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遥か昔、海は青かった 《夏の人魚》 二話
本日二本目の投稿っ!
靴を履いて、靴紐を結ぶ。
「暗くなりすぎる前に、帰ってきてちょうだいね。」
おばあちゃんが言う。
「あと、よいしょ。
はい。これでよし。」
物置から出して被せてくれたのは、古そうな麦わら帽子。ちょっと汚れてるけど、いい味を出してる。
可愛いかも。
「ありがとうっ
じゃあ、行ってきまーす。」
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おばあちゃんの家から海までは、すごく近い。
ランニングくらいの勢いでいけば、すぐに着く。
なんで急いでるのかわからない。けど走る。
ーーカラン。
硬いコンクリートに、何かが落ちた。
屈んでとったら、あの貝殻。
危ない危ない。ポケットに入れて持ってきたんだった。
もう一回しまう。
「…ふぅ。」
深呼吸。
前を見れば、海がもうそこに、遠くにあった。
水飛沫をあげて、波を繰り返してる。
おばあちゃんに連れられて、よく来たっけ。
幼い頃の自分には、この黒い海に何の価値があるのか、よくわからなかった。
帰ろうとせがむ私の横で、どこか哀しそうな、寂しそうな、愛おしそうな目をしたおばあちゃんがいた。
まあ、価値がわからないのは今も同じだ。
でも何故か来ちゃった。やっぱり自然の力はすごい。これを自然と呼ぶのかもわからないけど。
ただ、フェンス越しに眺めてた。
あがる水飛沫、繰り返す波。
誰もいない。
何もいない。
何も変わらない。
「……帰るか。」
なんで来たんだろ。
流石につまらなくなって、
方向をくるりと変えて歩き出そうとした。その時。
「ポチャン」
「…へ?」
波じゃない、何かの音。
また?
おかしい。どう考えてもおかしい。海には何もいないはずなのに。
急いでフェンスまで駆け出して目を凝らす。
「ポチャン」
また別のところから。
「…なに…?」
もう、驚きを通り越して恐怖まで感じてる。
いる、いるんだ。
確実に。
なのに、見えない。
どこなの?
「…バシャッ」
ーーあ。
やっと見えた。
ヒレだ。やっぱり、生き物だったんだ。
普通、誰もがここで疑問を抱くだろう。
だって、野生での海の生き物は全部絶滅したはずだから。
どこにもいないはずだから。
でも私はもうそれどころじゃなかった。
恐怖は消えて、好奇心だけがが駆け巡る。
「ーよいしょっ。」
「海はキケン 立ち入り禁止」フェンスをスルーして無理矢理よじ登る。
「わわっ?!」
さっきの恐怖心は消えたは嘘。見事に落ちた。
いてて。じゃなくて!
走る。
「わぁ、すごい。」
声が出た。
初めてだった。ここまで海に近づいたのは。
よし。さっきの捜査の続き。
おー!と、頭の中で意気込む。
うーん。
もし海が透き通っていたら、探すのは容易だっただろう。
でも、黒の海では不可能に近い。
だったら、ヒレがあがる瞬間を追うしか…。
頭を捻りながら、海沿いを歩く。
いきなり、大きな、大きな岩が目に留まった。
手で届く距離じゃない、けど泳げない距離じゃないところにあった。泳ぐ気はないけど。
今までちゃんとみてこなかったから、気づかなかった。
そして、驚いた。心臓が止まるかと思った。
岩の周り。
周りだけ。
嘘のように海が透き通ってる。
学校で習ったまんま。ソーダ味のゼリーみたい。
そこ以外は、どす黒いままなのに。
しばらくその場から動けなかった。
なんで、なんで。
わけがわからない。
しばらく経っただろうか。
「パシャ」
ヒレが見えた。
それは、器用に、すーっと岩の陰まで泳いだと思うと、
恐れることなく、ゆっくりとカオをだした。
「ねぇ、キミ。ココで何してるの?」
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「ねぇ、キミ。ココで何してるの?」
淡い水色に、白を足した様な髪。
エメラルドの宝石を宿した瞳。
虹を写した鱗、魚のヒレ。
私はこの夏、
美しい人魚に出会った。
やっと話が進みますね笑
これからもよろしくお願いします!
明日、3話目を投稿するつもりです( ̄∇ ̄)