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学校一のイケメンがまさか私を好きなんて2
1.自己紹介とトラブル
クラスはざわざわとしていた。
私はまっすぐ自分の席へ向かい、周りをうかがう。
孤立している子、グループで集まってはしゃいでいる子たちと様々。
まぁ、私はもちろんといいますか孤立している方。
(話しかけた方がいいのかな・・・?いや慣れてから少しずつ・・・?)
私のなかでぐるぐる気持ちが渦巻いていく。
(私、どうやって友達作ってたっけ?う~どうしよう)
迷っている間に教室に先生が入って来た。
私のクラス、5組は如月(きさらぎ)先生という優しそうな女の先生だった。
(先生が優しそうで良かった~。不幸中の幸い、かな?)
とりあえず、ほっと安心。
「は~い、みなさん!席に着いてね~。
えーっと。じゃあまず、あいさつしましょっか」
如月先生はにこやかに進めていく。
「起立!おはようございます」
「「「おはようございます」」」
「それではHRは終わり。1限は自己紹介、するから考えておいてね」
それだけ言って今日のHRは終了。
15分後に1限目が始まるみたい。
(自己紹介か・・・。仲良くなるきっかけでもあるよね)
ぱっと顔を上げるとワイワイと集まっている人たちがいた。
私の斜め左前の席だ。
男子も女子も関係なく集まっていて、中心で笑っているのはとても容姿が整っている男子――いわ ゆるイケメン、というやつだ。
(私はあの輪には一生入れないだろうな)
女子だって可愛い子が多いもの。無理に決まってる・・・。
別に入ろうとも思ってないけどね。
如月先生が黒板に自己紹介の内容をかいているのが視界に入ったのでそちらに視線を動かすことにした。
╎╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╎
╎ ╎
╎ ☆自己紹介 ╎
╎ ・名前 ╎
╎ ・好きな○○ ╎
╎ 食べ物 ╎
╎ 色 ╎
╎ 動物 ╎
╎ キャラクター など ╎
╎ ・クラスのみんなに一言 ╎
╎ ╎
╎ ╎
╎╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╎
うん、無難。
ごくごく普通の自己紹介の例だ。
(私は・・・。羽月椛です。好きな・・・うーん。私の好きなもの・・・・・・・・・??)
いままで考えたことがなかったかもしれない。
小学生の時は何て言ってたっけ。
(確か・・・読書、だったかも。)
小学生の事を思い出したけど、最近は小雨と莉空と遊んでいたから読書はしていない。
(あ、でも色とかでもいいのか)
ここは普通にいくかなと思った。・・・・・・けど。
(自己紹介でインパクトあった方が・・・友達になれる子がいるかも)
そう思ってもう一度考え始め。
やっと思いついたのがこれ(・・)。
結構自信はある。本当に大好きで知名度も高いから、話題になると思う。
よし――・・・これで勝負する!!!
─── ⋆⋅ ♰ ⋅⋆ ─── ─── ⋆⋅ ♰ ⋅⋆ ─── ─── ⋆⋅ ♰ ⋅⋆ ─── ─── ⋆⋅ ♰ ⋅⋆ ───
いよいよ、自己紹介!ってたって5分もたってないけどね。
「それでは、1限を始めます。号令を・・・1番の天川さんお願いできますか?」
先生が指名したのは、さっきイケメンくんの輪の中でも中心にいた女子。
「はい。・・・・・・起立!礼っ」
(やっぱりきれいな子・・・)
席が遠い、私から見ても、輝いているような気さえして。
ちょっとだけ、うらやましく思ってしまった。
(いけない・・・自己紹介に集中!他の子の自己紹介を聞くのも大事だもんね)
自己紹介に気を戻し、前を向きなおす。
「はい、天川さん、ありがとうございます。
自己紹介を始めましょうか。この出席番号のくじで順番を決めます。
当たった人はその場で立って自己紹介をしてね。」
先生の説明にクラス全体がざわざわし始めた。
「えー最初やだな~」「知ってる子多いのにさー」「ね、のちのち知ればいいよね」
「俺、さっきしゃべっててな~んも考えてねぇわー」
ざわめきの中に、斜めの席からのつぶやきだけは、キレイに聞き取ることができた。
あの、イケメンの彼。
(何も考えてないって・・・できるの!?)
