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第5話 恨みの馬
俺は、は?と思った。俺が馬に蹴られて死んだ?言語道断。なぜそんなことが起きる。俺は猪原に聞いてみた。
*「どういうことだ?」*
「え、結構話題になってたよ?全国ニュースにもなったし新聞にも載ったし」
猪原は俺に解説をした。
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これは俺が支所予選で優勝した翌日の話だそうだ。
「腹減った……」
俺は帰り道を歩いていた。空は青からオレンジのグラデーションで、世界の終わりみたいな綺麗さだった。
そういえば、と俺は思い出した。
--- *「本日、馬らしき動物が|馬猪《うまいの》町に出たと連絡がありました。もし馬が出たら馬の後ろに立ったり大声を出したりしないでください。馬は臆病で視野が広い一方で後ろに死角があるため、驚かせると蹴りや噛みつきなどの思わぬ事故につながる可能性があります。会ったら12m以内に近づかず走って逃げずに馬を見ながら静かにゆっくり後退してください。くりかえします——」* ---
生徒指導の山田が緊急放送でそんなことを言っていた。聞いた時はどうせ牧場から逃げたんだろ。人間慣れしてるからいいんじゃね?と思い、忘れかけていた。今も別に気にしていない。
(昨日の馬刺し美味かったなあ………食べてえなあ)
そう思いながら脱走した馬のことを忘れ、俺はホクホクしていた。
車がいないか確認し、横断歩道を渡る。
目の前にデカくて黒いものがよぎった。
見た。**馬だった。**
「………」
動けなかった。馬は見慣れてるはずなのに。ぎょろりとした目。どうすればいいんだっけ。山田が何か言っていたはずだが思い出せない。
とりあえず走って逃げた。
追っかけてきた。
アタックされた。
「がは………」
痛みがすごい。やべえ、もしや、俺———
最後そう思った。意識が遠のいた。
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*「で、転生したら馬だったと」*
「そうそう。怖いわよね野生の馬って!」
猪原とヒソヒソ話していた。信じることは到底できなかった。俺が好物に殺されたなんて。
「乗馬体験終了でーす。ありがとうございましたーー」
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俺は少し成長していた。ぼりぼりと餌であるにんじんを噛み砕く。味気ない。
俺は今日の話をぐるぐる考えていた。
なぜ猪原は馬である俺と喋れた?なんで馬は脱走した?そしてなぜ俺の前に——
考えれば考えるほどわからず、俺は水に顔を突っ込んだ。冷たかった。草が浮かんでいたけど。
**野生の馬に遭遇したら?**
• 40フィート(約12メートル)以上は近づかない
野生の馬は警戒心が強く、不用意に近づくと身を守るために蹴る、噛むなどの行動に出ます。一定の距離を保って見守りましょう。
• 絶対に走って逃げない
急に後ろを向いて走って逃げると、馬が驚いて追いかけてきたり、興奮させてしまう原因になります。離れるときは馬の方を向いたまま、静かにゆっくりと後ずさりします。