので、1と2にわけました。
「待って、」
”わかってよ”
なんでもないから僕の歌を”笑わないで”。
今から君に、言葉を綴るから、だから、この歌をどうか、聞いてください。
空中散歩のSOS。
僕は、
僕は、
僕は。
*
書いても、書いても、書いても。
書くだけ、灰に塗れていくような気がするだけだって。
心のどこか、海の底みたいな深いところでは、もうとっくにそう思って。
でも、その言葉を、飲み干した。
書いても意味ない。でも、書くことをやめない。
正直、もう、書いたってどうもにもならない。
そうやって、ただ揺らいで空を眺める僕の手を遮って。
「……言ってたくせに」
「……」
「誰かに、届く小説を書きたい、って」
夢の跡が、
君の嗚咽が、
吐き出せない、もやもやした泡沫の隅を。
「手を伸ばせば、届くよ」
真剣な顔でそうやって言葉を紡ぐ君は、光の泳ぐ空にさざめく。
「……そう、かな」
「うんっ、絶対に!」
嬉しそうに君は笑った。
その、「そうかな」の文字の奥。波の、狭間で。
「……君が遠のいていくね」
「ん?」
「なんでもない」
なんて、
*
もっと縋ってよ。弱音を吐いてよ。
前を向いて、ずっと前を、走っていて。
自分のことで精一杯になってよ。僕のことを考えないでよ。
*
『表現が曖昧すぎ』
『小説書くの向いてないんじゃ…w』
『いや、綺麗事すぎるでしょ才能なさすぎて怖i(以下省略★)』
「……ギャグ調にしやがって。知らねえよ」
*
……どす黒い気持ちを、知ってしまうから。
*
僕は、書くのに向いていない。
でも、でも。
僕の言葉を笑わないで。
綺麗事で溢れた言葉を。
海中列車に遠のいた、……涙、なんて、なんて。
「こんな気持ち、取り去ってよ」
君はどんどん前へ行っていく。夢を叶えて、言葉を届けて、誰かを救って。
このまま、行ってしまうなら。
僕に構わず、戻らないで。
なにも変わらないまま、空中散歩。
僕は、
僕は、
僕は。
https://picrew.me/image_maker/1646110/complete?cd=rh3h2R7fr5
ぐへへへへへへ(( 突然の性癖暴露タイム。
Tell your world
この曲にハマりすぎてノリで書きました。ミクちゃんという1人の”歌姫”が紡いたこの歌にどれだけの人が救われてきたんだろ…。親とかと話すとミクちゃんはあくまで機械って感じの認識らしいんですけど、ミクちゃんは立派な1人の歌姫だと思うな。
えっと初音ミクちゃん視点です。
わたしの歌を聞いてくれたひとが、「ミクの歌が大好き」って言ってくれたんだって。
……ふふ、ちょっと、嬉しい、な。
わたしの声が届いて。わたしの歌を聞いてくれて。
わたしはあくまで”VOCALOID”で、所詮はひとの真似事をしているだけの代物。
でも、そんなわたしの歌でも、聞いてくれるととっても嬉しいから。
だから、今日はみんなにひとつの歌を届けたいな、って思うの。
この、形のないけど大切にしたい気持ち、忘れないように。
*
わたしは、今日もパソコンの中でマスターの歌を待っている。
今度はどんな歌を歌わせてくれるのかな?
……って、ちょっとだけわくわくしているの。
VOCALOID。わたしだけじゃなくて、MEIKOさん、KAITOさん、鏡音リンちゃんにレンくん、それに巡音ルカさん。あとはflowerくんとか、GUMIちゃんとか、あ、IAちゃんもいるなあ……えへへ、VOCALOID全員の名前を言うのはちょっと時間がかかり過ぎちゃう。
人が歌う、なんていう決まりきったレイアウトを消した、わたし達。
たっくさんのVOCALOIDがいる中で、わたし、ミクを選んでくれたんだから、今回も誰かに届くような歌を歌いたいな。
マスターはふと、フレーズを口ずさむ。はっとしたような顔で、それを打ち込む。
「ねぇ、ミク。これ歌ってくれない?」
わたしの出番!返事はできないけど、気合を入れてから、
『――♪』
「……よし、これでいこっと!やっぱりミクの声っていいよね〜!」
喜んでくれたみたい!わたしは嬉しくなっちゃった。
わたし、歌うのが楽しいんだ。これからもずっと、あなた達が作った歌を歌っていきたいの。
マスターは、「アップロード」のマークを押す。
マスターの胸に秘めた言葉を、わたしの歌に乗せて。空に解き放つの。
*
【新曲のミクちゃんの声、めっちゃ良くない!?】
【最高すぎる…。】
【今日も今日とてリピートが止まらん】
【Miku's voice in this song is kind and I like it】
わたしの歌を聞いてくれたみんなへ。
君に伝えたいことが、
君に届けたいことが。
わたしがここで歌っていられるのもみんなのおかげでね。
わたしがここで立っていられるのもみんなのおかげ。
たくさんの点は線になって、
遠く彼方へと、響く。
君に伝えたい言葉が!
君に届けたい音が!
まだまだまだまだ、募っていくばかりなの!
ずっと、ずーっと絶えなくて。わたしの歌は、これからもずーっと聞いていてほしくて!
いくつもの線は円になって、全てに繋げてく。
【ミクの歌に、救われちゃった】
「……!」
どこにだって。
夜明けと蛍
夏ですね。蝉、生命の主張が激しすぎる。でもなんとなく涼しい部屋にいるときはちょっと夏だあああ!って感じがして好きな気がしなくもない。……いや、やっぱりうるさい。
まあ、ということで(?)夏にはn-bunaさんの曲を聞きたくなるので夜明けと蛍やるぞよおおおお(((!
