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【第二日目】「大声ヲ出スト排除」(中編)
「…彼は何を考えているんだ?」
蓮が去っていくのを見送りながら、ふとそう呟く。自分から話しかけてきては、用が済んだらその場を去る。まるで、人自体には興味がなく、その情報自体に用があっただけのように。
「よく、分からないですね…パッと見、根は悪い人じゃなさそうですけど…。」
理実がメガネのブリッジを指先で押し上げながら、不安そうに眉を下げてそう言った。
「何してるんだお?」
両目を包帯で隠した料理人、矢蘭滝がいつの間にか二人の近くに立っていた。
「わっ、…!どなたですか…?」
理実が驚いたように小さく声を漏らし、滝の方を不思議そうに見つめてそう言った。
「矢蘭滝だお。君誰?」
「私は花島理実です、中学校の教師をやっています。」
理実がぺこりと会釈してそう名乗る。
「俺は矢井姑だ。政治家をやっている。」
「じゃあ槍とはじまね。」
滝が口に出した少し癖のある呼び名に、理実と矢井は揃って呆然としたように一瞬固まるが、小さく苦笑いした。
「まぁ、よろしく、滝。」
「よろしくお願いします、矢蘭さん。」
そう会話を交わしていると、また一人、茶髪のポニーテールの髪型をした少女が入ってくる。
「初めまして…月野瑠奈です、よろしくお願いします。」
人見知りなのか、視線を逸らして小さな声でそう言った。
「そんな緊張しなくていいと思うお」
瑠奈の気配と声を察知し、瑠奈の方へと向いて冷静に、落ち着かせるようにそう声をかけた。
「だって、急にデスゲーム?に参加させられたんですもん…理不尽だよ、こんなの。お煎餅食べたい、お煎餅こそ正義…!」
瑠奈は急に人が変わったかのようにペラペラと喋る。ちょっと場違いではあるが、煎餅の愛が強いことだけはわかった。矢井は変わったやつしかいねぇなと心の中で思いながら、これからがどうなるか、予想できないまま空を見上げた。
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一方その頃、マンションの屋上へと続く扉の前で、人が怯え、呼吸を荒くする音が響いていた。
「なぁなぁ、なんでそんなに怯えるんだ?俺は親切に話しかけてやってるつもりなんだけどなァ。」
紫樹は相変わらずギザ歯を剥き出しにして笑いながら、心の底では見下すような視線を目の前にいる男性へと向けていた。
「い、いやだッ、来るな、来るなァァ!!」
男性は恐怖で目に涙を溜め、両手で頭を抱えてその場にへたり込み、うずくまった。だが、ハッとして自分の口を片手で覆い、みるみる顔を青ざめていく。
「…大声を出しちゃったらぁ……排除だよ?」
それを見ていた紫樹はイタズラっぽく微笑み、自分の口の前に人差し指を立ててそう言った。
男性は絶望し、紫樹の肩にぶつかりながらも横を駆け抜け、助けを求める叫び声を上げようとしたが、それよりも早く男性の体は陽炎のようにゆらめき、やがてその場から姿を消した。
「…一人いなくなっちゃったねぇ、」
紫樹は踵を返してその場を立ち去り、エナドリを一口飲んだ。
**【`葉草累 排除`】**
自身の部屋の中で、スマホがバイブ音を鳴らして振動する。
スマホの画面の中央に浮かび上がる赤い文字を見て、蓮は歯を食いしばった。どうせあのゲーマーがやったのだろう、新たな犠牲者が増えたことに蓮は思わず持っていたペンを握り潰した。破片が皮膚を裂き、掌から血が流れるのも気にせず蓮は無傷な方の片手を額に置いて俯く。
「…………。」
静寂。蓮は何も言わずに、その場からじっと動くことがなかった。
【今回の出演者】
・綺堂蓮
・矢井姑
・花島理実
・矢蘭滝
・月野瑠奈
・降鐘紫樹
・葉草累
後編へ続く─