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閉幕 コロッケの秋
これにて一応完結です。
気が乗れば続きを書くかもしれません。
放課後、親友と帰る通学路。
なんやかんや俺はこの穏やかな時間が好きだ。
「ねぇ、コンビニ行っていい?コロッケ食べたくてさー」
「わかった。俺も寄る。」
肌寒くなってきたからね。
温かいものが食べたいよね。
俺は肉まんを買って外に出る。
「何買ったの?」
「ん?肉まん。」
「えーいいなー」
羨ましそうに見ている親友に苦笑する。
いつもはクールなのにこういう時だけ幼く見える。
「半分こする?」
「え?本当!?じゃあコロッケ半分あげるね」
肉まんを半分ちぎって渡すと親友は目をキラキラさせる。
親友からコロッケを半分もらい一緒に食べる。
「日が落ちるの早くなったよね。」
「そうだな。しばらく推し探索は控えたほうがいいかもしれん」
「いや、探索をやめろよ。」
親友にツッコミを入れられ、互いに顔を合わせると、笑い合う。
この時間が好きだ。
親友に言うと「気持ち悪い」と言われてしまうから言わないけど。
「そろそろ最推しにしてもいい?」
「なんで毎日聞いてくるのさ?駄目でーす」
「明日になったら気が変わってるかもしれないだろ?」
「残念ながら変わってなかったね」
ふふっといたずらっ子のように笑う親友。
「僕とお前は一生親友だよ。ざまぁないね」
一生親友。
その言葉に思わず頬が緩む。
最推しにできないのは残念だけど、こうして一人親友ができた。
ふへへっと笑うと親友が急に笑うな、と眉間にシワを寄せている。
ごめんごめんと言いながら肉まんを頬張る。
地面に長い影が落ちている。
柔らかな秋の風がススキを揺らして遊んでいる。
「帰ろうか」
「んー」
もぐもぐとコロッケを頬張りながら頷く親友に苦笑する。
ゆっくりお食べ、としばらく待つ。
俺達は歩き出す。
明日も明後日も、この通学路を二人で。
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「今日も推しが尊い!」
いつものように叫びだす俺。
「はいはい。で?今日は誰の話なの?」
いつものように聞いてくれる親友。
この些細な幸せが一番の幸せなのだと俺は知っている。
「よくぞ聞いてくれた我が親友!今日は⋯」
いつものように語りだす。
きっと明日も明後日も。
だって俺は、ギャップに弱いのだから。
これにて一応完結です。