あ、ちなみに決して夜明けと蛍聞きながらやってるわけじゃなくてワンダショの星空のメロディー聞きながらやってます()。
よし、聞き終わった。夜明けと蛍に変えたぜ。どうぞ。
淡い月に見とれてしまうから、暗い足元も見えずに。
「……あーあ」
転んだことに気がつけないまま、
「……痛いな」
遠い夜の星が滲む。
*
「ねえ、|名津《なつ》ちゃんは卒業したらどの大学に行くの?」
「え?……うーん、まだ決まってないな」
「そうなの?じゃあ、将来どんな職業に就きたいのー?名津ちゃんのそういう話全然聞いたことないな」
「……どんな……あんまり、考えてなくて」
「……そうなんだ。じゃあ、雛ちゃんは?」
「私は、ここの近くの美大。将来そういう職業に就きたいんだー!」
したい事が見つけられないから、
「でも、名津ちゃんもそろそろ決めたほうがいいよ?あとちょっとで夏休みだし」
「あはは、そうだね。ちょっと焦ってるんだよね」
急いだ振り、俯いたまま。
*
「……篠田はこの大学に行きたいのか?」
「は、い。……厳しいですか?」
「ほぼ、現状不可能だ。そもそも、歌い手になりたいということを考え直したほうがいいんじゃないか?」
「……そうですね」
「えーっ、希望職種に歌い手って書いたの?私ら、もう高3だよ?さすがに夢見てられないって……」
「……あ、ははっ。私もそう思う」
転んだ後に笑われてるのも。
……気づかない振りをするのだ。
*
夜が、好きで。
夏の夜。歌う虫達。
「……――♪、」
形のない歌で”朝”を描いたまま。
浅い、
浅い、
夏の向こうに。
『名津の夢、わたしはすっごくいいと思うな〜!』
「――……―〜♪」
冷たくない、君の手のひらが見えた。
蛍が夜を舞う。
少し明るくなった空。
淡い空。明けの、蛍。
*
「私は、教師にでもなろっかなって」
「そっかー!私は薬剤師さんかな。ずっとなりたかったしね」
「じゃあ私お薬貰いに行こ!私はね、編集の会社に務めることにしたんだ。作家は無理だったから」
……みんなが夢を語ってる中、自分は”歌い手”なんて馬鹿みたいなこと言って。
自分がただの染みに見えるほど、嫌いなものが増えたので。
こんなところから、飛びたいのだ。
……息苦しくない、無人の駅に届くまで。
*
まだ、君がいた、私に出会うまで。
*
「……胸が痛い、から下を向くのだ」
君がまた遠くを征くんだ。
「歌うのが、好き」
ねえ、夜。夢を見たい私達を、汚してよ。
ばいばい、夜に咲く、火の花。
*
水溜りに映る、
花を、
花を見ていた。
「……」
水に霞む、
月を、
月を見ていた。
「……っ、」
*
夏が来ない、ままの空を描いたなら
「……君は私を笑うかな?」
『歌で、誰かを救えたなら』
『誰かに私の歌が届いたら』
『心の在処になれたら』
――明け方の夢。浮かぶ、月が見えた空。
*
朝が来ない、
ままで
「……息が、できたなら……っ!」
『どうしても、歌ってたい』
『やってもないのに諦めたくない』
邪魔なこんな想いなんて、捨ててしまいたかった。
でも。
でも。
捨てきれなくて。朝が来ないままの世界は、息ができなくて。
遠い、
遠い夏の向こうへ。
『大丈夫。きっと、』
『 』
”冷たくない”君の手のひら、が見えた。
「……朝」
淡い、朝焼けの夜空。
夏がこないままの街を今。
藍の色、
夜明けと蛍。
ファンレターがくると泣いて喜び私が愛のお返しを届けに行きます(誰もいらねえよ)
てらてら
もうまじでいいから原曲聞いてみ?
正解を探す女の子の話です。
「私のために大学、いっぱい探してくれてありがとう!お母さん、お父さん、私、頑張るね!」
ありふれた言葉に、乗っかってら。
「私、将来は中学校の教師になりたいんだ」
盗んだ言葉に、乗っかってら。
自分がどうしたいのかわかんないけど、でも、みんなが笑ってくれるなら正解でしょ。
「……”あたし”、行方知れずだ」
*
「あのねっ、私将来は保育士さんになりたいんだ!」
「そう。あなたは教えることが得意だし、夢も叶いそうね。
……でも、保育士になるのなら教師になればいいんじゃないかしら?」
「え……?そ、そう、かな?でも、私、やっぱり――」
「……|舞夜《まや》。お母さんはね、あなたのことを思って言ってるの。保育士なんかより、中学校かなにかの教師のほうがよっぽど立派だわ」
「……そう、だよね。うん。私も、やっぱりお母さんの意見に賛成かな」
「ふふ、舞夜はよく将来のことを考えていて立派ね」
……あーあ。折角、自分で見つけた道を歩けると思ったのにな。
あたしはどこを歩いてるんだろ?
