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不壊の壁は刃を持たない 第十五話
ガルフの用事とは!?今回長めです。
ガルフ尾行作戦開始から約10分……ガルフの背後約5m。そこには、電柱の影に隠れる不審者がいた…言うまでもなく、マルチとシンゴとタートルである。
3人で小声で話し合う。
「今のところ、大きな動きはありませんね…。」
「ガルフ、『何かを探しているような』感じだな。」
「そうですね。」
「えええ!? なんすかそれ!! ぼく1㎜も分かりませんでしたよ!?」
「やっぱ知能C+だな。」
「ひどくないですか!?」
「あ゛!!! 見ろ、あそこ!!! ガルフが服屋に入って行ったぞ!!!」
「え!」
「じゃあ、本当の『用事』は、『服屋に行くこと』だったんですかね?」
「でも、それくらいなら別に嘘ついてまで隠す必要ないじゃないですか。」
「う〜ん…じゃあ、『別に』何かがあるってことなのか?」
「どうなんでしょうか……。」
「ア! ミンナナニヤッテンノ?」
なんと、ついにはアルバトロスまでもが尾行中のシンゴたちを見つけ、タートルと同じくそれなりの音量で声をかけてしまったのだ!!!
**「🤫!!!」**
「ナ、ナンダコレ!!!」
「本日2度目の絵文字!!!」
「今ガルフを尾行してるんだよ。」
「ナンデ?」
「俺たちになんで嘘ついたのかを調べるためだよ。」
「ヘエ。オレモマゼテ!!!」
「おう。いいぞ。あまり大きな声は出すなよ。」
**「ワカッタ!!!」**
**「🤫!!!!」**
「ゴメン。」
「もう全員じゃん…。」
ガルフが服屋に入ってから約10分後…。
「全っ然出てこねえ!!!」
「うーん……何か手掛かりになるものはないかなぁ……ん?」
「何か見つけたか?」
「いや、あの看板……。」
そう言ってシンゴが指さしたのは、服屋の前に立っているある看板だった。
【裁縫教室開催中!!! 服以外にも使えるヨ!!!】
「……裁縫教室?」
「ガルフさん、裁縫教室に行ったんですか?」
「え、なんで?」
「シラネェヨ。」
「うーん……**いや、確かに最近、服の裾やボタンがきれいに直されていた気はする。でも、それなら既製品の修理サービスに頼めばいいはずだし、わざわざ自分で技術を習得しようとするからには、何か特別な理由があるに違いない。例えば、誰かに手作りのプレゼントを贈りたいとか、あるいは布地の強度や縫製パターンを深く理解することで、日常の服選びや何か別の作業に活かそうとしているのか……? 待てよ、『ただなんとなく興味が湧いた』という可能性も捨てきれない。でも、あの真剣な目つきは絶対にそれだけじゃない。何か隠された目的が……。**」
「こっちも本日2度目!!!」
「やっぱりいつ聞いても長いですね。」
「イツオワルンダ。」
「考えてもわかんないなぁ…。」
**「…のぞいてみようか?」**
「え、できるんすか!?」
「おう。|消音魔法《ミュート》と|姿隠魔法《ステルス》を使えば…いけるはず。」
「やってみましょう!!」
「ヤルノ?」
「やるの!」
**のぞき見作戦 開始!!!!**
「俺は『2特』だからな。|消音魔法《ミュート》と|姿隠魔法《ステルス》を同時に使えるんだよ。」
「おおー!」
「よっしゃ、行くぜ! **|姿隠魔法《ステルス》!!!!**」
マルチがそう唱えた瞬間、マルチを含めたシンゴたち全員が透明になった。※マルチのおかげでシンゴたちにはお互いの姿が見えています。
「すげー!!!」
「これで足音とか出されてガルフに見つかったら大変だからな。**|消音魔法《ミュート》!!!!**」
その瞬間、シンゴたちの『音』が消えた。
「………。」
「…………!!」
「……?」
「**|消音魔法《ミュート》|解除《リリース》!!!!**」
「ブハッ!!!」
「はぁ。忘れてた。|消音魔法《ミュート》使ってる間は声も出せないんだった。」
