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遥か昔、海は青かった 《夏の人魚》 一話
Prologue から読めます〜
それではっ(*^^*)
部屋にあった貝殻。
思わず耳に当てる。
ザァ…ザァ…
海の音だ。
「紗渚ー!もうそろそろよー?」
いきなり、母の声が飛び込んできた。
まるで台風の過ぎ去ったような部屋の中から適当に服を取り出して、貝殻と一緒にバックに詰め込んだ。
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行きは、お母さんとお父さんが一緒に送ってくれることになった。
ここから三時間、車でスイスイ進む。
特にすることがないので、本を読むことにした。
隣に座る湊斗はというと、秒で寝た。もうぐっすり夢の中だ。
「いやー、久しぶりだな、母さんの家は。」
「そうねぇ。お義母さん、元気にしてるかしら。」
運転席のお父さんに、助手席のお母さんがこたえる。
今から行く家のおばあちゃんは、お父さんの方のお母さんだ。
お父さんと顔立ちはあまり似てないけど、みたら一目で分かるあのタレ目はそっくり。
性格も、どこか似ている。ちょっと頑固なところとか。
でも、すごく優しい。子供が大好きで、小さい頃は毎年、お年寄りなのに特に年末は決まって会いに来てくれた。そして、私たちも会いに行った。
最近は、私が忙しくなって会えていなかった。
だからこのお泊まり、すごく楽しみ。
「おっ、海が見えるぞ。」
やっとか。私は窓の方に目を向けた。
相変わらず、黒い。本当に真っ黒だ。ところどころに、ゴミがプカプカと浮いているのが見える。
海をみていても、楽しいことはない。
ポチャン
「…?」
あれ、今。何か…
いやいや、ありえない。
再び、本に目を向けた。
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結局、夏休みだからか、思ったより道が混んでいて時間がかかった。
「やっと着いたな。」
お父さんの呟きに弟がガハッと起きて、慌てて車を出た。私も降りる。
目の前の一軒家を、じっと見つめた。
「変わってないね。」
記憶がピッタリ一致する。
ちっちゃい頃に来たときと、全く変わってなかった。
いや、ちょっと古くなったかな?汚れてみえる。
無理もない。お父さんが子供の頃からあった家だもの。
お父さんが、インターホンを鳴す。
すぐに足音がして、ガチャリとドアが開いた。
「「おばあちゃん!」「ばーちゃん!」」
湊斗と私が声を合わせた。
「まぁ、紗渚ちゃん、湊斗くん!会いたかったわ!」
真っ先に抱きつかれる。
ちょっぴり恥ずかしかった。弟も、顔を赤くしている。
「こんなに大きくなって… もうわたしの腕には収まらないわね」
ふふと笑うおばあちゃん。
「あなたもお帰りなさい、海斗。」と、お父さんに向き合って言った。
そして、お母さんにも握手。
両親も嬉しそう。
挨拶を一通りして、家にお邪魔した。
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本当に何百年ぶりかの感覚がした、おばあちゃんの家の中。
ほとんど変わっていないのがわかる。家具の位置とか。
手を洗うため洗面所に行くと、そこだけ新しいのがわかった。
古くなったからからリフォームしなくてはならなかったのだと、困ったように言うおばあちゃん。
でも、それ以外は、何もかもそのままにしてある。
居間には、少し小さめのテレビが一つ。今では珍しいタイプだ。
近くを調べていくと、埃を被った写真立てを見つけた。
軽く埃を叩くと、写真が浮き上がった。
若い頃のおばあちゃん。すごいべっぴんさんだ。
それで、隣にいるのが…
「それは、おじいちゃんとおばあちゃんが初めて会った日の写真ねぇ。」
「?! お、おばあちゃん?!」
びっくりした。いきなり、気配を消して出てくるから。
「ふふ、おじいちゃん、無愛想な顔をしているでしょう。」
写真をもう一度まじまじと見る。
イケメンだけど、ものすごい固い表情してる。
おじいちゃんは、私が小さい頃に事故に遭って亡くなってしまった。
あの人との最後の記憶は、貝殻。そう、今日持ってきたやつ。
隣でおばあちゃんが「綺麗な貝殻ねぇ」とニコニコしていた。
確か、おじいちゃんも笑ってたハズ。そこまでは思い出せないけれど。
こんなに無愛想な顔だったっけ?
「美男美女夫婦だね、2人は。」
思わず口にした。今だったらテレビに出てもおかしくない顔。
「あらやだ。紗渚ちゃんったら。」
おばあちゃんが照れる。
「じゃあその男らしくて無愛想なおじいちゃんに、手を合わせましょう。」
2人で、手を合わせた。
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「頼んだぞー、2人とも。」
「ちゃんといい子にねー。」
「「はーい。」」
両親が帰った後、私は早速暇になった。
何せ弟がおばあちゃんとゲームに夢中だから。
でも昔ながらのカードゲームなんて、私には幼稚だ。
「紗渚ちゃん。せっかくだし、海の方に行ってみたらどうかしら。」
私の姿をみたおばあちゃんが言った。
海?あそこに?
うーん、思い出のある場所ではあるけど…
「危なくないの?」
「近づきすぎると危険ね。でも、遠くからなら大丈夫。」
お茶を飲みながら言うおばあちゃん。
「姉ちゃん、ビビってんのー。だせー。」
「湊斗くん、駄目よ。お姉ちゃんにそんなこと言ったら。」
「はーい。」
私は少し考えた。
まぁ、せっかくの機会だし。
「うん、行く。」
今日中にもう一本出します!