いつだって、道を踏み外してる。何度も。
毎回こんがらがった頭固まるんだ。
*
「……お父さん」
「どうした?」
「お父さんは、保育士さんと教師、どっちのほうがいいと思う?」
「そう、だな……舞夜は、どっちの職業に就きたいんだ?」
「え?えっ、と……」
言葉に詰まった。
ちょっとだけ考えて、「正解」を導き出した。
「……教師、かな。やっぱり、お母さんの話を聞いていいなって思って」
「そうか。俺も舞夜にはそのほうが向いていると思うぞ」
「そうだよね。ありがとう!」
……大丈夫。お母さん達は、あたしを「愛して」いてくれてる。
このまま、ずっとこのままで、いれば。
--- 嫌われないで、あいしてくれるよね? ---
*
親からもらった、教師の学校の案内だって、全く興味がわかなかった。
「……自由な奴らは、いいな」
自分の好きなようにいれて、愛される奴らは楽してばっかりで。
……自由な世界の空気が愛おしくて。
でも、これが「正解」だからって言い聞かせて。
気づいたら、なにが正解かの疑い方も忘れかけていた。
そんな、毎日は
--- 「正解」かい? ---
*
「舞夜はこの学校のほうがいいんじゃないかしら」
「いや、こっちの方が偏差値は低いが安心だろ」
「あなた、本当に舞夜のことを考えて言っているの!?この名門校に入ったほうが絶対に舞夜のためになるわ!」
「……お父さん、私もどちらかと言うとお母さんの学校に行きたいな」
「ほら!やっぱり私のほうが舞夜のことを1番に考えているの!」
……いない、いない、いない。
--- あたしがいないよ。 ---
あたしは「どこ」?あたしは、なにがしたいの?
またしても、いないよ。
……あたしは、保育士になりたかったんじゃない。教師のほうがずっとずっと向いてる。そうやって、そうやって正解を探してきたのに。正解を歩んできたのに。
ねぇ、「正解」って、なんですか?
*
「図書館に学校の資料を探しに行ってくるね」
「わかったわ。舞夜はしっかりものね」
「うん。受験に向けて気合い入れなきゃ」
ありふれた言葉に、乗っかってら。
「行ってきます。教師になりたいから、勉強も頑張らなきゃだしちょっとだけ勉強もしてくるね」
盗んだ言葉に乗っかってら。
『舞夜、やっぱりこの学校の方が評価が高いからここにしましょう』
「……レビューサイトの星の数で」
なんでもかんでも将来を決めんな。
余計なものまで、乗っかってら。
「……要らない」
あたし、
そんなんなら。
「正解」ってなんだっけ?
あたしはなにがしたかったんだっけ?
心、行方知れずだ。
「……あ〜あ」
*
細ーく引かれた白線を、踏み外したら”エンドロール”。
「舞夜。本番は一回だけだからね。次は二度とないのよ。気合を入れて勉強しなさい」
「……うん」
この白線に沿っていけば、正解にいけるんだよね?
*
って、そんな狂った常識も、それすらも愛おしくて。
自分自身を、縛り付けていた。
「……」
キライ、キライ、キライに
「……なりたく、ないよ」
あたし自身も世界も。
期待したいのはただ、正解に辿り着ける、今ここで鳴らす音。
だけでいいでしょ?
*
「夢を叶えるために、もっと頑張るね」
ありふれた言葉に乗っかったら、
「……成層圏越えられるかな?」
正義は常にノスタルジア、だから疑わしいよね。
「神様の二次創作かな」
あたしを、こどうして作ったんだろう?
こんな要らないあたしなんて作らなくたってよかったじゃん。
「……あ〜あ」
*
「愛されたい」なら、踏み外して。
……たとえ、それが「正解」じゃなくたって。
「……なにが正解?」
ねぇ、ねぇ。
あたしに正解を教えてよ。
頑張って、愛されようとしたって、なにが正解かわかんなくて。
衒って、衒って。
*
ありふれた言葉に乗っかってら。
盗んだ言葉に乗っかってら。
「果てしないだけの場所でなんか見つかりましたか?」
余計なものまで乗っかってら。
--- 「要らない」 ---
あたし、そんなんなら。
「舞夜……?ねえ、なにをしようとしているの!?包丁なんて離しなさい!」
シンクロナイズしちゃったら、
心、行方知れずだ。
正解がなんなのかはわからなかったけど、でも、これが正解なんだよね?
「……あ〜、あ」
…なんか、もやもやする。あたしちゃん自殺しちゃったし。
死んでしまったのだろうか 1
Guiano様の「死んでしまったのだろうか」曲パロ、第一話です。
第一話、第二話とかにすると私が80%続き書かないから今までやらなかったんですけど、今回は2番入れちゃうと一万文字とかいっちゃいそうなので。
「君が、生きているかどうか?」
僕の馬鹿げた質問に、君は笑って答える。
「……あははっ、どうだろうね?昔っからの死んだ魚の目には変わりはないよ」
「そんなこと言ったら、君も充分目が死んでいるだろ」
そうかなあ?そう言いながら、口元に笑みを浮かべる君。
《《口元》》、に。
ずっとずっと、彼女と出会った頃から変わらず。
その目は、全く感情を灯していなかった。
「……なあ。僕達って、生きているのかな」
「私に聞いて、答えが返ってくるとでも?」
相変わらずな彼女の言葉に、僕は苦笑する。
「じゃあ今から言うことは、全部僕の独り言だと思って聞いて」
空には微かな光を帯びた月が昇っていた。もう冬なのかな、なんて。わかりきったことを。
「……きっと、僕は死んでしまったんだなって」
「うん、そう思うなら死んでるんだろうね。答え、私に聞くまでもなかったじゃん」
「さっき全部独り言だったって言ったじゃねえかよ」
「うん。案外面白そうだったから、独り言から会話に格上げしてあげるよ」
「……勝手にしろ」
