昨日までは普通だった
普通だったんだよ?
その普通って一瞬で壊れるね
続きを読む
読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない①
僕は中学1年生
名前は茎田 真司(くきだ しんじ)
僕の人生は一瞬で変わった
普通の朝だった
いつも通りお母さんの顔を見て行ってきますって言った
普通に学校に行って友達の顔も見た
先生の顔も見た
みんなの顔を見て
街を見て
空を見て
鳥だって見た
なのに、これが僕にとって最後の景色になるとは思わなかった
「行ってきまーす」
「行ってらしゃい」
はぁ夏休みまでまだまだじゃないか
早く夏休みになって
パーっとしたい
この窮屈な感じから抜け出したいよ
「おい、真司!」
「わぁ、武命(たける)おはよ」
「一緒に行こうぜ」
「うん」
こいつは僕の友達
ゆういつと言ってもいいほど数少ない友達の中の一人だ
すんごい元気なやつだけど
話しかけてくれるからありがたい
じゃないと教室で一人ぼっちになっちゃうからね
飛ばしまして
キーンコーンカーンコーン
「さようなら」
「武命、一緒に帰ろ」
「おう、いいぞ」
そんな他愛のない会話がずっと続くと思ってた
「おい、真司、危ない!!」
「え?」
僕が武命の方を振り返った途端
目の前が真っ暗になった
キキー!
ドガン!
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない②
痛い全身が痛い
ここはどこだろう
何も見えない
夢?なのかな
でも、痛いから現実?なのかな
話し声が聞こえる
誰だろ
ん?おか、あ、さん?
泣いてる?
なんでだろ
武命の声も聞こえる
何話してるのかな
よく聞こえない
誰かがこっちに来た
痛い痛い
頭触ってるのは誰だよ
そこで途切れた
「おい、真司、真司」
誰かが泣いてる
武命だ
なんで泣いてるの?
聞いてあげたいけど声が出ない
口を動かそうとするけど動かない
いや、待てよ
動く?
「た、ける?」
「おい、真司、今、今こいつが、話したぞ、おい、真司、生きてんのか?」
泣きながら大声で叫んでる
「た、ける?」
同じことしか言えなかった
「真司、お前、心配したんだぞ」
すごい泣いてる
「おい、医者よべ!!」
ん?医者?
なんでだろ
医者ってことは
ここ病院!?
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
待てよ?
僕、何があったんだ?
なんで?
で、なんか医者がなんかダラダラ話してきたけど
ほとんど覚えてない
それで、これがちょうど一週間前の記憶
でも、僕の人生が変わったってことは確かだ
だって僕は
目が見えなくなったんだから
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない③
そう、僕はいわゆる「視覚障害者」っていうやつになってしまった
あれから、僕の周りに友達はいなくなった
武命も、僕のこと好きじゃなくなったみたい
お母さんの前では愛想良くしてるけど
学校では、話してもくれない
寂しいよ
なんで
なんでトラックなんかが僕に突っ込んできたんだよ
あいつのせいだよ
トラックがトラックが突っ込んできたから
僕の人生が全て変わったんだよ
何もかもが
毎日電柱にぶつかって
お母さんは毎日
トラックの運転手とか警察に抗議しに行っている
ごめんね
僕なんかが生まれたから
お母さんが大変な思いをして
友達を悲しませて
トラックの運転手の人生を変えたことになるよね
突っ込んだ場所も今工事してるみたいだし
僕が生きているからダメなんだ
ある日、お母さんが言った
「学校、引っ越そっか」
「え?」
「そっちの方が真司も楽しいかもしれないでしょ?」
「いや、母さん、なんでまた僕のためにお金かけようとしてんの?」
「なぁ、母さん、バカじゃないの?、もういいよ、僕なんか、いなくなればいいんだから」
そう言って自分の部屋に戻った
お母さんの泣いている声が聞こえる
ごめんね、お母さん
ごめんね
僕なんかが生まれてきたから
武命、お前、いいやつだったな
武命が怪我しなくて良かったよ
僕は、裏切られてもお前と笑ったことは忘れないから
ごめんね
ごめんね
もう、いやだ
いやだ
なんで、なんで僕なんだよ
ここ、三日間布団から出ていない
お腹すいたとかもうどうでもいい
お母さんが呼びにくるけど
ドアに向かって枕を投げる
大体当たらないけどね
普通に生きてただけなのになんでダメなんだろ
お母さんが仕事に行った隙に部屋から出てみる
ちょっとお腹すいたから何か食べようかな
何週間学校に行ってないかな
でも、こんな僕が行ったって迷惑なだけだから
冷蔵庫に何かあるかな
手で探ってみるけどわからない
お菓子何かあったかな
何も、ないか
そんな時、外から呼ぶ声がした
