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アウダスの彼方へ 第二部 古アウダス宇宙内戦編
とある町のとある人物
第一章 時空観測機の完成
アレクシウスの冒険から数年。
帝国研究局歴史探求課長 レオン・デニッシュ。
彼が完成させたのは、
時空観測機<<クロノス・アウダウ>>
その機械は、過去がわかる。
過去に行くのではない。
歴史に干渉するわけではない。
ただ、
見る。
それだけ。
それ以上でも、それ以下でもない。
この機械の使命は、ただ一つ。
かつて起きた、巨大な内戦。
古アウダス宇宙内戦の真実を見る。
レオンと研究員達は、機械を作動させる。
大きな作動音が部屋中に鳴り響く。
そしてメインテレビに映像が映し出される。
そのころ彼らはまだ知らなかった。
この実験が、世界の歴史観を変えることを。
第二章 文明を守りたい人々へ続く
第二章 文明を守りたい人々
映像には、若き日のアウダス七世がいた。
彼らは、皇帝軍だった。
敵は、フェデウ維持連合軍。
即座にクロノス・アウダスが解析結果だした。
それぞれの目的
皇帝軍:文明の発展にはより条件の良い星々へ出なければならない。
フェデウ維持連合軍:どんな理由があっても、故郷を出ることなどあってはならない。
それは、
未来の選択争いだった。
どちらにも、それぞれの正義があった。
どちらが間違っているとも言い切れなかった。
アウダス七世は虚無を指さした。
いや、指をさした先はレオンだった。
「そこに誰かいる。」
アウダス七世は言った。
レオンの部屋に、警告音が鳴り響く。
機械の警告音。
「過去からの干渉を検知!」
「未来の観測者よ。」
アウダス七世は静かに語る。
「未来では、我々はどう記録されている?」
レオンは少し考えた。
事実を伝えるべきか、うそをつくべきか。
「唐突に消えた超文明と記録されています。」
「そうか。」
フェデウの軌道には、無数の宇宙船が浮かんでいた。
「皇帝軍、前!」
アウダス七世の号令で一斉に動き出す。
一方で敵も、前方へ動くよう指令を出していた。
双方の間の距離、約十三万キロ。
通常では、砲撃が飛び交う距離。
でも、この戦いは違った。
どちらも、古アウダス王朝を未来に残したかった。
「防御幕展開。」
アウダス七世の落ち着いた声。
敵の大将「アルンシュダ」はそれを聞いて安心した。
王朝軍同士では、同じ技術体系の兵器が防御幕を突破できない。
そのため、皇帝軍も連合軍も決定打を与えられない。
その沈黙は、五時間続いた。
第三章 宇宙内戦開始の鐘へつづく
第三章 宇宙内戦開始の鐘
その五時間もの沈黙を破ったのは、皇帝軍の巡洋艦だった。
アウダス七世の命令に逆らい防御幕の外へ出て、光化学砲を撃った。
フェデウ維持連合軍の駆逐艦にあたり、撃沈。
アルンシュダは目を閉じた。
……やはり、避けられなかったか。
「全艦...砲撃開始...」
両軍の戦闘が始まった。
光化学砲の緑色の光。
粒子砲の青白い光。
無数の宇宙戦闘機の交戦。
「消失艦、敵味方合計七十二艦!」
「戦死者、敵味方合計四十二名!」
アウダス七世の部下が叫んだ。
「これほど激しい戦いなのに...」
「これが、古アウダス宇宙内戦...」
レオンがつぶやく。
古くから、古アウダス王朝軍は、救命信号を受け取ったら、
敵味方関係なく助ける。
それが王家の命令だった。
その時、フェデウの北極点で異常が起こる。
第四章 北極点の異変へ続く
第四章 北極点の異変
北極点では、空間が裂け始めていた。
まるで、アレクシウスの冒険の時のように。
その先には、
3.5次元。
北極点の研究施設が実験に失敗し、できた空間。
そこは、
アレクシウスの旅した3.5次元だった。
しかし、この現象は新アウダス帝国で知られる亜空間とは違っていた。
イリーナの論文によれば、3.5次元が移動した後、その入口だけが亜空間として残る。
新アウダス帝国で利用されている亜空間は、その後の時代に生まれたものだった。
そして、すぐ研究施設へ救急艦が向かう。
先程まで撃ち合っていた両軍は戦闘をやめる。
その研究施設の最深部、謎の男性が通信をした。
「計画Ⅰ完了。応答を待つ。」
その男性は、王朝の制服を着ていた。
だが、所属部署の部分は切り取られ、
指紋も手袋で対策済み。
そして、通信後すぐに消えた。
「研究所に、外部侵入の痕跡があります!」
アウダス七世の部下が叫ぶ。
そのころ、アルンシュダも同じ報告を受けていた。
「まさか、意図的に戦わされていた?」
二人の声が重なる。
両軍は臨時休戦協定を結び、レオンの謎の男の映像を基に調査を始めた。
そのころ、謎の男性の組織の本部。
「奴らは気づいたか。」
「ええ。」
「まあ、問題ないだろう。」
「それより、3.5次元の存在のほうが問題だ。」
第五章 フロンティア局の黒い影へ続く
