このシリーズは「英国出身の迷ヰ犬」という前のアカウントで書いていた文スト二次創作で張っていた伏線などを頑張って回収しながら書きたかった最終回を目指していく話の続きです((長いわ
注意⚠︎
・文スト二次創作
・小説ネタバレあり
・オリキャラ多数
・オリジナルストーリーのみ
・伏線を全部回収できるわけがない((
・英国出身の迷ヰ犬と少し設定違うかも
───
おすすめの読み順①
・シリーズ『英国出身の迷ヰ兎(1)』
↓
・シリーズ『英国出身の迷ヰ兎(2)』
↓
・シリーズ『英国出身の迷ヰ兎(エンディング集)』
↓
☆シリーズ「英国出身の迷ヰ兎(3)」
おすすめの読み順②
・シリーズ『英国出身の迷ヰ兎(1)』
↓
・シリーズ『英国出身の迷ヰ兎(2)』
↓
・小説『Ending.1「世界から消えた女王」』
↓
・小説『Ending.2「太陽を失った先の未来」』
↓
☆シリーズ「英国出身の迷ヰ兎(3)」
───
収録章
六章「幾つにも枝分かれした未来で(本編)」
エピローグ
プロローグ〜四章「全世界放送」はこちら↓
https://tanpen.net/novel/series/5083fb82-6328-48db-b68b-ffe12ef9c781/
間章「迷ヰ兎ノ軌跡」〜五章「fight or game」はこちら↓
https://tanpen.net/novel/series/3781522c-c8c3-4eee-a305-4a1336251051/
六章「幾つにも枝分かれした未来で(a.b.c)」はこちら↓
https://tanpen.net/novel/series/fd1d0602-7589-498c-8ca6-12698275c333/
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目次
6-1「犠牲の上に作られる切り札」
久しぶりに書いてるのでゴチャゴチャするかもです。
最後であり、エピローグに繋がる迷ヰ兎たちの行く先を温かい目で見守ってください。
ユイハside
ユイハ「──厳しいか?」
思った以上に例の能力者がダウンしない。
これじゃあ道化師がワンダーランドの入口に送る前に、ルイスが限界を迎えそうじゃねぇか。
ユイハ「道化師!」
ゴーゴリ「何!? 私いま大変なんだけど!?」
ユイハ「後は任せたからな!」
|ユイハ《この身体》が壊れる可能性が高いが、もう手段は選んでられない。
ゴーゴリ「ちょっ、ユイハくん!?」
ユイハ「さっさと倒れやがれ……っ!」
距離を詰め、ナイフを振るう。
触れた瞬間に映像は途切れ、ヘルメットを外して名探偵の元へ向かう。
ガブ「状況は?」
乱歩「ユイハなら君の予想通り壊れて今後は使えないだろうね。まぁ、その代わりに目的は達成できるだろうけど」
???「ちょっとユイハくん!?」
ガブ「──道化師」
ゴーゴリ「急に捨て身で突っ込んで雷が収まったかと思えば動かなくなっちゃうし困ったんだけど!?」
ガブ「良いから其奴貸せ。シグマ、」
シグマ「これで良いのだろう?」
ガブ「……助かる」
例の異能者を拘束し、改めてとどめを刺す。
すると文字列が周辺に浮かび上がり、異能が無事に発動してくれた。
後は異能を合わせるだけ。
乱歩「暫くなら問題ないと思うよ」
ガブ「……なるべく急ぐ」
アトヅケを消す。
その異能の合成自体はそんなに難しくない。
問題があるとすれば、範囲と異能自体の強さだ。
高く純粋な電気をキープしないといけないだけでなく、足も止めないといけない。
転移能力を使われないようにしなければいけないし、どれだけ補助能力を用意できるかだな。