「おーい、茎田くーん」
誰だろと思ってカーテンから少し様子を伺ってみる
え?誰?聞いたことない声なんだが
こっちから呼んでいるのかも分からない
返事すんのもなぁ、と思っていたら気付かれてしまった
「あ、茎田くんだよね!」
「え?だ、誰ですか?」
「あー、僕1年B組の森 蒼斗(もり あおと)です。」
なんか変に張り切ってるみたいな声
変なやつ
「ねぇ、今日手紙届けにきたんだ!」
「え、あ、ありがと、げ、玄関来て」
「わかった!」
そう言って玄関のドアを開ける
どんなやつなんだと思いながらも少し嬉しい気持ちがあった
でも、もう期待しないって決めてるから
「きみ、真司くんでしょ?」
「うん、そ、そうだけど」
「いい名前だよね〜」
「ありがと」
「今、家誰もいないの?」
「え、うんそうだけど」
「あ、上がってく?」
「え!いいの!?」
「う、うん、届けてくれたし、暑いでしょ?」
「やったーーーー!ありがと!」
「ど、どうぞ」
「お邪魔しまーす!!」
なんだこいつとも思いながらも家に招き入れた
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない④
「わー、家広ーい」
「飲み物、な、なんかいる?」
「え、いいよ、大丈夫、お構いなく」
「あ、うん」
「な、なんかする?」
「うーん、」
「あ、テレビ見る?」
「あ、じゃあ、みまーす」
「あれ、リモコンが、いつもの場所にない」
そう言って手で探っていると
「もー真司くん、ここにあったよ」
「あ、ご、ごめん、ありがと」
「はは、真司くんって面白いね」
「いや、そ、そんなことないよ」
心のどこかで嬉しかった気がする
なんでだろ
人とこんなに話したの久しぶりだ
こんな僕でも、嫌いにならないのかな
いろいろ話していたらお母さんが帰ってきた
「真司!、あんた、友達が来てるの?」
「うん、手紙届けに来てくれた」
「あんた、何日顔見せてくれなかったんだよ」
そう言って泣き出した
「ごめん、母さん」
「ぼ、僕、そろそろ帰りまーす」
「あ、蒼斗くんありがと」
「いいよ、また、来るね」
「ありがと」
そう言って玄関まで見送った
友達、か
あの人なら
仲良くなれそう
だめだ、期待したら
また、裏切られるんだから
もう、僕は、人を信じられなくなっていた
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない⑤
蒼斗くんは次の日もその次の日も来てくれた
嬉しい
期待しないって
決めてるから
僕は人間じゃないから
人間だと誰も思いやしない
学校引っ越すって言ってたけど
嫌、かな
友達?みたいになれたから
また、帰ってきたらお母さんに言おう
蒼斗くん、今日、遅いな
なんでだろ
どうしたのかな
いつも5時くらいにきてくれるのに全然こない
僕の体感ではもう6時だ
どうしたんだろ
うずうずしてたらもう7時
8時
9時
お母さんが帰ってきた
「お母さん、今日遅かったね」
「あー、うん、仕事終わらなくて…」
「そう、なんだ」
蒼斗くんのことが気になって学校のことなんか言うのを忘れてた
蒼斗のことも、言おうとも思わなかった
ご飯も食べずに寝てしまった
「おはよって誰もいないか」
今何時だろう
太陽が眩しい
11時くらいかな
そういえば蒼斗…
どうなったんだろ
蒼斗…
5時になるまでが待ちどおしい
ソファに座って何も考えない
机に突っ伏する
ねむ、い
〜夢〜
「ママ?ママ?」
ここはどこだろ
5歳の時に初めてきた、デパートだ
迷子になったな
「ママ?ママ?」
ずっと泣き叫んで呼んでた
「ママはもういない」
「ママはもういない」
「友達はもういない」
「友達はいない」
そこで目が覚めた
そっか僕みんなに見捨てられたんだ
だよね
蒼斗も僕のこと嫌いになったんだ
お母さんも迷惑だとしか思ってないよね
みんな僕なんかいらないと思ってるんだ
消えてしまえばいいんでしょ?
そうだよね?
僕はいらないんでしょ?
みんな嫌いなんでしょ?
僕だって、僕だって、みんなのこと
**`大嫌いだから`**
僕はみんなと違う、誰も分かりやしない⑥
久しぶりだー
嫌いだ
全部
なくなればいい
全部
僕ごと消して欲しい
何もいらない
願いが叶うなら
僕に目を返せ
僕の人生を変えた目を
憎いよ
全てが
ぼくの目をとって何がしたかったの
ねぇ
ぼくに罰を与えたかったんでしょ
悪いことした?
ねぇ
教えて
誰にも嫌われないように
気に触ることがないように
静かに
息を潜めて
生きてきた
なのに
何で
僕って不運だよね
自分でも面白いよ
誰からも愛されず
何もかもがなくなった世界で生きている
そんなことわかる人なんかいないと思う
僕は毎日を生きるだけで
精一杯なんだよ
やっぱり
**`僕はみんなと違う、誰も分かりやしない`**
完結?
この続きが思いつかないということで…