曲の歌詞にあった物語を作って、それを五分で読めるようにまとめたものを入れておきます。
続きを読む
読み方
1話ずつ表示します。
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
飛び魚と日落ち
今回は「飛び魚のバタフライ」という曲と少し絡ませました。
漣はさざなみとよみます。
ざざぁぁ…
秋になった。
少し冷たい海の水が、足にのぼってきて、また引いて行く。
なんか、渚みたい。
---
中学三年生。あの日も今日と同じように、海に足をつけて空を見ていた。
あのちぎれ雲、かわいいなあ。ほら、ぼっちなかまだよ。おいで。
ひょこっ。
寝っ転がっていたところから、誰かが覗き込んでいる。
男の子だ。
やばい。私、男の子と向き合うと緊張しちゃって何もできなくなっちゃうんだ。
「……………だ…れ?」
「ん?俺の名前?いやそれより自分の名前言えよ」
ぐっ。こういうタイプ、苦手だ。
「潮。」
「へー。うしお。変な名前。なんて漢字書くの?」
「変な名前って…」
「かんじ、どうかくの!」
うぐ…気になることは教えてくれるまで諦めないタイプだな。
「しおってかく。」
「塩?」
あー、多分調味料の方思い浮かべてるな。
「潮風とかの潮。調味料の塩じゃない。」
「………ふーん、まあいいや。でさぁ、」
それだけ聞いといて、「まあいいや」?
ちょっとムカついたけど、それをいいかえす勇気もない。
「俺の名前は渚。」
こっちの凪かな。こっちの渚かな。
顔に出ていたのかもしれない。
「さんずいの方の渚。」
ふーん、まあでも本当にどうでもいいや。
「ねえねえねえ、なんでここにずっといるの?」
「ずっとなんていないよ。」
面倒くさいから嘘をついた。
「嘘だよ。さっきから見てたもん。」
「え、」
ずっといたの?なんのために…
「ね、なんでずっといるの。」
「もうちょっとで日の落ちだから」
「日没のこと?変な言い方するなあ」
「気にってるの」
今は5:22。今日はは5:30あたりに日の落ちが来る。
「日が落ちる時、海の青と日のオレンジが混ざるの。そうすると、綺麗な緑色になるの。」
「え、見てみたい!」
単純なやつ。ていうか私、なんで教えちゃったんだろう。私だけの色だったのに。
「あ、今あそこで魚が飛んでた!」
「飛んでた、ってことは飛び魚ってことかなぁ。」
「綺麗だった〜。見れた?」
「うん。」
嘘だ。こういう時はこう言っておいたほうがいい。
でもそれからずっと見ていても、もう現れなかった。
「あの雲、ソフトクリームみたい。」
「入道雲のこと?確かに。私には筆の先に見えるけど。」
「なら絵が描けるね!こんな綺麗なキャンバスにさ!」
この人精神年齢何歳なんだ。身体の年齢は私と同じように見えるけど…
「あ、そういえば。俺、中二。お前は?」
え。年下!?
「中三だけど。」
「ひえ〜、年上か。全然そう見えないのに。」
悪口だろうか…
「あ」
5:30。日が落ち始めた。
「………」
沈黙が流れる。
たまに聞こえる、魚が跳ねる音。
ばしゃばしゃ。
綺麗。
なんだかいつもに増して綺麗に見える。
あ、飛び魚。
綺麗な日の落ちの背景と、飛び魚とのコントラストが最高だった。
後ろから車のエンジン音が聞こえる。
渚の方から何か聞こえる。
「……き……た。」
なんといったのだろうか。
---
それ以来、一回も渚と会っていない。
最後何を言ったのかも、渚がどこに行ったのかもわからない。
また飛び魚がいる。
実際、高校二年生になった今でも、何も変わっていないと思う。
ばしゃばしゃ。
そういえば、あの日と今日は日付が同じだ。
まだまだ日落ちは来ない。
寝っころがると、見上げる顔があった。
「な、渚!?」
---
渚じゃなかった。
渚の弟さんのようだ。
とても似ていた。
渚と同じで波風に揺れる猫っ毛がとても綺麗。
「兄…渚は」
なんだろう。渚の今の状況が気になる。
「亡くなりました」
え。
「なんで?」
気づかぬうちに声が出ていた。
「それが、自殺だったんです。」
は。
「そんなの…」
「っつ…」
「嘘に決まってる!」
「僕だってそう思いたいです。ですが…飛び降りでした。遺書もあったんです。」
本気で死ぬつもりだったんだ。
「なんで自殺したかは遺書に書いてありました。学校でかなりのいじめにあっていたようです。兄とは4歳年が離れていますので同じ学校ではなかったので…」
「すすぅうぅぅうぅ…ふぅぅぅぅ…」
少し、落ち着いた。
「なんで、弟さんがこの場所を知っているんですか。」
「名前は拓海です。この場所を知っているのは、これに書いてあったからです。」
紙を差し出してきた。
遺書だ。
でも遺書にしては便箋だし、開けてみるとまわりが貝のマークで縁取られている。これはなんなんだ…
「見ても?」
「どうぞ。」
『拝啓、潮様。
僕のことを覚えてくれていますか。あなたが中三の時に海であった、渚です。
学校で苦しいいじめがあったのは、一年からなんです。
もうその時から自殺を考えていました。
実際、二年からは学校に行ってませんでした。
死に場所を探してうろうろしていると、海辺にあなたがいたんです。
そこでひとしきり話をして、気持ちのいい日落ちを見て、最後に一言を残して帰りました。
車のエンジン音を合わせて僕が言ったのは、
「君のこと、すきになった。」
あの日落ちを見て、もう少し生きてみようと思いました。
でも、苦しくなった。
もう一度行ったけど、そこにはいなかった。
ごめん。僕、心が読めるんだ。
気づかなかった?
