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【第一章】9.クリスマス当日
「メリークリスマス!クリスマスも勉強を頑張る健気な少年少女たちよ!」
「それ集めて商売してんの先生じゃん」
12月25日。サンタ帽をかぶって現れた東陵先生に翔太が伸びをしながら茶々を入れると、先生は『バレた?』とサンタ帽を外した。最近さらに薄くなった髪の毛が頭皮の輝きをより寂しいものにさせている。
机の下に置いたリュックサックに触れると、その中に手を突っ込んでお菓子があるか確認する。指先に尖ったプラスチックの袋が当たった。クリスマス用の配布物である。
楽しみだなぁ。喜んでくれるかな。そう思いながら、私は隣の席で笑う女の子に声をかけた。
「ねね、|穂花《ほのか》ちゃん。チョコあげる。メリークリスマス!」
「え、いいの!?ありがとう!」
彼女はふんわりした赤毛をおろしたまま、小豆色のタレ目を細めてこちらに微笑んだ。
彼女は|阿部 穂花《あべ ほのか》ちゃんといって、今年の冬期講習に参加してきた女の子だ。ふわっとしたオーラが可憐な桜丘第二中の二年生である。しばらく塾での身の回りに奥田や翔太しかいなかったので穂花ちゃんが新鮮な気がする。
「てか、今日奥田は?」
「それなそれな。なんか今日休みだよね。連絡しても返信が一向にないんだけど……って痛い痛い!!!」
女子トークに自然に割り込んできた翔太の肩にめりめりと指先をめり込ませつつ、奥田と同じクラスだという穂花に聞いてみた。一昨日が終業式だったから知ってるかどうかは知らないけど。
「奥田くんは…えっと確か、冬休みの一日前くらいにインフルにかかって出席停止だったと思う」
「うわ運ないな」
「幸先不安すぎる」
「だよね…めちゃくちゃ運悪い」
三人揃って苦笑いすると、先生の『みんなー、勉強始めるよー』という合図に沿って席に着く。偶然目に入った翔太の席から覗いている青色のシャーペンを見て、私は思わずニヤけてしまった。
昨日、24日の夜に開催したプレゼント交換会で私があげたものだ。ちゃんと使ってんじゃん。
そう言う私のカバンには、昨日翔太がくれたよくわからないキャラクターのキーホルダーがついていた。
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冬期講習が終わり、穂花ちゃんは塾に正式に入塾。塾のメンバーが盛り上がりを見せているところで、星羅はある重要な事実に気がついてしまった。