公開中
朝日の差し込む部屋にて
ファセリア
とある日の朝だった。
新撰組の隊士である藤堂平助は屯所の木で出来た廊下を歩いていた。周りの隊士達におはようと挨拶しながらも進む足はどんどん早くなって行っている。
「沖田」
そう言いながら障子を開けるとそこには布団に横たわりながらケホケホと席をしている沖田総司が居た。
「おや、平助じゃないですかー」
そう緩く言う沖田に平助は少し安心した様な表情を浮かべた。明るく振る舞っているが沖田の衣服の胸元に血が少し付いているのを平助は見逃していなかった。
「調子はどうなんだ?」
「昨日よりかは幾らかマシですよ。」
そんな話を2人でしていた。
沖田が昨日よりかはマシと言ったのは昨日の夕日が差し込む時間帯だった。
平助が廊下を歩いていると、数人の隊士が焦りながら平助に寄って来た。
「どうしたんだよ、そんなに急いで。」
平助は大事では無いだろうと思いすらっと答えた。だが、隊士達が言ったことは平助の想像を遥かに超える事案だった。
「沖田さんが倒れたんです!」
平助は一瞬思考が止まった気がした。
あの沖田が?
あの明るくていつでも笑顔の沖田が?
そう思いながら隊士達に案内された場所に向かった。
「あぁ…平助…ケホッ…」
無理に喋っているのだろうか。咳き込んだ際に口元から鮮血が垂れている。
「沖田…!大丈夫なのかよ!」
「これを見て大丈夫だと思うんですか…?平助は…?ケホッ…」
沖田の言う通りだと平助は思った。他の隊士達は誰か呼んでくると言いいつのまにかその場を去っていた。
「沖田、お前血が…!」
「あぁ…。少し前からだったんケホッ…ですけどねぇ…遂にバレちゃいましたか。」
どうやら前からだった様で、本人が言うには池田屋での戦いの時からだった様だ。確かにその時も沖田は途中で離脱している。
何でそのことに気づけなかったんだって思いながら平助はその場で唇を噛んでいた。
バタバタと足音が聞こえると向こうから近藤や土方が来ていた。
それが昨日あったことで、そう考えると昨日よりかは顔色も良いし咳の頻度も低くなっている。
「平助…もし僕の方が先に死んだら、骨は拾ってくださいよ?」
いつもより弱気な沖田の少し震える手をギュッと握り、
「なんて事言うんだよ。そんな事には俺が絶対させない。」
と沖田の事を元気付けた。
「はは、良い事言ってくれますねぇ。」
沖田は少し微笑みながら平助の頭をさらりと撫でた。急に撫でられた平助はうるさいと言いながらも少し微笑みを浮かべていた。