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読み切り異世界転生「毒殺したら毒属性になりました」
いじめを受けていたコク。彼は毒殺をすることを決めた。
とある闇サイトで買った毒薬。コクはそれを手にした。夕焼け色に染まる自室。今日でサヨナラの自室。生まれてから17年間、高校3年生になるまでお世話になった自室。コクの居場所は、ここだけだった。父は出ていき、母は毎日のように遊びに行き、深夜に帰ってくる。学校ではそんな家庭環境でからかわれ、いじめになっていった。
「今日で・・・何もかもが・・・」
終わる。
ゴクッ
「・・・っ!」
全身に気分の悪い何かが駆け巡る。息ができない。
「ごえっ・・・カハッ!」
口に手を当てる。その手には、赤黒い液体。コクはそのまま吐血した。
「ん”ん”!!!オエ”・・・!」
毒の前に、出血多量で死ぬんじゃないかと思うほど、口から血が出てくる。
「はあっはあっ・・・んあ!!」
苦しい。けど、これで楽になる。こんな苦しみ、今までの苦しさと比べたら可愛いものだ。コクは耐えた。
「あ・・・うぅ・・・」
そしてとうとう・・・
「・・・・あ・・・・」
コクは息絶えた。
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「あらあら、この子は毒が好きみたい」
「というより、毒に好かれてるな」
2人の男女がクスクスと笑う。
「じゃあ、属性は毒ね」
「そうだな。それじゃ、あの世界に送ってあげよう」
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「ん・・・」
目が覚めると、視界には青空がいっぱいに広がっていた。
「あれ・・・俺死んだはず・・・」
「うん。死んだよ」
横で少女の声がした。
「じゃぁ、天国?」
「うーん・・・ちょっと違うけど、そんな感じ?」
コクは動じなかった。死んだなら、不思議な事があってもおかしくないと感じたからだ。
「異世界転生でもしたかな・・・」
「そうだよ」
「ん?まじで?」
「うん。私も自殺したの。そしたらここに」
「君も!?」
突然仲間だと知らさされ、コクは少し気が動転した。
「あはは。うん。そうだよ。突然声大きくなるじゃん!」
少女は可愛らしく笑った。コクは、やっと声の主の顔を見た。
水色の髪、ポニーテールにしている。大きな青いリボンをつけているのが特徴的だ。
「お、君中々にカッコイイ顔つきしてるね」
「は?」
「あ、ごめん、ずうずうしかった?」
慌てて謝る彼女に、コクは少しドキッとした。
「いや、びっくりして」
「そっか、ところで君、毒殺したんでしょ?」
「?何で分かったんだ?」
予想が命中した彼女は、にいっと笑って説明した。
「ここにくる人はね、皆自殺者なの。で、自殺方法に伴ったタイプになるんだちなみに、私は溺死したから水タイプ」
「で、俺は毒タイプだったから毒殺したって分かったわけか・・・」
「そ!」
彼女は「そうだ!」と何かを閃いた。
「ここにいると魔物がくるから、私たちの拠点に行こう!あと2人拠点にいるから」
そう言うと、少女はコクを連れて走り出した。
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「お帰り、ハク!」
「お帰り~美味しいシチュー出来てるよ~お昼にしよう」
「ただいま!あのね、新入りさんだよ!」
拠点は木製の、落ち着いた家だった。正面には壁がなく、綺麗な海を見る事ができる。
「お!毒かな?あれは。私は炎タイプのセキ!よろしく!」
「はわわ・・・新人さんだぁ・・・えっとね、雪タイプのセイだよ。よろしくね~」
「あ、よろしく・・・」
そこには、赤色長髪の元気そうな少女と、白髪ツインテールのおっとりした少女がいた。
「取り合えず、シチュー冷めちゃうから、皆で食べよう?」
「そうだね!えっと・・・」
「あ、俺コクって言います」
名前を言い忘れていたのを思い出し、さっと紹介した。
「コク君!一緒に食べよう?」
「はい!」
そのまま、色々談笑し、コクが分かったのは次のことだった。
ハク
17歳
自殺理由
親による虐待があり、嫌気がさし風呂にて溺死。
セキ
18歳
自殺理由
学校の教師による性暴力。後に学校に火を灯し、教師と共に焼死。
セイ
15歳
自殺理由
生きる意味が分からなくなり、家出。雪に埋もれて凍死。
この世界について
魔物という危険な生き物がいる。他にも敵対しない動物が数種類いたりする。
魔法の概念があり、ここの住民(今のところ4人しかいない)は皆タイプにちなんだ魔法が使える。
それ以外は普通の世界。
談笑した後、ハクが「散歩に行こう」と誘ってきた。
2人で少し歩くと、ハクが唐突に魔法を使った。
ザバァァァァァ!!!!!!!
「わぁぁぁぁぁ!?!??!?!」
目の前に、大きな波が出現した。水は下に落ち、コクたちは水浸しになった。
「うええ・・・びしょびしょ・・・」
「えへへ~どう?凄くない?」
「・・・凄いね」
ハクはご満悦だった。
「コクの魔法もみたいな!」
「え、でも、どうやったら・・・」
「出したい魔法をイメージして、出ろ!って思ってみて」
「イメージ・・・」
コクはあるものをイメージした。
「そりゃぁ!!」
ジャキン!!!!!!!
「ほえ・・・・凄い・・・」
「できた・・・!?」
地面には、毒々しい針のようなものが数本出ていた。
「君強いよ!!!凄ーい!!!!!」
「そ、そう?」
コクは褒められたのは初めてだった。自分には甘く、他人には厳しい親、息苦しい学校。こんなに幸せなのは、初めてだった。
「よし!そろそろ帰ろう!今回の散歩は私がコクの魔法を見たかったからだから。私に付き合ってくれてありがと!」
「ううん。全然。俺こそありがとう」
コクの口から、初めて感謝の言葉がでた。
「?私は何も・・・まぁいいや!帰ろう!」
「うん!」
そうして、ハク達は、これからも幸せに暮らした。
長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!
今までの小説で一番長い!!!!!!!!!
疲れた!!!!でも、リクエストしてくれたかたありがとうございます!
これからもリクエストにそって小説を書く、みたいなのしていこうと思っておりますので、皆さんご協力お願いいたします!