「|消音魔法《ミュート》も|姿隠魔法《ステルス》みたいに『特定の人だけ音が聞こえるようになる』とかできないんですか?」
「ふっ。できないことはないさ。」
「じゃあやってくれたらよかったのに。」
「__………魔力の消費量がハンパじゃなくなるんです。__」
「なんか急に声が小さくなった!!!」
「マルチは『ふっ』で誤魔化せなくなると、こんなふうになるんです。普段はイキってあんなことしてますけど、これがマルチの本来の姿なんですよ。まあ、すぐ元に戻るんですけどね。」
「__しょうがないだろ!? こっちにはこっちなりの事情があるんだよ!!!__」
「それもうでかい声で言えばいいのに。」
「…まあいい! |消音魔法《ミュート》の|特定解除《フィックスリリース》は魔力を死ぬほど食われるから、さっさと行くぞ! 俺についてこい!」
「本当にすぐ戻った!!!」
「わかった!!」
「行くぜ!! **|消音魔法《ミュート》!!!!**」
またさっきと同じように音が消えたが、マルチのおかげでシンゴたちはその消えたはずの音が聞こえている。
「はよしろ!!! はよ!!!」
「タートルさんはぼくが担いで行きます!!!」
「頼んだ!!!」
急いで服屋の窓から中を覗くシンゴたち。だが……。
**「カーテンかかってんじゃねえか!!!!」**
**のぞき見作戦 失敗!!!!**
「はぁ……魔力がだいぶ減っちまった。」
「大変でしたね。」
「カエリタイ~。アイスガトケルヨ~。」
「今の気温は…27度……やばいかもしれませんね。」
「もう尾行作戦やめます?」
「いや、まだだ。いつかきっと救いの手は現れる!!!」
「そんなこと言っても…もう5時間ですよ? さすがに帰りましょうよ…。」
「いや!! まだだ!!! いつか救いの手は現れえええええええええ!!!」
「どうした!!!」
「ガルフが!!! ガルフが出てきた!!!」
「マジすか!!!」
なんと、服屋から出てきたガルフが持っていたのは……**いびつな形をしたぬいぐるみだった!!!!**
**「ブハハハハハハ!!!! ヘッタクソ!!!!」**
「あ、ちょ!! マルチさん!!!」
「あ゛、見られた?」
「え!? いやいやいやいや、何にも見てませ……。」
「いや…何それ……下手くそすぎるでしょ……ww」
「そうなんだよねぇ。」
「……ガルフさんって、裁縫苦手なんですか?」
「そうなんだよ。だから、裁縫教室に行ってみることにしたんだ。」
「でも、なんであんな嘘…。」
「笑われると思ったから。でも、みんな思ったより優しくて安心したよ。さすが俺の見込んだパーティーメンバーたちだ。ただ……。」
**「ギャハハハハハハ!!!!」**
「|マルチ《あいつ》だけはあんまり優しくなかったがな。」
「……。」
その翌日。冒険者ギルドにて。
「おーい!!!」
「へ?」
少し太り気味の男が、クエストが貼られた掲示板へ向かって猛スピードで走ってきたのだ。
「だれすか?」
「|任務《クエスト》|郵便《ポスト》だよ。毎日掲示板にクエストを貼りに来るんだ。でも、今日はいつもと様子が違うような…?」
|任務《クエスト》|郵便《ポスト》の男は、掲示板にバンとクエストを貼りつけて言った。
**「|緊急《クリシス》|任務《クエスト》だ!!! 【クロードラゴンの討伐】!!!! S級|任務《クエスト》だ!!! 誰かこのクエストをクリアしてくれないか!? 期限は明日まで!!!」**
「ええ!? 何それ!!! しかもS級!? ぜっっっっっったいやりたくない!!!」
「ああ。S級の強さは前に身を持って思い知ったし(四、五話を参照)、明日は休みの予定なんだ!!!」
「そうだそうだ!!!」
**「報酬は600万ペールと『ラーブラ』のエクレアだ!!!」**
「……は? 今…『ラーブラ』っつったか?」
「言ったよ。『ラーブラ』って……16時間並ばないといけないあの最高級ブランドのエクレア?」
「しかも600万ペール………。」
**「やるしかねぇ!!!!」**
**「ええええええええ!?」**
次回!S級任務!