公開中
戦え!三つ巴!《第一話》
月のない暗い夜…
「陽葵。そろそろ実行するわ。例のものを」
「はい…氷華さま…本当に実行されるのですね?」
「ええ。義母上さまからのこの仕打ちにもう耐えていけないわ…」
陽葵はいつも感情を出さない主人が涙を流しているので氷華の義母…暁月に大きな怒りを覚えた。
「では…旦那さまへの置き手紙を。これを置いたら…、出ますよ。陽葵。紅羽も待っていることでしょうから。」
「はい…」
そして氷華は机に手紙を置き、陽葵と一緒に忍足で外に出た。
「氷華さまっ!行きますよ!」
「紅羽。義母上に気付かれぬうちに。」
「もちろんです!」
それから彼女たちは日が昇るまで走り続けた。
「氷華さま。この辺りでよろしいでしょうか?」
「ありがとう。紅羽、陽葵。貴女たちも疲れたでしょう?休みなさい。」
「はい!ありがとうございます氷華様っ」
陽葵はすぐにテントを立てて眠ってしまった。
「氷華さま。氷華さまもお休みにならなければ…」
「いえ。大丈夫よ。貴女こそ休みなさい。…もう貴女たちは私に従わなければいけないわけではないのです。着いてこなくても…」
「それなら、友人としてついて行かせてください!」
「え…。それが貴女の望みなら。」
それから氷華はしばらく昇る朝日を眺めていた。紅羽は氷華を心配して休めと言ったが氷華の耳には届かなかった。
その頃、氷華の居なくなった屋敷では…
「氷華!?氷華はどこなのだ!」
「旦那様。それが…」
氷華の夫、晴雅に側近の一人がそっと耳打ちした。
「なんだと!?母上…」
晴雅は愛する妻が自らの母のせいで居なくなったと知り、これまで優しいと思っていた母を憎らしく思うと同時に、自らの無力さを悟った。
「晴雅。どうしたの?あいつが居なくなって嬉しいでしょう?」
晴雅は、ついに本性をあらわした母を母だと信じたくなかった。悪魔にしか見えなかった。
「母上っ!氷華をに何を…ッ」
晴雅は、この母に言っても無駄だと思い、口を閉じた。
「本当。あの女が居なくなっていい気分だわ。」
晴雅は、悪魔のような母にどうしようもないほどの怒りを抱いたが、決して口には出さなかった。
それからしばらく、暁月の高笑いが屋敷中に響いていた。
どうでしょうか…
あ、読んでくださりありがとうございます。