もう一度考え直してみて。
ごめんね。前、飛び魚見てなかったんだよね。
だから、飛び魚、あげる。』
嘘。そんな死のうと思っているなんて。
飛び魚あげるってなんだろう。
「兄がその手紙と同封したものがあって。」
飛び魚の、絵だった。
いや、正確には紙に日落ちの絵が書いてあって、その上からセロテープで飛び魚のキーホルダーが貼られている。
それをぎゅっとして、
この飛び魚は、渚なんだな、と思った。
---
信じられないほど時が経った。
もう日落ちの時間が来た。
弟さんは用事があるようで帰って行った。
日落ちしている海に飛び魚のキーホルダーをかぶせる。
心がつながった気がした。
---
急にやってきては去っていく渚。
でもきっと、私の心になんども来てくれる。
まるで、漣みたいに。
海がテーマの小説を書きました。
ジャスミンティーの魔法
静かなバーで、せっせと手を動かす女。
それが、私である。
個人的なバーで一人頑張っているのだが、未だにあまりいいことはない。
稼ぎも微妙だ。
あーあ、ハリルがいたらなぁ。
---
ハリルは、私より二歳年上の先輩。
バイト時代に出会ったのだが、そこから急に付き合うことになった。
でも、ダメだったなぁ。
会うことなんて本当に二ヶ月に一回くらい。
付き合ってるっていうか、古い友達というか。
メールの返信も全然来ない。
もう半年くらい会ってないんじゃないか。
あんなに、優しかった彼なのに。
---
営業時間が終わったので、一人だけ、バーに残る。
自分で淹れたジャスミンティーを飲む。
ジャスミンティーが好きなわけではない。
香りなんかはむしろ苦手だ。
でも、昔ハリルと飲んでいたから、営業時間後に飲むというのはもう癖になってしまった。
なんか静かで心細かったので、ラジオをつける。
「それでは、昔流行ったあの曲、杏里のオリビアを聴きながらです」
あ、好きな曲だ。
ハリルもこの曲が好きだったらしい。
「幻を愛したの」
この歌詞が好きだった。
りりりりりりりりん!
お気に入りの黒電話がなる。
「はいもしもし。平岡ですが」
「……………………」
無言?間違い電話だろうか。
「もしもし?聞こえてますか?」
「ガチャ」
ん?なんだ。急に掛けられて急に切られた…
もういいや。一気にジャスミンティーを飲んで、アパートに帰ることにする。
---
翌日。
今日は常連さんも来ないので、少し暇だ。
全然お客さんが来ないので、続きが気になっていた本を読む。
りいりりりいりりりりりいりりん!
ん、また電話か。
「もしもし。平岡です。」
「…………………」
「もしかして昨日電話をくださった方ですか?」
「……………………」
「もしもし?聞こえてますか?」
「ガチャ」
はあ、多分昨日の人だな。
それから誰も来なかったので、ジャスミンティーを飲んで早めに帰ることにした。
---
次の日。
「じりじりじり…きゅるっ…じりじりじり…」
いつもは携帯電話で電話するのだが、黒電話で初めて電話してみる。
「はいもしもし。草陰ですが。」
「昨日の電話、あなたでしょう。」
「…………………」
反応も昨日、一昨日と全く同じ。
絶対、ハリルだ。
「今日、会いに行く。」
「……?」
「お前、バーをやってんだろ。確か………子狐亭てやつ。」
覚えてくれてたんだ。
「いい、けど」
「そっか。ごめ…」
「がちゃ!」
やばい。こんな汚い服装じゃ、ハリルが引くに決まってる。
肩あたりまである髪を手ぐしでとかして、(くしは持っていない)高い位置で結ぼうとする。
けど、結んだことがないので、ぐちゃぐちゃになってしまう。
もういいや。そのままで。
「からんからん」
ドアが開く音。
ハリルが、きた。
---
「…………」
「…………」
気まずい。
お互い話そうともしない。というか目を合わせようともしない。
第一、話すことなんてない。
「は…たの。」
「?」
もう、言ってしまおう。
「愛は消えたの!もうかけてこないで!」
「っ!」
言いすぎたかもしれない。でも、今の私は一人でいたい。
私らしくいたいの!