乱歩「焦らないでいいよ」
ガブ「……!」
乱歩「どれだけ時間が掛かってもいいから、確実性を持たせてほしい。そう、ルイスなら考えるだろうからね」
ガブ「──あぁ、知っている」
6-2「間に入るノイズ」
ルイスside
レイラ「……グラム?」
ルイス「っ、まさか、!」
ヴィルヘルム『朗報だ。グラムの無力化に成功した』
レイラ「そんな……嘘よ、グラムが負けるなんて……」
勝ち筋が、少しだけ見えた気がした。
このままいけば、きっとレイラも無力化することができる。
レイラにできた大きな隙。
其処を突くように攻撃をしたが、微妙に入らず避けられる。
それより気になるのは速さだ。
先程よりも何段階も上げている。
ルイス「……これ以上はキツいんだけどな」
身体が重い。
レイラの攻撃に追いつけなくなってきた。
レイラ「そのまま死んで」
ルイス「死ねないんだよ、今はまだ」
アリス、僕は君に助けられてきた分、何かを返したい。
それが出来るのはきっと今日だ。
???『※※※※※※※※※※』
何だ、今のは。
ワンダーランドからの通信ではない。
もっとこう、ノイズのような──。
レイラ「っ、今のは……!」
何か、あちらの通信で入ったのが僕のでも拾ったのかもしれない。
そんなことを思っていたが、レイラの表情がただ事じゃないのを表している。
ルイス「一体何を──」
レイラ「※※※※※!」
ルイス「……、?」
声が遠い。
というか何も聞こえない。
???『……大丈夫ですよ。身体を預けて眠れば、何も問題ありません』
問題しかない。
???『ほら、そのまま意識を落として──』
ルイス「(……っ、意識が…!)」
???『戦う理由なんて無いはずです。貴方はこの世界を守る義務なんて、無い』
あれ、僕は何で戦っていたんだ?
6-3「すれ違う思想」
短めday
レイラside
倒れた。
あのルイス・キャロルが倒れた。
レイラ「っ、魔人フョードル……!」
あの男、一体何を考えて──。
フョードル『なに、と云われましても。少々お手伝いを、と思いまして』
レイラ「何が“手伝い”よ。ふざけるのも大概にしなさい」
フョードル『お気に召しませんでしたか? 心配しなくても、暫くは目を覚まさないのでトドメを刺しては──』
レイラ「そんなことで私の復讐が成し遂げられるとでも?」
フョードル『……怖いですね、その殺気』
思っていないことをペラペラと。
それにしても、どうしたらいいのかしら。
魔人のことだから、暫く目を覚まさないのは本当のことでしょう。
気を失ったのが“異能力”によるものなのは確実。
そして起こすのが不可能な訳では無い。
フョードル『異能が無ければ。そう思っているのは事実ですが、貴女についていくのはもう辞めようかと』
レイラ「鼠は引き際も分かっている、とでも?」
フョードル『さぁ、それはどうでしょう』
ただ、と通信先で彼は笑っているような気がした。
フョードル『──世界を壊すのは貴女じゃなくても良いので』
レイラ「っ、裏切り者が」
フョードル『何とでもお呼びください。鼠を懐に置いたそちらの責任ですので』
レイラ「……切れた、わね…」
グラムの言うとおり、手を組むのは間違いだったかしら。
いえ、後悔しても遅いわ。
私が今できることはきっと、まだある筈よね。
6-4「精神操作のスペシャリスト」
アリスside
アリス「……?」
ワンダーランドが、おかしい。
どこが、と説明することはできないけれど違和感がある。
この感じは──。
アリス「──ルイスが眠っている?」
何があったのか。
確認するよりもきっと潜ったほうが早い。
あの子の身に、いったい何が。
与謝野「アリスさん!」
