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ライター 前編 【スノあべ】
この小説は、裏社会に入ったSnow Manの、そして、阿部ちゃんの復讐(?)のお話。
(Snow Manというアイドルグループは、この小説でも存在します)
所々おかしいところはありますが、最後まで見ていただけると嬉しいです。
あと長いです。
町はクリスマス。イルミネーションと人々の笑顔で色めき立っている。
掃除用具を探す夫婦、お揃いのカチューシャを身に着けたカップル、雪だるまの着ぐるみを着た子供まで、このムードを追いかけている。
「チッ」
デパートに足を運んだものも、大して収穫がなかったので、家まで車を走らせる。
家に着けば、商品開発のメモ、打ち合わせの内容が入った手帳、3年前に買ったシャーペン、4冊目の日記、全てが無作為に置かれてあった。
仕事場は常に綺麗に保っておきたい。でも、今の仕事の量はとても手に負えない。
カチカチカチカチ
座って文章を打ち込んでいく。
「……出来た」
俺は、出来上がった記事を投稿した。
〈あの人気企業が新商品を発売!健康機能性飲料「ヘドニズマー」〉
執筆者 “|讐部凌平《あさべりょうへい》”
「ヘドニズマー」、これは健康を促す商品、ではない。実際は、毒キノコの成分が含まれた液体状の覚せい剤である。口に含んだ時点で覚せい剤の効果を発揮し、体に異常な働きを起こし最悪の場合死ぬ。薄めれば、目眩や耳鳴りが起こる程度となり、使い勝手が良い。長期にわたって開発された期待の新商品だ。
記事の詳細には、購入サイトや企業名が一切載っていない。つまり《《一般的には》》誰も手に入れられないようになっている。俺が記事を投稿した“web”と言っても、闇バイト、特殊詐欺、強盗集団等、あらゆる裏社会の人間が使うネットワークである。もう分かるかな?(笑)
そう、俺、讐部凌平改め“阿部亮平”は、裏社会の人間に便利な商品を売りPRする、便利屋兼`ライター`だ。
「はぁ…」
一仕事終え、ため息を|吐く《つく》。天窓からの日光に目を細めた。
休息のためコーヒー豆を挽く準備をしていると
Prrrrr,Prrrrr
携帯が鳴った。
「…誰だろう」
特別急ぐ様子もなく、いつものように粗く挽きながら携帯を取った。
「もしもし」
『もしもし、讐部凌平さんですか?』
思考停止。聞き覚えのある声に驚きを隠せなかった。外では悠長に車が走っている。
「…ええ、そうですが」
声を少しだけ高くして応える。
『貴方様の商品、とても素晴らしいですね。是非とも手に入れたいと思い、お電話させて頂きました』
「お電話有難うございます。どの商品でしょうか」
『先程記事として投稿された、ヘドニズマーを頂けますか?』
「…ヘドニズマーですね、畏まりました。何本ご購入でしょう?」
『取り敢えず、3本お願いします』
「畏まりました」
この業を始めて未だ3ヶ月程しか経っていないが、俺は、俺の[目的]に大いに近づいた。
だが、あの記事を見たとしても、俺が販売していることには気付けないはず。恐らく、それも全て知っていて、俺の連絡先をどこからか入手し、今電話をかけているのだろう。
「ヘドニズマー3本、ご購入有難うございます。実は私が販売している商品は、全て手渡しでのお届けとなりますので、ご自宅か何かに伺わせていただいても宜しいですか?」
『ああ、もちろんです』
「ご理解感謝します」
「では、お届けする住所と、何時頃が良いか、それとお名前をお教えください」
『住所は、〇〇△△□□、なるべく明日の17時頃に。名前は』
“深澤辰哉”です。
まさか、本名を言うとは思っていなかった。
きっと、ただの便利屋だからと見くびっているのだろう。
「有難うございます。ではご指定の時間に伺わせていただきますね」
『有難うございます』
⋯プツ
これで、終わる。
---
11:00
お届けまで、約6時間。
俺は、入念に終わりのための準備を進めていた。
約束通りのヘドニズマー3本は段ボールに、その他諸々はバックに詰めていく。
「今日で⋯終わり、なのか⋯」
ここに至るまでの経由を思い起こす。
〜〜〜
『見て!これめちゃくちゃ可愛くない?パンダの赤ちゃん』
『うわ可愛い!持ってみたい!』
「ラウが持ったら潰れちゃうよ?ww」
『そんなことないもん!』
「⋯可愛い」
『ハッあざとい警察です逮捕ー!』
いやなんでよ、って言おうとしたら、
バタン!!
『阿部さん!!』
マネが週刊誌を手に取りながら、
『これ!』
とあるページを指差した。
そのページには、俺と人気女優さんとの不倫に関する事が書かれてあった。
当然、そんなことは神に誓ってしてないんだけどね。
そこから、SNSの誹謗中傷を受けた。今までにないくらいものすごい量。
知ってはいたけど。やってないし。
更に、家族からも罵声を浴びた。してないって言ってるはずなのに。
終いには、
『阿部ちゃん、見損なったよ』
『阿部、ふざけるな。お前がちゃんとしないといけないのに』
『阿部ちゃん⋯阿部ちゃんだけはそんなことしてほしくなかったよ』
『てめぇ分かってんだろ!!ふざけんじゃねえよ!!最っ低だな!』
『阿部ちゃん、そんなことしたあかんってわかるやろ?』
『阿部ちゃん、何してるの。許されないことだよ。ちゃんと謝罪しな?』
『阿部ちゃんさ、これでどれだけの人が迷惑かかってるか分かってる?』
『阿部ちゃん、俺⋯阿部ちゃんと今まで通りに過ごしたら駄目な気がする』
メンバー全員から、非難され、俺の存在を拒んだ。
そして、俺は、Snow Manを抜けた。
おかげで皆楽しそう。
でも、あの写真をでっち上げたのは、メンバーだって、裏社会で良くないことしてるって、分かってからは、自分もその世界に入った。
Snow Manメンバー全員を地獄に落とすために。
〜〜〜
分かっている。この世界に入ったら、誰からも許されない。分かりきっている。
ただ俺は、俺を置いて裏社会に入ったこと、俺の人生を破壊したことを償ってほしい。それだけ。
「⋯あっ」
俺が家を出た瞬間、雪が降ってきた。
小さくて、体温で溶けるくらいの、か弱い雪。
ふわふわ舞い上がる雪に苛つきを覚えたのは、この世で一人だけだろう。
頭に、コートに、バックに、段ボールに、車に、墜ちる雪が、この世のものではない事を願う。
運転席に乗る。商品はちゃんと包装して、バックの下においた。
エンジンをかけると同時に|冬《ゆき》が強まった。
はぁ、一体どれほどの人が俺の行く手を拒んだか。
(やっぱり冬は嫌いだ)
計り知れない覚悟と、後悔を振り切って、アクセルを踏んだ。
難しい。もっと出来そうなんですけどね(笑)
大晦日の生配信に向けて、まだまだ頑張ります🫡
後編もお楽しみに。
ここまでご覧頂き有難う御座いました!
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※実在する人物及び内容は、本人様には一切関係ございません。
全てフィクションです。