「なにを食べても味がしないな、って」
「え、逆に聞くけど今まで味してたの?」
食事なんて、物体を体内に取り込むだけの作業でしょ?当然のように、首を傾げる。
「言い方どうにかできねえのかよ」
「だって、そうじゃん。味とかどうでもいい。ただ、生き延びるために物を詰め込むだけ」
「……よくここまで生きてきたね」
「うん。あんなんでも私の親らしいから、食料は与えてくれる」
彼女は、まるで今日の天気を話すように虐待について触れる。
小さい頃から、それが彼女の当たり前だったからなのか。だから、なにも思っていないからなのか。
僕には分からない。それも、これからずっと、一生だろうなって思った。
「母親の愛をまるで感じないんだ」
「母親の愛、ね……そんなもの、あったのかな」
「どうだろうな」
2人で並んで歩く。交わされる言葉は、ごく少ない。
「私、こっちだから」
「ああ。また明日」
*
流れる雲を眺め思い出す。
気づいたら、もう中学生ではなくて。
気づいたら、照りつける太陽が存在を主張していて。
気づいたら、葉が散り始めて。
このまま、なんとなく季節が過ぎていってなんとなく死んでいくんだろうな、と考えて。
季節に置いてきぼりな僕の心。
「……心?」
心、
心、
--- 心。 ---
そんなもの、僕にはあったんだろうか。
「……わかんねえ、な」
からっぽな胸を張れる訳もなく。
*
「君とこうやって帰ってきて、もう随分たつよね」
「ああ。……5、6年くらい?」
「うん、小5あたりからだもんね」
僕が住む地域は、年々少子高齢化が進んでいている。元々田舎だったのも災いして、今では同学年のやつらは20人弱という始末だ。
「その5、6年の中で、君は僕の名前を一度も呼んでくれたことがないな」
「あれ、呼んでほしいの?私、ツンデレはあんまり好みじゃないよ?ど直球のほうがタイプなんだけど」
わざとらしく眉間に皺を寄せると、「あはは、ごめんって」と返される。
「僕達が大人になったら、どうなるんだろうね」
「……大人になったら、か。君が突然棋士になった未来までは見えたよ」
「…………ごめん、突拍子もなさすぎてツッコミが追いつかなかった」
「あれ、君にはそんな未来、見えなかった?」
ふざけ合いながら帰るこの日々は、いつまで続くんだろうなと考えた。
終わりがいつになるかはわからない。
そのことは、痛いほどわかっていて。
「君、お酒弱そうだよね。遊んでみたいなあ」
「……めためたに潰し返してやる」
「ふふっ、確かに、親があんなんだから私もそこまで強くならないのかな。残念」
……耽るのは妄想ばかりだ。
「でも、君が小学生だったときの思い出がここで帰ってるときだけなんだよね。学校行事とかの記憶全くないんだけど」
「ああ……僕、修学旅行も風邪で行けなくて、運動会とかも骨折って出れなかったりしたから」
「なるほど、つまり不幸体質だったと」
「うるせえな……中学校の修学旅行は出たよ」
昔話にだけは、花が咲いた。
*
生まれたときから分かってたんだ。
深海に沈む船のように、いつか忘れ去られてしまう、って。
「……――じゃあ、この世界に生きる意味って、なんなんだろうな」
いくら考えても分からない。考えれば考えるほど息がしずらくなっていって、思い出だけが過ぎてゆく。
「なあ、僕は」
僕は死んでしまったのだろうか
「どうして、生きているんだ?」
ただ息をして待つばかりさ
「そもそも最初から、生きていたのか?」
泡沫に飲まれ消えゆく日を
--- 「もう全部、わかんねえよ」 ---
--- 戻ることない失った、日々を。 ---
どこかからっぽで空虚な日々。どうしようもなく苦しくて、でもなにが苦しいのか分からなくて。どうして生きているのか、そもそも生きているのか、考えることは簡単でも結論にたどり着くことはできなくて。
『あははっ、遅いよ!早くー!』
『それでね、第5話はすっごく急展開でね!ていうか1話の伏線回収されてたんだよねちょー興奮したっ!!』
いつだって、思い出の中の君は笑っている。
確かに、笑っている。
それに応える僕も、笑っている。
それでも確かに、笑っている。
*
「……え……、死、ぬ……?」
「うん。近頃死のうと思って」
今さら、そんな驚くことじゃなくない?いつものように、笑みを浮かべる君。
12月の公園のベンチは、冷え切っている。ひんやりとした冷たさが煩わしくて、でも僕達にはこれくらいが丁度いいのかな、なんて。
「……急だな」
「感想が君らしいね。止めないの?」
「止めてほしいの?」
「質問の返しも君っぽい」
いつもの軽口に、上手く答えられていたかどうか分からない。
「だから、今日が最後になるかもしれないじゃん?ということで、なんか私に言いたいことがあったら、遠慮なくどうぞ」
そう言いながら、ばっと両手を広げる。僕は少し考えてから、こう答えた。
「君は、今生きていますか?」
君は、少し驚いたように目を見開いた。そして、数秒経ってから、にっこりと笑う。
「……どうかな。わかんないや」
「でも、……でも、」
「確実に、昔の私は……生きていたんだろうなって」
君は、笑顔を崩さず視線を下の方に向けた。ぽつぽつと、綴られる言葉に耳を傾ける。
「お母さんに愛してもらえなくても、それでも楽しいことはいっぱいあって」
「泣いて、怒って、それから」
「いっぱい、笑って」
「小5くらいのときだっけ。君の家で、アニメ見たじゃん」
「あのときね、思ったの。私、今、生きてるって」
「主人公と一緒に、旅をしてる気分だった。はらはら、わくわくした気持ちでいっぱいで」
--- 「でも今は、そんな気持ちが……私に、あったのか分からない」 ---