アリス「与謝野さん……」
与謝野「大変なんだ、ワンダーランドの一部が黒くなっていって──!」
現場に向かうと、確かに黒い闇が一部分だけ生まれていた。
精神が不安定な時に見られるもの、と似ているわね。
ただ、今回は不安定な訳では無い。
眠ることで何かイレギュラーが起きた。
アリス「……ユイハは?」
与謝野「今は忙しいみたいだよ」
アリス「うーん、彼がいるから潜っても問題ないかと思ってたのだけれど……」
与謝野「広がる気配はないけど、どうするんだい?」
アリス「異能で創った鏡を預けるわ。それだったら何かあっても私を引っ張り上げられるはずよ」
与謝野「……本当に行くんだね」
アリス「貴女が声をかけ続けてくれれば、迷うことはないわ」
それじゃあ、と闇に近づく。
やっぱり精神に異常があるわけではない。
触れたら何か変わるのかしら。
与謝野「っ、アリスさん!?」
触れた瞬間、弾かれた。
電撃のようなものが走って、思わず尻もちをつく。
与謝野「大丈夫かい!」
アリス「えぇ、私は別に問題ないのだけれど……」
一体何が起こっているというの、ルイス。
???「うーん」
アリス「──!」
???「これ、潜るの大変じゃないかな?」
アリス「どうしてそう思うの、久作」
Q「んーとね、上手く言えないんだけど……。これ、僕の異能と似たような気がして」
アリス「“精神操作”……!」
Q「無理に干渉すると、ルイスさん大変なことになると思うよ」
アリス「……このまま放っておく方が危険よ。貴女と同じく“周りの人に危害を加える”ものなら、尚更ね」
でも、どうしたらいいのかしら。
Q「僕のこと連れていけない?」
アリス「え?」
Q「ルイスさんに掛けられてる異能が僕の異能で上書きできるなら、|人形《この子》を太宰さんに渡せば被害は抑えられる。アリスさんも結局は別人だから、精神操作ができる僕が入ることで干渉できるかもしれない」
アリス「……それだと貴方も危険よ」
Q「大丈夫! 太宰さんを壊すまでは僕死ねないから!」
あまり幼い子は巻き込みたくないのだけれど、仕方ないわよね。
アリス「頼りにしてるけど、無理はしないでちょうだいね」
Q「はーい!」
6-5「深い暗闇での出会い」
ルイスside
「……。」
あぁ、そうか。
僕には戦う理由が無いんだ。
アリスが死なないために呼ばれた異世界の住人。
この世界が終わろうが、“白紙の文学書”で変えられようが。
異世界の住人の僕には、関係ない。
唯一残っている“あの歌”がある僕の本当の世界は、平和だという。
其処へ戻れたら、いいじゃないか。
--- それでも、“想い”は消えない。 ---
シャルルさんみたいに「誰かのヒーローになりたい」わけでは無い。
コナンさんみたいに「不自由なく生きたい」わけでは無い。
ヴィルヘルムさんみたいに「命を懸けてまで幸せにしたい人がいる」わけでは無い。
アーサーみたいに「もう誰も失いたくない」わけでは無い。
エマみたいに「笑顔が溢れる日常を送りたい」わけでは無い。
戦争を経験して、
万事屋で世界を見て、
探偵社に入って、
過去がない僕には、この世界で経験したことが全てだ。
はじめは隊長の「仲間を全力で守れ」というたった一言だった。
何も持たない僕は《《命令》》を必死にこなしていた。
助けを求める仲間に手を差し伸べ、その為に敵は殺して。
時が流れ、感情を持ち、僕はヒトになった。
いつの間にか“命令”は変化して、“想い”になっていた。
『違うね』
「……。」
『“仲間を全力で守れ”という命令に縛られているだけで、それは“想い”じゃない』
初めてアリスと会ったときと同じだ。
漆黒の闇の世界で、相手の姿だけが認識できる。
