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6-6「力の継承」
ルイスside
『……確かに素敵だよ』
少年と目が合う。
ずっと狙撃銃を抱えて瞳が見えていなかったが、僕は驚いた。
彼は、赤色だった。
過去の僕ではないのか──
『──“呪い”』
「……!」
『キミの“想い”のこと、そう云わないから早く消えて』
「……まぁ、戦いの途中だからね」
聞くか、否か。
少し悩んでしまう。
彼は、何者なのだろうか。
『──そんなにボクのことが気になる?』
「まぁ、此処についても理解できてないから少しは」
『ボクは昔のルイス・キャロルで、キミは今のルイス・キャロル。……君にチャールズ・ドジソンの記憶がなかったのは、ボクと共に此処“忘却の果て”へ追いやられたから』
「……説明がもう少し欲しいかな」
『入隊して、隊長やロリーナに出会ってから一般的な感情が揃った時のことだね。理性がボクを要らないものとして此処へ追いやった』
「簡潔にまとめて」
『ボクは、キミが嫌う戦闘を好む“狂人”ってことだよ』
多分、一番わかりやすくまとめてくれたんだと思う。
ただ目の前の少年が──昔の僕が、《《そう》》だったことを少し受け入れられない。
久しぶりに呼吸が乱れる。
『一つ、伝えたいことがある』
「……何かな。もう結構ツラいんだけど」
分かってる、と昔の僕はしゃがみ込んで狙撃銃を手放した。
銃は暗闇に消える。
『……戦闘の時は多少ボクがキミに影響を及ぼす。ロリーナの時は|キミ《ルイス》の中に、哀しみや怒りから|ボク《狂人》が強く出てしまった。レイラを殺す時に笑っていたのは、そのせいだと思う』
「……。」
『冷たい目で見下ろして、笑みを浮かべて……。空っぽだったボクは何にも関心がなかったけど、未熟だからこそ多かった死が隣り合わせな戦いだけが、生を実感できた』
「それが、伝えたいこと?」
『いや少し話が逸れた。レイラに云われたことをキミがガキのように馬鹿みたいに悩んで考え込んだお陰で、ボクはキミとこうやって話すことが出来るようになった。力の継承も、多分いけると思うよ』
「……待って。真面目に聞いてたけど莫迦にしてるだろ」
ガチャガチャと先程から鳴らしていた鎖の音が止まった。
完全に彼を縛るものが無くなったのだろう。
上手く歩いたりできない僕とは違って、彼はスタスタと此方へ向かってくる。
『此処に来たということは、キミは|ボク《狂気》の力を全て引き出すかもしれない。レイラと決着をつけるということは、キミの決めた“|誰も殺さない《誓いであり想い》”に反するだろうから──』
--- 「もしも僕が壊れたら、その時は君がこの体を使って良いよ」 ---
『……は?』
「元々君がいなくても、不殺は破るつもりだったよ。それが僕なりのケジメだからね。あと長い間、君を一人にしてしまったんだろう?」
『っ、そんなのボクは気にしてなんか──!』
「人形になった僕より、君の方がいいじゃあないか。大切な人を、街を、全てを守ってくれ」
『あっ、おい待てっ……!』
「頼んだよ、|ルイス・キャロル《もう一人の僕》」