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クリスマスの砂糖菓子 後編
入り口の広場に着いた。
腕時計を見る。四時、五十九分。
祐は、まだ来ていない。
ゴーンゴーンと、五時の鐘が鳴る。辺りに、小さな光が溢れる。
イルミネーション、だ。
「……お待たせ」
祐が来た。手に、荷物を持っている。
「……あのさ」
「……何」
「俺……中学くらいの頃から、穂乃花が……うーん、魅力的?に……見えるように……なって……
だからさ、穂乃花。
──俺と、付き合って……くれない…か?」
イルミネーションの輝くクリスマスツリーが、私と祐を照らす。
「……わかった。いいよ。祐、……つ、付き合お」
ケーキ屋さんは混雑していると思っていたけど、まだ早めの時間だからか空いていた。
幼馴染で……ついさっき恋人になった祐と二人がけの席に座る。
「そういえば。穂乃花、これ、クリスマスプレゼント」
そう言った祐にラッピングされたプレゼントを渡される。開けてみると……さっき買った長編小説だった。
「……ごめん、祐。これ、私さっき買ってた」
「……マジか」
「あ!やっほ~、穂乃花、大塚君」
そう言って私と祐に近づいて来たのは……花音!?
「花音!?どうして……」
「あぁ、紹介が遅れたね。これ、私の彼氏」
「やっほ~、|工藤麗斗《くどうかずと》です」
工藤君は、私も知っている。確か、隣のクラスのアイドル的な男子だったはずだ。
「まさか、工藤が森村の彼氏だったとはな」
「こっちも驚いたよ。大塚は未だに姫清に告白してなかったなんてね」
「「うっ……」」
工藤君の言葉で、私も祐も赤面してしまう。うぅ。
さっき祐が注文したケーキが届いた。
「おっ、来た来た。穂乃花、この砂糖菓子いるか?」
「あっ、じゃあ貰おうかな」
小さなサンタの砂糖菓子を手で掴む。
ポリッと噛み砕いて口に含んだそれは、凄く甘くて、幸せな味がした。
一応、これで「クリスマスの砂糖菓子」本編は完結です!
この後、(公開予定の)別視点と後日譚で「クリスマスの砂糖菓子」のシリーズは完結するつもりです。