ただ、目の前にいるのは僕と瓜二つの少年だ。
英国軍の軍服を着ており、その幼さには大きく見える狙撃銃を抱えている。
視線は自然と違和感のある場所へ向かった。
彼の足についている鎖の先は暗闇に消えている。
「なら、胸を熱くするコレは何?」
『過去に縛られてるだけで、少なくとも“想い”ではない』
「なら、僕が“想い”と思っているコレは何だ」
『……僕達が“想い”なんて手に入れられるわけがない。それは“呪い”だよ。世界の理から外れたキミが、人間になれるわけがない』
「こうやって君と話してる時点で、僕は人間じゃないだろうね。でも、ルイス・キャロルという別世界のアリスは《《ヒト》》だ」
『ボクの話を聞いてた? ちゃんと人に伝わる言語で話してもらいたいんだけど。人間も人も、同じだ』
「何かのために必死になって、命を懸けて戦っている。これが“想い”じゃないのなら……僕は笑えないほどお人好しだよ。感情を持って、一人のヒトとして戦場にいる」
『……あのさ』
「僕は自分のことを|人間《この世界の人》なんて云わないよ。今までも、これからもね」
『──感情を得た|ヒト《人間モドキ》ということ……?』
「うんうん、理解できたようで何より」
『でも、ボクは……ッそれでも、|ボク《ルイス》が感情を持っているだなんて──!』
「|今の君《過去の僕》は理解できないだろうね。でも大丈夫。君の周りの人達は、これから出会う仲間は本当に素敵な人達だから」
多分、彼は過去の僕だ。
だから何かに縛られているのだろう。
此処がワンダーランドではないことは、とっくに分かっている。
世界の狭間。
きっと理から外れている僕だから過去に干渉できたのだろう。
6-6「力の継承」
ルイスside
『……確かに素敵だよ』
少年と目が合う。
ずっと狙撃銃を抱えて瞳が見えていなかったが、僕は驚いた。
彼は、赤色だった。
過去の僕ではないのか──
『──“呪い”』
「……!」
『キミの“想い”のこと、そう云わないから早く消えて』
「……まぁ、戦いの途中だからね」
聞くか、否か。
少し悩んでしまう。
彼は、何者なのだろうか。
『──そんなにボクのことが気になる?』
「まぁ、此処についても理解できてないから少しは」
『ボクは昔のルイス・キャロルで、キミは今のルイス・キャロル。……君にチャールズ・ドジソンの記憶がなかったのは、ボクと共に此処“忘却の果て”へ追いやられたから』
「……説明がもう少し欲しいかな」
『入隊して、隊長やロリーナに出会ってから一般的な感情が揃った時のことだね。理性がボクを要らないものとして此処へ追いやった』
「簡潔にまとめて」
『ボクは、キミが嫌う戦闘を好む“狂人”ってことだよ』
多分、一番わかりやすくまとめてくれたんだと思う。
ただ目の前の少年が──昔の僕が、《《そう》》だったことを少し受け入れられない。
久しぶりに呼吸が乱れる。
『一つ、伝えたいことがある』
「……何かな。もう結構ツラいんだけど」
分かってる、と昔の僕はしゃがみ込んで狙撃銃を手放した。
銃は暗闇に消える。
『……戦闘の時は多少ボクがキミに影響を及ぼす。ロリーナの時は|キミ《ルイス》の中に、哀しみや怒りから|ボク《狂人》が強く出てしまった。レイラを殺す時に笑っていたのは、そのせいだと思う』
「……。」
『冷たい目で見下ろして、笑みを浮かべて……。空っぽだったボクは何にも関心がなかったけど、未熟だからこそ多かった死が隣り合わせな戦いだけが、生を実感できた』
「それが、伝えたいこと?」
『いや少し話が逸れた。レイラに云われたことをキミがガキのように馬鹿みたいに悩んで考え込んだお陰で、ボクはキミとこうやって話すことが出来るようになった。力の継承も、多分いけると思うよ』