---
思った時には、もうハリルはいなかった。
強く言いすぎたかもしれない。あの時の私は何かおかしかった。
メールを開く。
「ごめん、愛してる。また会おう」
他のも見てね!
自主企画もしてます!
リクエスト募集中です!
あの花の名を、僕は知らなかった
今度はバンプオブチキン「花の名」をテーマにしてやりました。
5分じゃ読めないかも…すみません!
僕は学校の裏であの花を見つけた。
あの花との出会いはここからだった。
---
下校時間が来たので帰ろうとしたとき、窓の奥から何か光るものが見えた。
何かはわからない。でも見なきゃいけないと思った。
その場所に行ってみると、そこには綺麗な花があった。
光を受けて、露が光っている。
初めて見た花で、とても綺麗な色だ。
サーモンピンクというのだろうか。
なんていう花なんだろう。
その花の花びらが落ちていたので、拾ってノートに挟んでおいた。
---
僕の頭の中はずっとその花のことだったと思う。
あまりお腹も空かないし、勉強も上の空。
夢の中にもあの花は出てきた。
あの花はなんなのだろう。どうにかして突き止めたい。
---
僕は翌日、図書館に行った。
「花の調べ」
「図鑑 植物」
「花の研究」
などなど…花に関係する本をたくさん集めてきた。
かたっぱしから目を通していく。
でも、これに意味はなかった。
---
どこにも、載っていない!
既に二時間ほど経過している。
お母さんが「千秋〜!」とか叫んでるかもしれない。
でもこんなに本がある中でどこにも載っていないというのは想定外だった。
グーグルレンズで花びらの写真を撮って調べてみたけれど、形が違かったり、色が違かったり…
ひとまず、帰ることにしよう。
---
もう一度あの場所に行ってみたが、もうあの花はなかった。
さらに謎が深まるばかり。
ひとまず集中して、あの花のことは考えないようにする。
ことん。
消しゴムが落ちてしまった。
もうまん丸になって小さくなった消しゴム。
そろそろ引退か。
拾おうとする手に、もう一つの綺麗な手が重なった。
見上げると、クラスの中での不思議ちゃん、桜井 伊吹(さくらい いぶき)だ。
「ど、も。」
「………」
無言で姿勢を元に戻してノートを取り始めた。
よくわからないやつ。
---
下校時間。
「ねえ、千田さん」
「………なんすか
また話しかけてきた、桜井め。
「妖花って知ってます?」
「……あやかってだれすか」
「人じゃないです。妖しい花と書いて妖花と読みます。」
「へぇ。知らないけど。どんなやつすか」
「乾鮭色…サーモンピンク色の花で、とても綺麗なんです。」
「……知ってる。」
「大変です。それを知った人はだんだん人間として機能しなくなってしまうんです。」
「は?ふざけてんの?」
「ふざけてません!」
急にムキになって。なんだこいつ。
「ま知ったこっちゃねぇわ。じゃな」
「っつ…」
ふざけてない彼女が何を伝えようとしてくれたのか、あとでわかることになる。
---
数週間後、クラス、というか学校全体がある話題で持ちきりになった。
「桜井伊吹が消えた」
は?なんだよそれ。
「桜井伊吹が、五月十六日から行方不明なんだって!家にも帰ってないらしい!」
え、僕がなんかしたみたいじゃん。
僕たちがちょっと喋ったのは五月十五日だから、他の人から見たら一番怪しい。
彼女が消える前に残したこと。
「妖花」の存在だ。
妖花と桜井には必ず関係があるんだろう。
机を開けると、あるものがあった。
メモだった。
「こんにちは。伊吹です。
私は、普通の人じゃなかったんです。
妖花だったんです。
でも、妖花は不老不死のため、私は永遠にあそこ…今では学校の裏に生えていたのです。
私は多くの人を魅了します。そのため、私に心を奪われて命を無くす人も何万といました。
でも、私の好きな人にはどうしても亡くなって欲しくありませんでした。
私は、自殺することにしました。
人間の姿で自殺することはできます。
でも、あなたに話しかけられ、しかも命を救えたので私は万々歳です。
桜井伊吹より」
おい、ちょっと待て。
好きな人って。
僕かよ。
「畜生…桜井…先に逝っちゃうなんてズリィじゃねえかよ…」
僕の目から出た露は、あの日とっておいた花びらに落ちた。
あなたの心に刺さったなら私も万々歳です。
読んでくれてありがとうございます。