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クリスマスの砂糖菓子 中編
学校を出て花音と一緒にデパートの方に向かう。
なんでも、花音もデパートに用があるらしい。「デートに誘われたの?」ってからかい半分で聞いたら、「そうだけど?」と返された。高校生って、恋人がいるのが普通なのだろうか?
ショッピングモールゾーンに用があるらしい花音と別れて、手持ち無沙汰に腕時計を見る。三時五十二分。祐との約束の時間まではまだまだ余裕だ。
ふと、さっきの花音の言葉を思い出す。
「……まさか、ね」
祐は、チャンスを見つけたら特に何も考えずに突っ込むタイプだ。告白の相手が私の場合、いくらでもチャンスはあったはずだ。そう考えて、ただの「勉強会」だと思うことにした。
本屋さんに入ったとき、どこかレトロな何かを感じる気がする。何の本を読もうかな。どんな本があるのかな。現代には少し古いそんな思いが、本屋さんには漂っているような気がする。
「うーん、冬休みの補習は行かないから……長編小説でも買ってみようかな」
気分で小説・漫画を買う。それがマイジャスティス。というわけで、今少し話題らしい長編小説を買った。
本屋さんを出たところで腕時計を見た。
四時十四分。うん、まだ時間がある。
百円ショップと定食屋さんの間に挟まれた喫茶店に入った。
ホットココアを注文して、湯気の立つココアを飲みつつ、小説を読む。どんなものでも読み始めたら夢中になるのは、いつも思うけど何でなんだろう?
二章目を読み終わったところで腕時計を見た。四時五十一分……あれ、少しまずい?
ココアを飲み干して、注文したココアの金額を支払って、喫茶店を出る。
祐との約束の時間は五時。「五時くらい」って言っていた気もするけど、要は「五時を目安に来い」ってことなんだと思う。多分。
エスカレーターを下りて、入り口の所の広場まで小走りで向かいながら腕時計を見た。
四時五十七分。
約束の五時まで、もうすぐだ。