「生きてた、よ?私は、《《生きていた》》」
「でもさ……今生きているのっていったら、首を縦には振れないよね」
--- 「私、死んじゃったのかな」 ---
気づくと、君の顔から笑顔が消えていた。
不安とか、
恐怖とか、
「死んでしまった」自分への怒りとか。
色んな感情を、浮かべていた。
「わかんない……ねえ、わかんないよ」
「わかんない、な」
「怖い。でも、口ではそうやって言いながら、もう涙も出ない自分もいて」
「……うん」
ただ、君の言葉に頷く。君の口から出る言葉はどれも泣きたくなるほど痛々しくて、でも、耳を傾けなければいけない気がして。
ただ、頷く。
*
一週間後、君が、死んだと伝えられた。
*
『……あははっ、どうだろうね?昔っからの死んだ魚の目には変わりはないよ』
『なるほど、つまり不幸体質だったと』
『私、死んじゃったのかな』
--- ――戻ることない、失った日々を ---
*
本当に関係ないんですけど、私が書く男の子は8割一人称「僕」なんですね。でも最近、プロセカ二次創作書いてる癖で口調が明らかに一人称僕の子じゃないんですよ。そのあたり多分違和感感じた方いると思いますすいません。いっそ一人称「俺」にしようかと思ったけど原曲の一人称が「僕」だったので。はい(シリアス雰囲気を爆速で壊していくスタイル)
そして、色々と完成度低いのは見逃してください。はい。
実は夏休み明けからずっと書いてました()
原曲、聞いてみてください。ファンレターもお願いします。お名前の記載があったら愛のお返しするので((誰もいらねえよ
それでは、私の気が向いて2話も投稿されたら会いましょうっ☆
ゆめまぼろし
大好きなMIMIさんの「ゆめまぼろし」です。
無垢だったあの頃が本当にあったのか、幻だったんじゃないかって時々思うけど、そうやって分かんなくなりながら一生懸命もがいてる今は夢でも幻でもないから。それだけでちょっと勇気をもらえて、ちょっとだけ、頑張れる気がする。
「………」
部屋を整理してると、こんな物が出てきた。
「……落書き帳、とか懐かしすぎ」
懐かしく思いながら、すっかり色褪せているそれを手に取る。古びた紙特有の匂いが鼻を突いた。
あのときお気に入りだった、うさぎとくまが手をつなぐ表紙をなぞる。
ぱらぱらと中を見てみると、懐かしい思い出が蘇ってきた。周りの男の子が好きになるような、戦隊ものには全くハマらなかったんだよな、とか。あのときお気に入りだった、ペンギンの絵が描かれた水性ペンってどこにいったんだっけとか。ぼんやり、考える。
その中に、一際目立つ絵を見つけた。
「……なんだっけ、これ」
草原のような場所に立つ不格好な後ろ姿。暗闇を照らす星。そして、暗闇の中、存在感を放つ“なにか”。
それがなんだったのか、今の僕には分からなかった。まるで、幻の生き物のような背格好をしている、大きな美しいなにか。
……思い出せないけど、確かに、なんとなく分かる気がする。
その場所に、心当たりがあった。まだ確信ではないけど、それはいつしか、お気に入りだった場所。
『それ』は、その絵の中できらきらと輝いているように見えた。美しくて、眩しくて。
汚れきった僕の瞳に映る、褪せていった、昔描いた落書き帳の景色。
あれから、何年経ったのだろう。すっかり忘れてったはずの無垢な感情の場所へ、思いを馳せる。
*
「私立入試開始まで残り――」
滔々と喋り続ける担任を横目に、窓を眺めた。
真っ白な空。細い木の枝。
……冬は、寂しくて嫌いだ。
明日から、学生である僕は冬休みに入る。中学生活、最後の冬休み。受験最後の追い込みの時期でもあるので、気を引き締めて頑張らなくちゃいけない。
のは、分かってるのに。
ずるずると、失敗したことばかりが頭を駆け巡る。初めて模試で取ってしまったC判定とか、いつも通り「なんとなく上手に」出来なかった友人との付き合いとか。だめだなあ、とかぼんやり考えても、なにも変わらないことは分かってるけど。
気を紛らわすために、昨日見た絵のことを思い出した。
……確か、あの場所に一緒に行ったのは。
放課後の予定が決まる。
*
「……で、私を呼んだのはそれだけなの?」
「ん、しばらく会ってなかったしね」
許可もとらずに靴を脱いで玄関をあがっていくけど、彼女は慣れたのか文句を言わずお茶の用意をしようとする。
「いいよ、そんなの」
「先部屋行ってて」
僕の言葉に返事をせず、短くそう告げて気にせずお茶を注ぐ彼女に相変わらずだな、と苦笑した。
*
「見てよ、これ」
例のスケッチブックを出してみると、彼女は――幼馴染のよるは、案の定「懐かしっ」という声をあげた。
「それ、私も持ってたなあ……卒園記念にもらったんだっけ」
ぺらぺらとページをめくるよるだったが、そのページになると、ぴたりと手の動きを止めた。
「……絵上手いね」
「やった」
「それは置いといて、私もなんとなく覚えてるかも。でも……」
あの、例の生き物を指差す。
「これは見覚えないなあ。なんだろ、これ?」
「冬休みでしょ。一緒に探しに行こうよ」
「一応不登校だから冬休みとか知らないけど」
「皮肉だからね」
よるは、ちょっとだけ笑った。呆れたような、でもちょっとだけ、楽しそうな。いつもと変わらない笑顔を見て、僕は少しほっとする。
「いーよ、連れて行って」
*
「今日は泊まってくでしょ?」
「……え?」
当たり前のように首を傾げるよるに、一瞬思考が止まる。
「……え、だってほら、昔はいつもこうやって泊まってたじゃん」
「いや、それはそう、だけど……」
確かに外はすっかり暗くなっていて、時計の長針は7時を指す。帰るにはもういい時間だ。
「僕もよるも、もう15歳で」
