公開中
泣いていたあの子は。 ~ 第1話 ~
ある夜。
1人の小さな男の子の泣き声が、静かな街に響く。
__志村転弧。彼の名前だった。
「うぅ"、ひっく、、」
目や首をガシガシと掻いたのか、赤黒く腫れている。
手には血がついており、通りすがりから見たら随分と珍しい姿だった。
行く宛てがなく、近くの公園のベンチに座った。
街灯が転弧を静かに照らす。
ザ、、と砂を蹴る音がして転弧は思わず振り向いた。
「…なにしてんの、こんなとこで」
手に缶ジュースを持った青年だった。
暗闇であまり見えないが、中学生くらいのようだ。
「、ぉ、おにいさん、、誰、…?」
青年は答えず、転弧をじーっと見つめている。
転弧が動揺していると、青年はツカツカと歩み寄ってきて転弧の隣に遠慮無しに座った。
「…アンタ、何歳?」
「、…ごさい、」
「家は?」
「、っ……お家、ない、、」
「……」
青年はしばらく黙ったかと思うと、すっくと立ち上がり言った。
「俺ん家来るか?」
転弧は目を瞬かせた。
街灯に照らされて、青年の顔がよく見えた。
とても綺麗で、整った顔立ち。
真っ直ぐに転弧を見つめる眼差し。
転弧は、思わず頷いた。
『この人なら、、』
いつの間にか、体の痒みはおさまっていた。
__それが、あの日の歪みになることも知らずに__、、