公開中
第九話
一歌「お待たせー!」
後ろから声が聞こえ、視線を向けると息を切らしながら走ってくる一歌の姿が見えた。
結月「遅い」
一歌「イデッ」
約束の時間からもう1時間も経っているのでムカつくほど整っているその綺麗な顔面にチョップを入れた。
結月「行くよ」
一歌「うん!」
そのまま屋台を眺め時々わたあめやチョコバナナ、ラムネなどを買って会場から少し離れたベンチに座る。
一歌「いやー友達と来る花火大会は楽しいねー!!!」
結月「こんなとこ来たの初めて」
一歌「え!嘘!?」
結月「ほんと」
一歌「私も!」
結月「え うそ」
一歌「ほーんと!」
いやいやお前は絶対嘘だろと思いながら一歌を見てると目が合う
一歌「ぶっ!」
そして急に吹き出した
結月「何よ。人の顔を見て吹き出すなんて」
一歌「だって星宮さん、『いやいやお前は絶対嘘だろ』って顔で睨んでくるから…あっはは!」
思い出してまたツボっている。楽しそうなとこ申し訳ないがこっちは全然笑えない。
一歌「はーおもしろかった。ところでさ、1つ聞きたいんだけど…」
結月「奇遇ね。私も」
「なんでいつも通り制服なの?」
「なんで今日は浴衣なの?」
正反対な質問に場を沈黙が覆う。
1分ほどしてから一歌が声を張り上げた
一歌「え!?だってだって!ここ花火大会じゃん!」
一歌「こうゆうとこって浴衣着ていくもんだよ!!」
結月「そうなの?」
一歌「そうなの!」
まさかこんなことも知らないなんて…とゆう驚きと呆れが混ざったなんとも言えなそうな表情で睨んでくるものだから私だって黙ってられない。
結月「別に制服でもいいでしょ!浴衣を着ていきなさいなんて誰が決めたのよ!」
一歌「決まってる訳ではないけど!なんかこう…青春?みたいなさぁ!」
あーだこーだ言っているうちに周りに人だかりが出来ていたことを知ったのはまだ少し先だ。
一歌「そろそろ花火始まるね」
一歌「移動しよっか」
結月「いい場所知ってるの?」
一歌「うん!」
一歌「花火がとびっきり綺麗に見える場所だよ」
一歌「どお?」
結月「確かにここなら…」
一歌が連れてきたのは会場から離れたシンと静まり返っている階段のところだった。
予定地点まで邪魔する木や屋台はないし時折吹いてくる風は夏の夜からか涼しかった。
一歌「いっぱい下調べして考え抜いた最適の場所がここだったからね!!」
結月「…もしかして私のために一生懸命調べてくれたの?」
悪戯っぽく笑って冗談を言ってみれば自信満々だったその顔はフリーズしてしまった。
結月「……え」
__**ドォオン**
花火が打ち上がったようで私たちの姿を空が照らす。
遠くから人々の歓声が聞こえ、上を見上げたらすごく綺麗な花火があるのだろうがそれどころではない。
結月「…図星?」
目の前の肩はビクッと震えそのまま地面にズルズルと降りてしまった。
一歌「__…別に…友達と初めて見る花火に気合い入れたっていいじゃん…__」
思わずバッとしゃがみ込み下から覗きこめばそこには茹でダコのように真っ赤になった顔が見えて
_目が合った
一歌「あんま見ないでよ…」
その時の一歌の顔はどの花火よりも綺麗だったと思う。
そして、私の心臓を大きく動かした
**ドォオン!!!**
結月「____」
一歌「…え」
花火の音でかき消されてしまったが、一歌には聞こえていたと思う。
だがこんなタイミングで都合よく鳴り響く花火をこれ以上憎たらしく思ったことはない
結月「だから…」
結月「_付き合ってください」
こんな、人生初の告白の時に
一歌「え え…?」
突然の告白に驚いたのか目の前の可愛らしいまだ友達は慌てふためいていて
そんな姿も可愛いと思えてしまうのはさすが惚れた弱みと言うべきか。
いや、もう随分前から私は彼女に惚れていたのかもしれない。
初めて会った、あの時から
結月「…返事を聞きたいんだけど」
一歌「ぁ…」
まだ考えがまとまらないのかしばらく口をパクパクしていたが、やがて一歌は覚悟を決めた顔でこちらを見た。
一歌「その…すっごく嬉しい…し、こうゆう時にどんな返事をしていいか分からない…けど」
_ごめんなさい
その一言で世界が壊れる音がした。
結月「…どうして?」
一歌「どうしてって…なんか…私たちは学生だし、まだ早いってゆうか…」
結月「早くなんてないでしょ。同い年で付き合ってる子たちなんて星の数ほどいるよ」
一歌「結月にはもっといい相手がいると思うし…」
結月「私は一歌を選んだ。一歌以外で付き合いたい人なんて居ないよ。」
一歌「女の子どうしだし…!」
結月「別に同性でも付き合うことぐらいはできる。全員が全員男女で付き合っている訳じゃない。」
一歌「その…」
結月「…嫌なら嫌っていいなよ」
自分のものとは信じられないほど冷たい声が出た
一歌「ちがっ…!嫌って訳じゃ…!」
結月「ここまで言い訳されてると、もうそれ以外に考えられないよ。」
結月「…そうだよね。急にこんなこと言われても困るよね。相手はただの同級生でしかないんだし」
一歌「結月のことは友達だと思ってるよ!」
結月「それ以上にはなれないんだ?」
一歌「っ…」
分かってる。友達に付き合ってだなんて馬鹿なことを言ったのは私だ。こんなのフラれたことによる逆ギレでしかない。
だけど
この年頃にごめんなさいのショックは大きかった
結月「…ごめん。困るよね」
一歌「まっ…」
結月「帰る」
一歌「…結月っ!」
そのまま何も言わずに走る。
初めて呼んでくれた名前さえも振り切って。
夏音「わっ!え!?」
途中で自転車を息切れしながら一人で漕いでいる女の子と会ったが足を止めることはない
_背後で聞こえる花火の音が、とても耳障りに感じた。
すまんとろしゃけ!君の小説にあんなシーンは無かったけどどうしてもやりたかったんだ…!