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お試しlover 2話
R!u.
『お試し期間!貴方とあの人のlover♡』
『1日目』
〜♪✴︎
石井side
「新山まだかな…」
例の掲示板を見つけてまだ24時間も経過していない。
俺は今、とある事務所に来ていた。
『お試し期間!貴方とあの人のlover♡』の本事務所。
ここに来ていろいろ話を聞いたら参加することができるらしい。
スマホを取り出してロックを解除しLINEをタップする。
一番上にある名前を押して、メッセージを送った。
「間に合うか」>
<「もうすぐつく」
返信は思ったよりも早く返ってきた。
「りょーかい、もう中入って待っとる」>
最後にそれだけ送って画面を閉じて中に入る。
カフェみたいでオシャレな店って感じ。
入るとすぐにお姉さんが立っていて話しかけられた。
「いらっしゃいませ。今回はどういったご用件で?」
「えっと、これに参加したくて…」
カウンターの机に張り出された一枚のポスターを指差す。
「こちらのイベントですね。お席まで案内させていただきます。」
爽やかに笑ったお姉さんについていく。
「今日お相手の方をいらっしゃいますか?」
「多分、もうすぐ来ると思います」
「ではパンフレットをお持ちしますね」
といって裏口から中に入るお姉さんを見届けて一息つく。
まさかこんなにしっかりしているとは…。
もう一度スマホを開こうとすると後ろから自動ドアが開く音がした。
「悪い、遅れた」
そこには新山の姿があった。
「今事務所の人がパンフレット持ってきてくれよるって」
「おう、隣ええか?」
うん、と頷いて新山が隣に座ると先ほどのお姉さんが戻ってきた。
「あ、お相手様も合流されたんですね。ではこちらを…」
そこからは約30分程かけて説明があった。
何コースでどれくらいするか、とか。
正直俺はどれでも良くて新山に決めてもらった。
その結果、俺たちが選択したのが『たった一回きりの大チャンス!?一週間loverコース』。
そしてコースの説明があり、やっと参加が決まった。
「ではまた一週間後に此処にいらしてくださいね」
ありがとうございました、と告げて店から出る。
「…なんか、思ったよりしっかりやな」
新山の口から溢れた本音に苦笑する。
「それは思った」
そもそもこんなにしっかりしてもらって何も進展がなかったらどうしようか。
不仲コンビでプライベートは関わりゼロと言われる俺たちが。
不安になりながらいつも通りの分かれ道で手を振った。
新山side
家に着いて風呂に入ってからは呆然としていた。
このお試し期間で俺たちの間に何があると言うのか。
今もなお、特にいつもと変わった様子はない。
お互いいつも通りなのだ。
ぼーっとテレビを眺めているとスマホが振動した。
手にとって見てみると石井からの連絡が来ている。
タップしてロックを解除した。
<「なー新山」
「なんや」>
<「なんか話そーや」
「急すぎひん?なんかあったんか」>
<「いや、そういうわけとちゃうけど…」
<「なんとなく、それっぽいことしたいなって」
<「思った」
<「だけ」
最後の方はもう、カタコトな感じだった。
それっぽいこと=恋人らしいこと。
コイツこそそんなこと言うキャラじゃないのに。
「ギクシャクするやん」>
<「ごめんごめん」
「…何話すん」>
<「…明日、どっか行きたいなって」
それから“LINEでの会話は”2時間くらい続いた。
結局、今日行けなかった店は明日行くことになった。
「じゃあ、おやすみ」
「ん、おやすみ…」
眠そうな相方の声が聞こえてきたところで俺も寝てしまっていた。
俺たちの1日目。
LINEに表示された最後の吹き出しには、
「【通話:3時間4分】」>
と、記されていた。
end