「……待って。真面目に聞いてたけど莫迦にしてるだろ」
ガチャガチャと先程から鳴らしていた鎖の音が止まった。
完全に彼を縛るものが無くなったのだろう。
上手く歩いたりできない僕とは違って、彼はスタスタと此方へ向かってくる。
『此処に来たということは、キミは|ボク《狂気》の力を全て引き出すかもしれない。レイラと決着をつけるということは、キミの決めた“|誰も殺さない《誓いであり想い》”に反するだろうから──』
--- 「もしも僕が壊れたら、その時は君がこの体を使って良いよ」 ---
『……は?』
「元々君がいなくても、不殺は破るつもりだったよ。それが僕なりのケジメだからね。あと長い間、君を一人にしてしまったんだろう?」
『っ、そんなのボクは気にしてなんか──!』
「人形になった僕より、君の方がいいじゃあないか。大切な人を、街を、全てを守ってくれ」
『あっ、おい待てっ……!』
「頼んだよ、|ルイス・キャロル《もう一人の僕》」
6-7「消えた選択肢」
レイラside
ルイス「……スゥ」
レイラ「っ、マズいっ、」
雰囲気が変わった。
私の知っている|過去のルイス・キャロル《一度私を殺したあの時》に近い。
一度、距離を取らないと。
あんな近くにいたら瞬殺されかねない。
レイラ「……? 動かな──」
ルイス「異能力“死神”。死者を使役する能力で、制限は多い。一番大きいのは異能力者ではなくてはならないところかなぁ……?」
レイラ「……あら。急にお喋りだなんて、何かあったのかしら」
ルイス「何か、ね……あったともなかったとも云えるかな。実際、肌で感じたから距離をとったんじゃないの?」
レイラ「云っていることがよく分からないわね」
ルイス「そう。まぁ《《ボク》》が今知りたいのはそんなことじゃない」
顔を伏せ、本当に何を考えているのか分からない。
ただ、今は動かないのが正解の筈。
私だってそう何度も死にたくはない。
ルイス「アリスは、もう一つの異能を知ってた。でも全体で共有しないのは、した所で意味がないからだろう。不老不死を殺すなんて、考えるだけ時間を無駄にする」
レイラ「……そうよ。だから貴方は大人しく殺されていれば──」
ルイス「その異能を持ってから、キミはどれだけの“死”を迎えてきた? 少なくとも一度は戦場で死んでいるはず」
死なないのなら、とルイス・キャロルが顔を上げる。
ルイス「僕と同じ死を迎えさせればいい。肉体的にではなく、精神的にキミを殺そう」
逃げろ、と。
本能が警鐘を鳴らしている。
ルイス「ヴォーパルソードも限界を迎えそうなんだ。たった一つの命しかないルイスと、永遠に続く命をもつレイラ。本気で殺り合えることなんて滅多にないよ。これは『最初で最後になる“本気の喧嘩”』でもなければ、『キミの勝利で終わる“ラストゲーム”』でもない」
全く──。
ルイス「嗚呼、楽しみだ。早くしよう…っ、鮮血が舞い心躍る戦いを……! 今! この瞬間! ボクが生を実感できるッ、唯一の時間を!」
──あちらから話し合いを捨てたら意味ないじゃないの、アリス。
6-8「その戦いは永く」
No side
ルイス「最高の時間のハジマリだ!」
いつの間にか向けられていた銃を、レイラは避ける。
一般兵が扱うような、ごく普通の拳銃。
その程度なら、異能手術による五感の強化で避けるのに苦労しない。
レイラ「最悪な時間の間違いでしょう」
ただ、相手は戦神と呼ばれたルイス・キャロル。
銃弾の装填は必要なく、異能を使えば新しい拳銃が手元に来る。
気づけばレイラに銃弾が掠るようになってきていた。
