公開中
八度目の虚無
「えーいやもう、もしも全然こちらの職種に興味がなくともですねぇ、えーいやわからなくとも一から手取り足取り教えますのでそこまで気をはらなくても大丈夫ですしぃ、えーいや新卒の方はとにかくやる気とガッツがあれば問題ないと思いますがぁ、えーいやしかしさすがにどんな人でもいいというわけではなく、えーいやこちらに歩み寄ることも必要でして、えーいやーえいやぁー」
なっげぇんだよ!?
さすがに長すぎるわ!この説明会いつから始まってると思う?もうすぐで2時間になるぞ!?
というかさっきから何話してんだ?二十分もかからないようなスッカスカな内容なのに!?あんた今、人の大事な時間奪ってるってこと気づいてる?ぜってぇ気付いてねえ!!!
だんだんイライラしてきた。僕がこんな事を考えている間にも、この人事だか役員だか知らん女の人は、ずっと能面のような顔をした画面奥の僕に向かって話し続けている。
「えーおや向いてない業務につかされるなんてことになったら、えーおややらされている側も周りの社員も辛いでしょうから、えーおやミスマッチを避けるためにもえーおやえーおいおい」
なんか、意外とハッとさせられること言い始めたぞ。焦って冷静な判断力を欠いている僕を見透かしたのか?
「えーいいやぁえーいいやぁ〜」
もう何か歌い始めてないか?
---
「あ!お時間ちょっと過ぎてしまいましたね、すみませぇん。それではここいらで説明会を終わりにしたいと思います。」
「あ…はい。ありがとうございました。」
僕は退出ボタンを押して、PCを閉じた。
はぁ〜…疲れた…
異様に長い説明会だった。しかも中身がない。
だけどなぁ…ちょっとあの女の人、綺麗だったな。…熟女だけど。
いやいかんいかん!邪な思いよ、直ちに召されよ!
僕は神に懺悔して頭を垂れた。