編集者:ファセリア
新撰組関係の歴史創作まとめです。
BL・ホラー・学パロ・現パロ・ポケモンパロ等何でもあり。
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目次
貴方の太陽と私の月を
「トシ、最近疲れてるんじゃ無いのか?」
そう言って来たのは土方の幼馴染であり、新撰組局長の近藤勇だった。
「…そんなことねぇよ。近藤さん。」
近藤の気にかけに土方はそっけなく答えた。
壬生浪士組から新撰組となり、仲間達の離れなどのいざこざが重なっている状況での土方の心労を気にかけたのだろう。そうかと言う近藤の声は少し落ち着いていた。
かく言う土方も局長である近藤の事を心配しているのだろう。だからこそ彼は迷惑をかけまいとそんな事は無いと言ったのだろう。
そんな中で夜、土方が部屋で考え事をしていると足音がしたのだ。近藤が土方の部屋に入って来たのだ。
「どうかしたんですか近藤さん。」
「いや、何でも無いよ。」
土方がそう聞くと近藤は何も無いと答えた。すると外に出ようと言い近藤は土方の手を引き外の縁側へと出た。
冬の外は肌寒く、空気が澄んでいた。澄んだ空気の中で一番星が煌々と輝き、他の星も負けじと輝きを増している。
その日は満月だった。木の隙間からは星の光よりも強い月光が輝いてる。
「…綺麗だ。」
土方がそう呟くと近藤はそれを待っていたと言うかの様にニコッと微笑んだ。
「今日は月が綺麗だな。」
「あぁ。」
近藤から見る土方の横顔は月光を浴びて、いつもよりより一層綺麗な肌を映している。透き通る様な黒髪は鏡が光を反射するかの様な輝きを増している。
それを間近で見ている近藤は抑え切れずに土方の長い黒髪を撫でた。
「何ですか、近藤さん。今日はより一層おかしいですよ?」
「酷い事言うなぁトシは。お前の綺麗な髪を触れてみたかったんだ。」
何を言ってるんだこの人は、と言うような顔をしている土方を見た近藤はははっと声を出して笑った。
「何笑ってるんだよ…。」
いつもの敬語を外し、幼馴染として話すことにした土方は多摩の時の様な口調で呆れていた。
「大体、今日は何があったんだよ。俺の事を気にしたり、何がしたいん…」
だ、と言い切る前に近藤の唇が土方の言葉を塞いだ。
「トシ、お前は新撰組の副長である前に俺の親友だ。心配するのは当たり前の事だろう?」
はぁはぁと息切れし、脱力し切っている土方に近藤はそう言った。それじゃあお休みと言って近藤はその場を立ち去った。
残された土方は近藤に先程された接吻の感覚を思い出し、その場で土方本人にも聴こえないぐらいの声で呟いた。
「かっちゃんの馬鹿野郎…。」
真っ赤になった土方の顔を、月光が照らしていた。
金木犀の香りに誘われて
「あ、お帰りなさい。」
ある秋の日だった。斎藤が屯所に戻ってくるとそこには竹箒を持っている沖田の姿があった。どうやら敷地内に降り積もった金木犀を掃き掃除している様だ。
放っておくと量もそうだが匂いがあたりに充満してしまう、それを防ぐ為にも丁度暇だった沖田が掃除を始めたそうだ。
それを見た斎藤は帰って来てすぐにもかかわらず、近くにあった竹箒を手に取った。
「俺も手伝う。」
「おや、優しいですねぇ。」
2人で竹箒で金木犀を掃く音だけがあたりには響いている。その光景は何だかいつもの殺伐とした京では無く、本来あるべき姿の平和な京に見えた。
沖田がふと気づくと斎藤の肩に金木犀の花がちょこんと乗っている。それを取る為に沖田は斎藤の方へ近づくと足元の金木犀が邪魔をしてその場でうわっと言って躓いてしまった。
「…何をしているのだ。」
「いやぁ、斎藤君の肩に金木犀の花が乗っていたので、取ってあげようと思って。」
そう言うと沖田は自分を心配している斎藤の肩に乗っている金木犀の花を振り落とした。
「…ありがとう。」
斎藤がそう言うと沖田はふふっと笑った。それを何がおかしいんだと言わんばかりの目をしている斎藤を見てもう一度笑った。
そんな事をしていると突然風が吹き、金木犀の花弁が降り注いだ。先ほど掃除した場所にはまたこんもりと花が降り積もっていた。
「これじゃあ一生掛けても終わりませんよ。」
「そうなったらいつでも俺が付き合ってやる。」
「斎藤君は優しいですねぇ。お気持ちだけ受け取っておきますね。」
もうこれ以上掃除してもキリがないと判断したのか沖田はその場から立ち去り、縁側に斎藤を連れて来て、誰が入れたのか分からないほうじ茶を差し出した。
「明日も降り積もるかもな。」
「えぇ、その時はまた2人で大掃除しましょうよ。」
2人にとっての平和な時間は、夕焼けに照れされてより一層輝いていた。
あの時から数年が経ったある秋の日だった。
斎藤は庭に植えられている金木犀を見て微笑んだ。
「…あの時も、こうやって花が積もっていたな。沖田。」
