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6-6(c)「目覚め」
ユイハside
ルイス「……此処は」
ユイハ「やっと起きたかよ、馬鹿ルイス」
ルイス「ユイハ……」
武装探偵社の、医務室。
例の件からは1週間ほど経っている。
あのまま死ぬのか、と不安に思ったが──どうやら心配で終わったらしい。
ルイス「っ、みんなは……!」
ユイハ「はいはい、順番に話すから急に起き上がんなって」
ルイス「うぐっ……」
ユイハ「傷も完全には塞がってねぇんだから。俺も油断してたとはいえ、悪いな」
レイラの異能を消す。
純粋ではないからこそアレにだけ効くはずが、ルイスに当たってしまった。
今のルイスは、異能が使えないようだった。
レイラを討伐できたということは、そういうことなのだろう。
ユイハ「……何から聞きたい」
ルイス「ワンダーランドは消えたのか、かな……」
ユイハ「異能は使えないから消えたと思ってんだろ」
ルイス「まぁ、そりゃあね」
ユイハ「なら良いことを教えてやる。ワンダーランドは存在している」
ルイス「……!」
ユイハ「理由は簡単だ。俺がここにいる、というかユイハとガブの関係的に消えてたら《《僕》》はただの人形だ」
ルイスは驚いているようだった。
ま、誰にも話してないからな。
ユイハ「あの後、レイラは“雨御前”による未来からの攻撃で動きが止められた。そこで俺はまた異能を使い、不老不死を消した。その後は一旦逃がすのに集中したな」
ルイス「レイラは殺せてないってことか」
ユイハ「討伐はした。英国市街が爆破される時に、爆発の中で黒い影がレイラ首を刎ねていた」
ルイス「……“影の仔”!」
ユイハ「話を聞くと、特務課のエージェントの異能生命体みたいだな」
ルイスは少し気になることがあったのか、悩み込んでいるようだった。
ユイハ「……続けて大丈夫か?」
ルイス「あぁ、問題ない」
ユイハ「少し話を戻して爆発のとき、戦場だった場所はほぼ更地になった」
ルイス「は?」
ユイハ「いや、更地ではないな。まるで隕石でも落ちてきたかのような、擂鉢状になった。英国民は軍事施設に避難していて正解だ。じゃなけりゃ、被害はもっと──」
ルイス「ユイハ」
ユイハ「んだよ、説明途中に──」
ルイス「一体、誰が死んだ。何人死んだ。逃がしたのはワンダーランドではないよね。君は扱い慣れていないから、送れない」
ユイハ「……、英国軍人は殆ど救えなかった」
ルイス「なっ……!」
ユイハ「幾つも逃げ道は用意した。ヨコハマに、な。でも|穴《ホール》に入るかはそいつ次第」
悪かった、と頭を下げる。
あの爆発は《《見覚えしかない》》。
幾度も繰り返した時の中で、見たのだから。
|殻《シエル》から助けられただけでも良い、とは思えなかった。
通信機でもっと避難を早く指示していれば。
後悔が消えない。
涙が溢れる。
どうしたって過去は変えられないのに。
ルイス「……ぁ、ぃ……」
ユイハ「……?」
ルイス「謝らないで、ユイハ」
なんで、お前が泣くんだよ。
ルイス「僕が戦えなくなった後、人を救ってくれてありがとう」
なんで、お前は笑うんだよ。
ユイハ「俺はっ、全然救えなかったんだよっ、! なのに、なんでお前は……っ!」
ルイス「君の行動は無駄じゃない。君の異能がなければ、“神秘の島”で手に入れた異能で“|不思議の国の入口《Welcome to the wonderland》”を使えなければ、救えなかった命がある。ユイハ──いや、ガブ。君は守り神じゃなくなったとしても、僕の大切な人たちを守ってくれた」
ユイハ「……わけ、分かんねぇよ…っ、!」
ルイス「僕らはまだ未熟だ。どれだけの刻が過ぎようとも、僕らは全てを守ることが出来ない」