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家に帰ってちょっと泣いた
これはネガティブ?
2026/05/25 家に帰ってちょっと泣いた
家に帰ってちょっと泣いた。
「何、泣いてるの。」とお姉ちゃんが言った。ここは自室のベッドの上のはずなのにどうしてお姉ちゃんの声がしたんだろうと思ったが、私が毛布に籠っていたから気づかなかっただけで、お姉ちゃんはドアを開けて部屋に入ってきていた。私は毛布から顔を出さずに「なに?」と言った。お姉ちゃんは「のり。」と答えた。液体のりなら私の机の引き出しにあるけれど、引き出しを漁られるのは少しいやだ。その上で、私は「引き出しの中。」と指だけ出して机の方向を指差した。お姉ちゃんが歩いて、引き出しをスライドする音が聞こえた。液体のりはあっさりと見つかったようですぐにまたスライドして閉じる音と足音。部屋を出ていく前に、お姉ちゃんはでかい声で言った。「何、泣いてるの!」
嫌がらせかと思った。でも、よく考えればお母さんもお父さんも今は外にいてお姉ちゃんが何を口にしても伝わるはずがなかった。だからこれは嫌がらせではないようだった。では応援なのかと言えば、そうでもないような平坦な声音だった。本当に何も込められていないのかもしれない。と至った後、手をヒラヒラさせて早く出ていくよう催促した。意外と静かにドアは閉められた。
10日後、泣きたい気分で家に帰って自分の部屋に入ると、貸したことなんてすっかり忘れていた液体のりが机の端に置かれているのが視界に入った。ほとんど減っていないそれを元の場所にしまって、いつもと同じように枕を湿らせようと通学カバンを床に落とした。その衝撃からかはわからないが、枕に顔を埋める前に目から水が出てきた。私はベッドに寝転ぶのは諦めてその場に座り込んだ。
「何、泣いてるの。」お姉ちゃんがドアを開けて言った。勝手に開けるな、と私は答えたくなったけど、喉仏を震わすことができなかったので首を横に振った。お姉ちゃんは少し黙って「ノート。」と言った。私は今、新品のノートを持っていないので、もう一度首を横に振った。お姉ちゃんが本当に小さなため息をついた気がして、私はそれに被せるように大きく息を吸い込んで、吐き出して、「私は学校に行っているだけ、偉いでしょう。」とくぐもった声を出した。すぐに後悔の一歩手前の罪悪感に襲われた。これはきっと、お姉ちゃんに言ってはいけないことランキングの9位くらいだった。今更取り消すこともできないし、取り消せたとしてもカッコ悪くてできない。私の想像と裏腹に、沈黙はほんの1秒ほどだった。「はあ、そうだね。」とお姉ちゃんは言った。そして部屋を出て行った。それにためらいが一切ないことに私は安堵した。だけどその直後にはもう、それすら忘れて、生ぬるく湿った感覚だけが残った。うるさくも静かでもない音量でドアが閉められた。私はしばらく、泣いていた。途中からずるずる動いてベッドに行き、命綱みたいに毛布を握りしめた。それでも涙の総量はちょびっとだけだった。
明日も多分、私は学校にいくし、帰ってきて泣くし、お姉ちゃんは家にいるし、両親は仕事をする。
それが壊れるのは、いつなんだろう。と思う。
これがネガティブ?