その声は金木犀の香りに誘われてやって来た風に乗って、何処かへと舞って行った。
勝機は貴方の器に有りけり
「行けエルレイド!」
「サーナイト!避けてください!」
屯所の中庭、土方歳三と山南敬助は互いに自分のポケモンを戦わせるポケモンバトルをしていた。
事の発端はある昼下がりの事だった。
「暇してますか?」
暇そうにしながら欠伸をする土方に山南はそう言った。
「あぁ、まぁな…。」
「そうですか。では…」
一戦どうですか?と山南が誘ったのが始まりだった。
その後も激しい攻防戦が続き結果的な試合結果は山南の勝利で場を収めた。
悔しがっている土方に目を向けて山南はこう告げた。
「土方君、私の方がもし先に亡くなったら、私のサーナイトを貴方に預けようと思っているのですが…。」
「はぁ?そう不吉な事言うなよ。まぁその時が来たら俺が責任持って育ててやるよ。」
ふふと小さく笑った山南は土方のエルレイドを回復させ、お茶を取ってくると言いその場を去って行った。
その場に残された土方と土方のエルレイド、山南のサーナイトは日差しが差し込む木々を見つめていた。
「…お前の飼い主はいつも不吉な事言うよな。」
山南のサーナイトの頭を撫でながら土方がそう言うとサナ、と小さく鳴き声を上げた。
「お待たせしました。お茶を持って来ましたよ。」
「あぁ。ありがとな。」
風に揺れる木葉を見ながらゆっくりと過ぎる時間を過ごしていた。
「…なぁ、さっきの話、本当にするなよ。」
「えぇ。冗談のつもりで言いましたよ?少なくとも貴方よりは長生きする予定なので。」
どう言うつもりだよ、と言う土方を横目にそれではと言いながら山南は去って行った。
「…じかたさん、土方さん!」
土方がハッとすると周りには仲間達が心配そうに見つめていた。雪が降っている蝦夷の函館だった。
「…あぁ、大丈夫だ。心配かけたな。」
そう言いながら笑う土方の側には山南が切腹する前に預けられたサーナイトが心配そうに見つめている。相棒であるエルレイドは早く行くぞと言わんばかりの目を向けている。
かつて戦った時の様な晴空は蝦夷に広がっていない。正反対の曇り空と雪が降り積もっているだけだ。
それでも仲間の為に戦わなければいけないという土方の信念が心を動かしていた。
「行くぞ、お前ら。」
相棒のポケモンと元々仲間だった人間達に思いを告げ、雪の降る戦場へと足を踏み入れるのだった。
朝日の差し込む部屋にて
とある日の朝だった。
新撰組の隊士である藤堂平助は屯所の木で出来た廊下を歩いていた。周りの隊士達におはようと挨拶しながらも進む足はどんどん早くなって行っている。
「沖田」
そう言いながら障子を開けるとそこには布団に横たわりながらケホケホと席をしている沖田総司が居た。
「おや、平助じゃないですかー」
そう緩く言う沖田に平助は少し安心した様な表情を浮かべた。明るく振る舞っているが沖田の衣服の胸元に血が少し付いているのを平助は見逃していなかった。
「調子はどうなんだ?」
「昨日よりかは幾らかマシですよ。」
そんな話を2人でしていた。
沖田が昨日よりかはマシと言ったのは昨日の夕日が差し込む時間帯だった。
平助が廊下を歩いていると、数人の隊士が焦りながら平助に寄って来た。
「どうしたんだよ、そんなに急いで。」
平助は大事では無いだろうと思いすらっと答えた。だが、隊士達が言ったことは平助の想像を遥かに超える事案だった。
「沖田さんが倒れたんです!」
平助は一瞬思考が止まった気がした。
あの沖田が?
あの明るくていつでも笑顔の沖田が?
そう思いながら隊士達に案内された場所に向かった。
「あぁ…平助…ケホッ…」
無理に喋っているのだろうか。咳き込んだ際に口元から鮮血が垂れている。
「沖田…!大丈夫なのかよ!」
「これを見て大丈夫だと思うんですか…?平助は…?ケホッ…」
沖田の言う通りだと平助は思った。他の隊士達は誰か呼んでくると言いいつのまにかその場を去っていた。
「沖田、お前血が…!」
「あぁ…。少し前からだったんケホッ…ですけどねぇ…遂にバレちゃいましたか。」
どうやら前からだった様で、本人が言うには池田屋での戦いの時からだった様だ。確かにその時も沖田は途中で離脱している。
何でそのことに気づけなかったんだって思いながら平助はその場で唇を噛んでいた。
バタバタと足音が聞こえると向こうから近藤や土方が来ていた。
それが昨日あったことで、そう考えると昨日よりかは顔色も良いし咳の頻度も低くなっている。
「平助…もし僕の方が先に死んだら、骨は拾ってくださいよ?」
いつもより弱気な沖田の少し震える手をギュッと握り、
「なんて事言うんだよ。そんな事には俺が絶対させない。」
と沖田の事を元気付けた。
「はは、良い事言ってくれますねぇ。」
沖田は少し微笑みながら平助の頭をさらりと撫でた。急に撫でられた平助はうるさいと言いながらも少し微笑みを浮かべていた。