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犬のお巡りさん
【暁side】
お兄さんに被せてもらった上着があったかくてウトウトしてたら、
自分の頭上で言い争っている声で目が覚めた。上着越しでよく聞こえないけど、
何やら暁の話をしているらしい。
「普通、迷子の子猫ちゃんが来ますよね!?僕は犬のお巡りさんですよ!?」
「うるせぇ!!別に鼠が来たっていいだろうがよぉ!!」
「誘拐犯の言うことなんて信じません!!」
「だから違うって言ってんだろ!!話聞けよ!?」
・・・違うかもしれない。
お兄さんはどうやら、誘拐犯だと思われてお巡りさんに怒られているっぽい。
これは、暁の出番だ!今こそ箱から飛び出して、親切なお兄さんを救うのだ!
「お巡りさん!」
「「!!」」
お巡りさんとお兄さんが驚いた・・・気がする。
気がするって言うのは、暁から外が見えていないから。
ダンボールがあまりに大きいので、背伸びをしても耳までしか出られない。
言葉を続けようとした時、箱がガタっと揺れた。それから上着がどかされて、
いきなり明るくなった。お兄さんがダンボールを机に置いたんだ。
お兄さんは少し疲れたような顔をしてこっちを見ている。
多分、お巡りさんのせいだよね。さっきは声しか分からなかったお巡りさんは、
ふわふわした優しそうな見た目をしている。
あの人からさっきの声量が出ることにちょっとびっくりした。
眩しさに目を慣らしていると、いきなりお兄さんが暁を持ち上げた。
「・・・・」
無言。左手で暁のTシャツの首元を後ろから掴んでいる。
ぽかんとしていると、また箱に戻された。
暁は気付いた。さっきより目線が高くなったことに。
お兄さんが暁を左手で持っている間に、右手で箱にコートを詰めたのだ。
「やっぱりお兄さんは親切な人なのですね!」
「どうとでも言え」
気を取り直してお巡りさんの方を向く。
「お兄さんはいい人なのですよ!誘拐犯呼ばわりは失礼なのです!」
「そ、そうなんですか?」
「そうなのです!暁のこと連れていってくれるって言ってました!」
「それを誘拐っていうんですよ!!」
「頼むこれ以上誤解を生まないでくれ・・・!」
お巡りさんの目つきがスッと鋭くなり、お兄さんの顔はこれ以上ないくらい青い。
なんだか暁のせいでお兄さんが余計に怒られてしまったようだ。
「頼むから俺から説明させてくれ。お前は本当かどうか言えばいい。」
「わかった!」
「・・・なら話を聞いてあげないこともないですけど」
お兄さんの眉間の皺はとんでもなく深い。割り箸くらいなら挟めそう。
2人は、ようやく男の話に耳を傾け始めたのだった。