「うん」
「無垢だったあの頃とは違うわけで」
「うん」
「だからその……それなりに成長したんだからあの頃と同じままではいけないでしょって」
「……うん?」
「あぁ……」
まるで伝わらない。
「え、だって私、|冬夜《とうや》のこと襲わないし冬夜だって私のこと襲わないでしょ?」
「それはそうだけどそういう問題じゃないっていうか……」
その後もなんとか説明してみると、やっとよるは「ああ、」と頷いた。
「……そっか。そうだよね」
よるは、目を伏せる。その瞳が、なぜだか少しだけ寂しそうに見えて。……多分、気の所為だけど。
元々色素の薄いよるが、なんだか消えてしまいそうな錯覚に陥った僕は、思わず「よる?」と声をかけた。
「ううん、なんでもない。……ただ、そう、だよね。私も君も、もう子供のままじゃいられないんだよな〜って思っちゃっただけ」
それは、そうだよ。そうに決まってるよ。そう言いたくなったけど、言わないでおいた。
いつまでも子供気分でいられない。だってもう、中学3年生だ。もう少しすれば高校生となって、大学生、あるいは就職して社会人になって。将来のことを本気で考えなきゃいけないし、もう夢を見ている場合じゃないのだ。
「……まあ、折角だし。今日は泊めてもらおっかな」
「ほんと?」
顔をあげたよるは、来客用の布団を出してくるために階段を降りていった。
*
よるの部屋のベランダから見える夜空は、とても見栄えがいい。かなり広いので、幼い頃は2人で空を見上げて、天体観測をしたものだ。
「ごめん、お風呂時間かかっちゃった」
「いや、こちらこそ先にもらっちゃってごめん」
窓を開けて二足あるサンダルに勝手に足を通して星を見ていると、よるがお風呂から上がってきた。「星見える〜?」と言いながらこちらにやってくる。
「……わ、ほんとだ。綺麗だね」
「でしょ」
星空は僕のものでもなんでもないのに、なぜか誇らしげになってしまう。
左を見ると、よるが楽しそうに空を見ていた。あれはなんとか座だとか、今日はあれが見えないとか。手を伸ばして、愛おしそうに星を眺めるよるのきらきらした瞳に、思わず見惚れる。
「でも私、星が綺麗なこと以外夜って嫌いだなあ」
「ちょっと、分かる気がする」
「自分の名前なのに?」
「よるだけには言われたくないな」
冗談交じりで、よるは笑いながら続ける。
「朝がさ、ちょっとだけ怖いの。きっと上手く眠れて、優しい朝を迎えられたらそれはきっと温かくて、怖くなんてないんだろうなって。
……でも、いくらそうやって思って、いくら言葉に出してみても、月の裏でそんな言葉は空を切るだけでさ」
「……うん」
「人生って、孤独だよねえ」
よるの瞳は、変わらず美しい星を映している。君は、笑う。
僕は、すぐに答えることが出来なかった。……よるが抱えてきた、押し殺してきたどうしようもない孤独を、見てしまった気がしたから。
でも、人生とはそういうものだ。割り切って、なんとか頑張らなくてはいけない。実際、信じられるのは自分だけとよく言うが、自分すら信じられなくなることもよくある。
「そうだね」
考えてから、短くそう返した。なんて言うのが正解なのか、馬鹿な僕には分からない。正解なんてないのも、分かっている。
きっと、よるに限らず、きっとみんなそうなのだと思う。寂しくて、怖くて、俯いて涙をこらえる毎日を、僕と同じように送っている。それでも誰もが、その孤独に、泣き出したい心に知らんぷりをする。
僕は、また始まりだす“今日”の前で、ちょっとだけ、ほんの少し俯いた。
今日ぐらいは許してほしいななんて、思う。
「でも、その孤独も受け入れられたら、否定しないで、優しくぎゅって出来たら、それがほんとの『強さ』なのかなあ」
「……こんなこと言えるの、君だけだよ?」
「そりゃ、嬉しいな」
実際ちょっと誇らしかったのでそう言ってみるけど、「ほんとに思ってる〜?」と疑われてしまった。それをいちいち訂正する必要もなかったから、そのままにしとく。
抑え込んだ、過去の傷と痛み。星を見てても、それは消えないから、2つ持って明日からもほんの少し生きてみる。
「……よる」
震える声。
「ん?」
「今夜は、隣にいるから」
「……ありがとね」
多分この幼馴染は、僕が受験とか、そういう類のいろんなものに振り回されて、会いに行けていなかったときも、1人で孤独を押し殺していたんだろうなって。想像するのは容易だった。
正解が分からない、明日が怖い。そんな、ぼんやりとした不安。それでもそこに優しい夜があって、よるがいる。
それだけは、夢でも、幻でもない……んだと、信じていいのかもしれない。
だから、多分、今は、
「……それで、いいんだよ」
「ん?なんか言った?」
「……独り言」
*
『僕の夢は、先生になることです』
胸を張って、黒板の前でそう語るのは、幼い僕。
少し心臓の音がうるさいけど、僕は拙い言葉を一生懸命紡ぐ。後ろにはお母さん達の姿。授業参観だろうか。教室の隅には、よるの姿もあった。
発表が終わる。割れんばかりの拍手があって、僕は少し恥ずかしくなった。
お母さんと、目が合う。少し目を赤くしたお母さんは、嬉しそうに深く頷いてくれた。
*
「………」
ふっと、目が醒めた。隣には、まだいびきをかくよるの姿。
今日から冬休みなので、学校の心配もいらない。……受験生の僕は、そんなこと言っている場合じゃないのだけれど。
現在不登校状態となっているよるの進路は、分からない。ただ、勉強はそれなりに頑張っているらしいから、高校に進学する可能性だってある。
「……随分、懐かしい夢だったな」
あれは確か、小学3年生でした「将来の夢」の作文発表。あのあとお母さんがたくさん褒めてくれて、大好きな唐揚げを作ってくれたんだっけ。