レイラ「……やっぱりおかしいわ。異能手術を受けていない、ただの収納能力の持ち主がこんなに強いわけがない」
ルイス「戦場は不可思議なことで溢れてる! ボクもその中の一つにしか過ぎない!」
レイラ「アリス、本当にルイス・キャロルは平和な世界線の──」
そこでレイラの言葉は途切れる。
喉を貫いた弾丸の影響で口から血が流れ伝う。
ルイス「まずは一勝だぁ……♡」
普通なら死んでしまう怪我だ。
しかし、掠れた声で紡がれた言葉が“藍色の文字列”を浮かび上がらせる。
レイラ「……勘違いしているかもしれないから云わせてもらうわ」
ルイス「ん?」
レイラ「私、結構死んでいるのよ。人工異能を植え付けられた時から何度も何度も何度も何度も……数えるのを諦めるぐらいには、ね。自害も何度かしてるわ。他者に殺されることだけが死を迎える方法じゃないもの」
ルイス「……で?」
レイラ「“戦っている時だけ生を感じられる”とか、“精神的に殺す”とか……そんなの知らないわよ」
はぁ、とレイラは剣を向ける。
レイラ「さっさと殺してあげるわ。貴方みたいな狂人を相手してるほど、私も暇じゃないの」
ルイス「──なら、最初から本気出せよ」
6-9「今、出来ることは」
No side
場所は変わり、ワンダーランドにて。
ヴィルヘルム「──マズいな。非常にマズい状況になった」
乱歩「詳しい説明早くして」
ヴィルヘルム「ルイス・キャロルが“戦神”と呼ばれるようになるまでに付けられた“化物”や“怪物”は、あの状態から来ている」
乱歩「あー、やっぱり詳しくなくて良い」
ヴィルヘルム「……感情を持たぬ子供が初めて目覚めたのは“狂気”。抑え込まれていた筈のものが、何故か表に出ている」
乱歩「止める方法は?」
ヴィルヘルム「無い」
乱歩「即答しないでほしかった」
ヴィルヘルム「貴様こそ何か無いのか」
乱歩「あるわけないでしょ!? 僕は名探偵で精神科医じゃないんだ…けど……」
どうした、とヴィルヘルムは頭を押さえていた手を外す。
乱歩「当時、どうやって制御してたの」
ヴィルヘルム「……知らないな」
乱歩「全く役立たないね」
ヴィルヘルム「反論するつもりはない。だがストレスのように狂気を発散させるしか──」
???『その話、僕達に詳しく教えてくれないかな』
ヴィルヘルム「……断る。貴様らの担当はグラムだ」
???『でも私達はルイスの後輩で、仲間なんだけど。ヨコハマの方はまだ時間に余裕がある』
乱歩「止めれる確信は?」
二人は顔を見合わせて、真っすぐ乱歩を見つめた。
???『無いね』
???『正直、0.1%もないんじゃないかな』
ヴィルヘルム「それでよく声を上げたな。アーサー・ラッカム、エマ・マッキーン」
アーサー『目の前の敵よりも、僕は仲間を優先したい。というか、英国軍じゃないんでグリムさんの指示に従う必要ないですよね?』
エマ『それな〜』
ヴィルヘルムはため息を吐きながら、横浜を映す鏡を見る。
エマ「てことだからさぁ、休戦しない?」
アーサー「……君にも聞こえるようにしてたから、状況は把握できているね。大切なものを失うのは──君も嫌だろう」
グラム「──クソッ」
アーサー「僕はアリスに止めてもらった恩を返さないとだし。テニエルも、それで大丈夫かい?」
テニエル「し、暫く倒れていても良いなら……」
エマ「うんうん。ゆっくり休んでね〜」
中也「……俺たちはどうする」
太宰「まぁ、とりあえず待機で良いんじゃない?」
テニエルが指を鳴らすと、地面に穴が開く。
グラムは少し葛藤があったものの、意外と早く飛び込んだ。
続いてアーサーとエマも落ちていく。
出口は英国倫敦の或る通り。
戦場から少し離れた、公園だった。