公開中
誘拐ですか?
「〜♪」
「・・・・・」
やめろ。そんなキラッキラの目を俺に向けるな。
完全に連れて行って貰えると勘違いしているようだが、そんなことできるはずない。
鼻歌まで歌い出した目の前のハツカネズミにかける言葉も見つからない。
埒が開かないので、交番に連れて行くことにした。箱ごと、そっと持ち上げる。
「よっ、と」
「わぁ〜!」
「はしゃぐなコラ、落ちるだろうが」
咄嗟にキッと睨んでしまった。怖がられただろうか・・・?
このままだとこの子まで濡れるから、と横の壊れかけの傘に触れてみた。
少しは使い物になるかと思ったが、骨が出てるの穴だらけだので全く使えない。
仕方がないので、さっきまで着ていた黒革の男物のコートをダンボールに被せる。
首元にファーがついてるから、多分寒くはない、と思う。
「あったかーい!」
大丈夫そうなのでそのまま交番に着いた。
「すいません、この子についてなんですけど」
入り口のデスクで居眠りしている茶髪の犬獣人の警官に声をかけた。
犬のお巡りさんかよ。
「ぐー・・・」
起きねぇなコイツ。
「も・し・も・し?」
ガッと距離を詰めて男の耳元で低温ボイスで囁いてみる。
「ごがっ・・・はっっすみません!!なんの御用で!?」
「この子についてですって言っとるやろうが」
キレ気味に言う。
「えっ可愛い〜!素敵なお子さんですね!」
・・・・・・・・・・・素敵なお子さんですね・・・?
「は、いや違っ」
「で!お子さんがどうかしましたか?」
「違うっつってんだろうが・・・!人の話を聞け・・・!」
「あああすみませんすみませんゆゆゆ誘拐ですか!?」
「話を聞けっっ!!」
お互いに焦りすぎてとんでもない方向に話が逸れていく。
頼むから説明をさせてくれ。『逮捕』の2文字が頭を回り始めた時、
「おまわりさん!」
箱と上着の間から白い耳が覗いた。