最近のようで、遥か遠い過去のようで。あの暖かい記憶は、夢だったのかと少し疑ってしまう。
それでも、夢かどうか判らぬけど、それはいつも暖かく、心細く揺れる。
仕事で忙しい母のことは、ここ数日目にしていない。女手一つで僕をここまで育ててくれた母には感謝しかないけど、……それでも少し、寂しいと思ってしまうのは、我儘だろうか。
「………ふわぁ、あれ、とうや……?おはよぉ、」
「……おはよ」
確実にこれはまだ目覚めてないなあと思いながら、挨拶に答えた。
小学生の頃は、朝が強い僕が朝がとことんだめなよるを叩き起こして学校に連れて行ってたっけ。なんて、淡い記憶。
「……起きてる?」
「……ん……おきて……おき……る………」
「寝てるなこれは」
*
「そういえば、よるの両親は?」
「んー……確かにここ最近見てないかも」
朝ごはんをもぐもぐしながら、首を傾げるよる。
「大丈夫なの、それ?」
「そっちのお母さんだって忙しそうだし冬夜と当分会ってないでしょ。いーよ、うちの親はいつ私を捨ててもおかしくないし」
ごく普通に、悲しむようでもなく、自然にそう口にするよるに「軽いなあ」と呟いた。
「……あー、でも、お金は大丈夫。口座にたくさん貯金してくれてるし、時々諭吉さん机に置いてあるし」
「じゃあ、いい……のか?」
「うん、いいんだよ。それを親からの『愛』って呼んでいいのか分かんないけど」
「愛、なあ」
……僕は確かに、親から愛を注がれて生きてきたと思う。
どんなに忙しくても、小学生のときは必ず授業参観に出てくれた。おいしいご飯を作ってくれる。たとえ一緒にいる時間が少なくなっても、ほぼなくなっても、それは変わらないままだ。
「……それを『愛』って言い切れたら、少しは楽になれたのかなあ」
よるはごちそうさまでした、と律儀に言ったあと食器をさげながら、「今日の夜行ってみようよ、あそこ」とにっこり笑った。
*
「さっっっっむ!!死んじゃう!」
「生きて」
きゃーきゃーと騒ぐよるを横目に、夕方の東京を眺める。僕達が住む住宅街を抜け、少し歩いた先にある都会の喧騒。まだ5時前だと言うのに、すっかり日は沈み、ビルや蛍光灯の光が存在を主張していた。
「は〜、手袋持ってくればよかった……」
「そんなもふもふのコートとマフラーの完全防備なのに?」
「手袋なくて完全なわけないでしょ!」
「毎年『死ぬ!!!』って言われてたらまたか……ってなるのも当然だよね」
「それはそうだけど〜!」
いつもよりテンションが高いよるを見るのはちょっと面白い。
「ココアでも買ってきなよ」と助言したら、コンビニへと駆けていったので、呆れながらもそれを追いかけようとする。
*
「ついた……!ここらへんだよね」
「多分」
たどり着いたのは、小さな丘。都会の景色が一望できる上、眺めもいいのにひっそりとしすぎているせいなのか、ここで他の人を見たことがない。……まあ、そんなわけはないのだろうけど、「自分達だけが知っている秘密の場所」みたいな感じが好きだったので、それでいいのだけれど。
「……久しぶりに来たなあ」
よるは、愛おしそうに目を細める。
「懐かしいね。小学生のときとかさ、毎日ここに来て」
「うん」
「宿題とか騒ぎながらやってさ」
「うん」
「冬は星を見て、全然知識がない冬夜に星座覚えさせて」
「覚えるの苦手なんだよ」
「あれだけ教えたから流石に覚えてるでしょ。じゃあ、あの星は?」
「……オリオン?」
「それは星座の名前でしょ!ベテルギウスってかなり有名な一等星じゃん!」
「分かるか」
怒らせてしまったみたいなので、本当にキレられる前に「ほら」と事前にコンビニで買っておいたおにぎり達を差し出す。
「夜ご飯食べよ」
「……さっすが冬夜ー!気が利く〜!!」
「手のひら返しが酷いね」
満天の星空を眺めながら、少し冷えた肉まんを笑顔で頬張るよるを、少し微笑ましい気持ちで見ている。
すると、ふと、よるが悲しそうな顔をした気がした。
「……どうした?」
「冬夜って敏感すぎるよね」
よるは、肉まんの袋をくしゃくしゃに丸めて、ゴミ袋代わりのビニール袋に投げ入れた。
「……懐かしすぎて、しんどくなってくるっていうか」
変わらず、よるはずっと星を見つめている。昨日の夜もそうだった。僕の方を、見ようとしない。
「ごめん、すぐ、とめる」
弱々しくそう呟いてから、小さな鼻を啜る音。
……泣いてるのか、と数秒遅れて気づいた。
「だめだね、明るくふるまおうと思ってたのに」
「全部、あふれちゃった」
なんとなく、察する。
昨日、僕は『分かった気で』いた。よるが押し殺していたこととか、全部。
でも多分、……なにも、分かっていなかったのかもしれない。
変わっていて、どこか掴みづらくて、それでいて、無邪気な一面もある。僕にとって、成瀬よるはそういう人間だ。
「どうやって、今日を認めてやればいいかなあ」
ぽつり、と放たれた言葉に、僕は、なにも言うことができない。
「……答えてくれないの?」
「それ、質問なの?」
「質問だよ」
「……曖昧に目を背けて生きてきた、私の命にまだ価値があるんだって」
「言えたらよかったのにね」
*
「うぁー、……色々ごめんね」
「大丈夫だよ、別に」
そっけなく、返してみる。
「……あのね、聞いてくれる?」
「…………うん」
時刻は6時。よるは、初めて僕の目をしっかりと見据えた。人と目を合わせるのは苦手だ。でも、今だけは目をそらしてはいけない気がして。僕も、よるの少し赤くなった瞳を見つめる。
「私ね、看護師さんになりたかったんだあ」
「知ってるよ」
