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勝機は貴方の器に有りけり
ファセリア
「行けエルレイド!」
「サーナイト!避けてください!」
屯所の中庭、土方歳三と山南敬助は互いに自分のポケモンを戦わせるポケモンバトルをしていた。
事の発端はある昼下がりの事だった。
「暇してますか?」
暇そうにしながら欠伸をする土方に山南はそう言った。
「あぁ、まぁな…。」
「そうですか。では…」
一戦どうですか?と山南が誘ったのが始まりだった。
その後も激しい攻防戦が続き結果的な試合結果は山南の勝利で場を収めた。
悔しがっている土方に目を向けて山南はこう告げた。
「土方君、私の方がもし先に亡くなったら、私のサーナイトを貴方に預けようと思っているのですが…。」
「はぁ?そう不吉な事言うなよ。まぁその時が来たら俺が責任持って育ててやるよ。」
ふふと小さく笑った山南は土方のエルレイドを回復させ、お茶を取ってくると言いその場を去って行った。
その場に残された土方と土方のエルレイド、山南のサーナイトは日差しが差し込む木々を見つめていた。
「…お前の飼い主はいつも不吉な事言うよな。」
山南のサーナイトの頭を撫でながら土方がそう言うとサナ、と小さく鳴き声を上げた。
「お待たせしました。お茶を持って来ましたよ。」
「あぁ。ありがとな。」
風に揺れる木葉を見ながらゆっくりと過ぎる時間を過ごしていた。
「…なぁ、さっきの話、本当にするなよ。」
「えぇ。冗談のつもりで言いましたよ?少なくとも貴方よりは長生きする予定なので。」
どう言うつもりだよ、と言う土方を横目にそれではと言いながら山南は去って行った。
「…じかたさん、土方さん!」
土方がハッとすると周りには仲間達が心配そうに見つめていた。雪が降っている蝦夷の函館だった。
「…あぁ、大丈夫だ。心配かけたな。」
そう言いながら笑う土方の側には山南が切腹する前に預けられたサーナイトが心配そうに見つめている。相棒であるエルレイドは早く行くぞと言わんばかりの目を向けている。
かつて戦った時の様な晴空は蝦夷に広がっていない。正反対の曇り空と雪が降り積もっているだけだ。
それでも仲間の為に戦わなければいけないという土方の信念が心を動かしていた。
「行くぞ、お前ら。」
相棒のポケモンと元々仲間だった人間達に思いを告げ、雪の降る戦場へと足を踏み入れるのだった。