そんな私の考えはまもなく くつがえされることとなる。
「は~い、気持ちは分かるけど、静かにね。
――では、名誉ある最初の人は・・・27番さん!」
「誰!?」「ウチじゃなくて良かったぁ~」「え、廉じゃね?」
「はい、先生!俺ですっ」
何も考えてない、と言っていた彼だ。
それなのに、その子は堂々と立ち上がり流暢に話し始めた。
「えっと、俺の名前は夕霧廉です。好きなものは運動とJ-POPとかロック系の音楽です。1年間よろしくお願いしまっす!」
(何も考えてないんじゃなかったの!?なんで・・・。そんなすらすらと・・・)
びっくりして思わず彼―夕霧くんを凝視してしまう。
私以外にもそんな子が少々。
(夕霧廉くんって言うんだ・・・すごいな)
なぜか とくんっ と心臓がハネた・・・ような?
いや、これはアイドルとか・・・イケメンに対するあくまでファン的な感情だよね??
うん・・・。きっとそうだよね・・・。
バクバクする心臓をおさえて、必死に落ち着く。
「ありがとうございます、先生も音楽、好きだな~!
――では、次の人いきますよ~。えっと23番さん。」
ま、まさかの私!?!?!?
この盛り上がった空気の中で・・・!?
慌てていると、先生がもう一声かけた。
「誰ですか~?」
「・・・・・・はい、わ、私です・・・!!」
なんとか発言したけど、小さくって届いていない。
「先生!こいつですー!」
突然、私を指さして夕霧くんが言ったの。
席が近い彼には聞こえていたのかもしれない。
驚いて夕霧くんの方を見ると
「頑張れよ!」
と、笑顔で励ましてくれた。
ドキッとしてカーッと顔が熱くなっていく。
「う、うん・・・。あり、がと」
なんとか返事を返すけど、今のは絶対に女子の反感を買ったと後になって気づいた。
私に向く、冷たい視線(主に女子)。
(やっぱイケメンってすごい。天は二物を与えずって言うけど十物くらいもらってる気がする)
頭だけが冷静に働いていく。
「もうみんな、睨まな~い睨まない。
― 羽月さん、自己紹介お願いできますか?」
先生からの問いにコクッとうなずく。
「羽月椛です。きへんに花で椛っていう漢字です。・・・・・・音楽を聴くのが好きです。
よく聴くのはMrs. GREEN APPLEです。仲良くできたら、嬉しいです。」
**「椛!?羽月椛!?まじか!!」**
なるべくハキハキと大きな声を意識して・・・話し終えた。
その直後、夕霧くんから大きな声で名前を叫ばれた。
「え、何?やっぱり廉さまに気があるの?」「パクリとかヤッバ」「知り合いな訳?」
シリアスな言葉がこそこそと丸聞こえで飛び交う。
自信を持って言えたのに・・・急に不安になってきた。
(さま付けされてる・・・。当然といえば当然だね、あんなにかっこいいんだもん。ってそんだけかっこいい男の子がなぜ私のこと認識してるの!?)
「女の子たち、そうやってこそこそするのは厳禁。自己紹介の後に先生の中での
3つのルール を言うから、よ~く考えてね?」
「「「はーい・・・」」」
一部の女子から明らかに不満な返事が聞こえてきた。
先生はちょっと笑って
「羽月さん、自己紹介ありがとう、椛って可愛いお名前ね」
夕霧くんの時のようにコメントしてくれた。
「あ、ありがとうございます・・・私も、好きです」
目立ちたくなく、きゅっと縮こまりお礼をする。
その様子までじっと見られている気がして怖い。
その後も私は空気のように気配を消した。
いつの間にか自己紹介は終わっていて、またもや私は失敗してしまったような、暗い気持ちになってしまった。