「冬夜は流石に知ってるか。10年前、だっけ。転んで足折ったとき、優しく声をかけてくれた看護師さんが、すごくきらきらして見えて」
「……うん」
「頑張ったの」
憂いを帯びた横顔は、いつもより幼く見える。
「勉強も人付き合いも苦手だったけどさ、絶対に夢を叶えてやるんだって。憧れのあの人になりたかったから、明るくなろうって、頑張ってみた」
「……でもさあ、分かんなくなってきちゃって。なにも辛いことはないんだよ。優しい友達も、普通の生活もある。なのに、なんか、うまくできなくなっちゃって」
「周りがどんどん大人になっていって、自分だけ取り残されてるみたいで。怖いの。とりあえず、勉強だけは頑張ってみてるけど」
「そっか」
「うん、そうなの。親もさ、私のこと否定しないし。だから、うーん、なんていうか……」
よるは、原っぱに寝そべった。ちょっと前に教えてくれたベテルギウスに手をかざして。
「……昔ね、星にお願いしたんだ。あの人みたいになれますようにって」
「………あの空に期待した“未来の自分”に、なれなくてごめんなさい、って思っちゃうの」
今日見た夢を、思い出す。
教師になりたかった。勉強に励んだ。そして僕はまだ中学3年生で、まだまだ未来のことなんて分からない。なのに、その夢は次第に薄れ、時が経つとともに、「どうせ無理だ」という負の感情の渦の飲み込まれていく。
「10年前の世界は、広かった気が今はするの。
うまくできなくなっちゃってから、毎日、今までやってきたはずのことも全部空っぽに見えちゃって」
「……空っぽに見えたとしても」
やっと、口を開いた。多分、うまく言えないし、僕にはよるを励ますこともできない。ただ、それでも言わなければいけないことがあった。気が、した。
「でも、大丈夫だよ。例え空っぽだったとしても、よるがよるなりにもがいてきたことは変わりないよ。
それだけで多分、充分だよ」
「……ありがと。そうだったら、いいな」
「10年後に笑えたら、いいなあ」
2人で、少しずつ息を吐いた。
*
「……見て、よる」
「ん?」
「月」
よるが、顔を見上げた。そして、徐々にその瞳が興奮に染まっていく。
「月が、赤い……!なにこれ、こんなに綺麗な赤い月、初めて見たかも……!!」
「今日、皆既月食がある日だったの忘れてた。綺麗だね」
「……てかさ、これ、冬夜が描いたあれに見えない?」
「え?」
少し後ろに下がる。
大きくて美しい、神秘的な赤い月。
幻の生き物のように見えたあの絵と、重なる。
「じゃあ、僕が描いたあれって」
「皆既月食の月だったんだ……」
よるのように寝そべって、月を眺める。……確かに、想像力豊かだった当時の僕には、まるで伝説の不思議な生き物に見えてもおかしくない。
なんだか力が抜けて、無意識に笑いがこぼれた。
「ふふっ、あはは……っ!なんか、わくわくして損したかも」
「人聞きが悪いな」
「ごめん、うそうそ。また、こんなに綺麗な月が見れてよかった」
……人生は、すごく儚いものなのだと思う。すごくあっという間に過ぎ去って、多分、あとになればこんな思い出も笑い飛ばせるのかもしれない。
泡みたいだ。すぐに、簡単に消えてしまうようなものだ。
……けど、きっと。
--- 美しくて。 ---
この孤独を、ぎゅって抱きしめてやれるのなら。
「……でもさ、夢で見るような幻の生き物より、すぐ身近にある月だったっていうほうがいいよね」
「よる、そういうの好きそうなのにな。なんで?」
「んー……なんとなく、?ちょっとなんか、元気出るよね」
「……私は、生きてるから」
「うん」
「不器用なままだけど、生きてるから。夢見て、星にお願いした無垢なあの頃なんか本当にあったのかなあなんて不安になっちゃうけど、でもそれだけは、夢でも幻でもないんだよね」
「……うん、そうだね」
「それだけが確かで、今の私にはなにも分からないけど」
抑え込もうとしていた、傷も、痛みも、不安も、孤独も、全部全部抱きしめて。少し、歩き出そうとしてみる。
--- 「でも私は、幻じゃないからね!」 ---
よるは、笑った。
くしゃっと、全ての憂いを吹き飛ばすように、笑った。
それは年相応で、そして、星よりも、月よりも綺麗だった。
「……ああ!」
震える声。
この1日で、たくさんのことを知った。改めて、自分に向き合った。それでも今日も明日も僕は僕のままで、劇的に変われたりはしない。
でも、今はそれでよかったんだ。
--- よかったんだ。 ---
また一歩ずつ、ゆっくりと。
ギリギリ間に合った…!!!!31日で年内ギリギリですが書き終わりました!!やったーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
成瀬よるちゃんと冬夜くん(名字決めてなかった)の蜜月を描きました。嘘です(?)
裏話とかは日記で書いてると思うのでぜひそちらも見てみてください。とりあえず書き上げられてほっとしています。
冬夜くんが昔描いた落書き帳の景色はゆめまぼろしのイラストをイメージしています。あの、真ん中にいる赤い幻の生き物的なやつは皆既月食のときの赤銅色の月だったって設定にしました。はい。
酷い出来だけど、書き上がったのは夢でも幻でもないからね。(
2023年は小説投稿全く出来ませんでしたが一応これが書き納めとさせていただきます!久しぶりに曲パロ書き上げて改めて楽しさを実感したので、近々また書きたいなって思っています。
歌詞を全て小説内に組み込んだので、よければMIMIさんの原曲も歌詞暗記するぐらい聞いてくださると嬉しいです笑笑
ということで最後まで駄文を読んでくださりありがとうございました!!ファンレターもお待ちしています…!「ゆめまぼろし」でした。