第五章 フロンティア局の黒い影
両軍は、謎の男の捜索を続けていた。
両軍のスーパーコンピュータは直列に並び、
科学者は消えた理由を調べ、
歴史家は歴史に彼の組織がないか調べる。
古アウダス王朝両軍の努力の結果、ひとつの結論にたどり着く。
宇宙開発戦略局。
通称、
フロンティア局。
三十年前創設。
今から十年前に全員が退職した。
それは偶然ではなかった。
目的:人類の存続。
ただし、どんな犠牲を払っても。
彼らは内戦が起きることを予知していた。
そして、利用しようと考えた。
薄暗い司令室。
巨大な星図の前で、一人の男が静かにつぶやいた。
「ズウェズダ移民完了率98.5%。」
両軍は気づいた。
でも、遅すぎた。
もう、止められない。
移民船を攻撃すれば、古アウダス王朝の未来がなくなる。
攻撃しなくても、故郷を捨てることになる。
第六章 決断へ続く
第六章 決断
両軍ともに、後者を選んだ。
罪なき人々を攻撃できなかった。
そして、自分たちの望む未来をあきらめた。
それ以外の道はなかった。
両軍で共通の目的
「未来へ古アウダスを残すこと。」
攻撃すれば、達成できない。
司令官の声がまた重なった。
「待機…」
そして、両軍はズウェズダの方向へ方向変換。
艦橋の展望室には、一人の人がいた。
アウダス七世。
後ろから、もう一人。
アルンシュダ。
普通なら、会うことはない敵同士。
でも、今は違った。
飛び行く移民団。
もう、だれも止められない。
故郷にはもう帰れない。
第七章 止められないへ続く
第七章 止められない
アウダス七世は話しかけた。
「もう、止められないな。」
「ああ。」
「フロンティア局のことは知っているか?」
「ええ。かつて、公的機関だったころのフロンティア局にいました。」
「だったら、誰が中心の組織かわかるか?」
「わからない。」
レオンは、かつてのフロンティア局の映像を見る。
そこでは、演説をする人がいた。
「人類の存続のためには、多大な犠牲を求められる時がある。」
「それでも、乗り越えよう!」
少し未来に動かす。
また、同じ人が演説をしている。
「人類の存続のためのズウェズダ移住だ。」
「反対組織は消し、内戦を利用せよ!」
確かに、同じ人だった。
でも、口調が変わっていた。
確かに、やろうとしていることは正しい。
方法が過激だ。
レオンは展望室の映像に戻す。
アウダス七世が話しかけてきた。
「古アウダス王朝時代の後に、私にあったことがある人はいるかい?」
「....一人います。アレクシウスが…」
「彼は何のために行った?」
「父の....古アウダス王朝四次元移動説を証明するためでした。」
「そうか。」
第八章 約束へ続く
第八章 約束
アウダス七世とアルンシュダの会話に戻る。
アルンシュダが言った。
「約束を、一つしたいです。」
「どんな約束だ?」
「必ず、また、フェデウの空の下で会いましょう。」
「ああ。」
そして、それぞれの艦隊に戻る。
「全軍、発進!」
両軍に、同時に指令が伝わる。
全艦隊、ズウェズダへ向かう。
その中、一つだけフェデウへ向かう艦があった。
レオンの研究所のモニターは、その艦の中を映し出す。
---------そこには、
アウダス七世がいた。
一人、フェデウを見つめていた。
「これは、約束を果たすためだ。」
少し前に映像が戻る。
「せめて付き添いを!」
アウダス七世の部下の叫び声。
「いや、巻き込みたくないんだ。」
映像を戻す。
アウダス七世は、フェデウの北極の3.5次元入口へ向かっていた。
まだ、この頃は3.5次元だった。
レオンの時代では、亜空間への入り口だ。
それは、イリーナの論文でわかる。
3.5次元は、移動する空間だ。
3.5次元がその場からなくなったら、
入口から行ける場所は亜空間になる。
アウダス七世は、フェデウの北極の3.5次元入口へ向かっていた。
そして、3.5次元に入っていった。
約束を守るために。
第九章 最初の住民へ続く
第九章 最初の住民
3.5次元には、研究所にいた研究者が何人か吸い込まれていた。
そこに、アウダス七世が来た。
彼らが、3.5次元の最初で最後の住民だ。
この七つの塔だけは完成させる。
それが彼らの使命だった。
最後の研究者がアウダス七世に最後に残した言葉。
「どうか、未来の人々に真実を伝えてください。」
そして、アウダス七世は七つ目の塔へ向かう。
そこの、「長期間生命維持装置」<<コールドスリープ装置>>に、
アウダス七世は入力。
その後、アウダス七世は入り、
目を閉じる。
蓋が閉まる。
緑色の液体が注入される。
アウダス七世は永い眠りについた。
アウダス七世が入力した文は、
覚醒条件だった。
<<条件>>
<<1.この施設にフェデウ系生命の侵入を感知>>
<<条件を満たした場合、覚醒。>>
これが、約二千年後、アレクシウスが、侵入した時に反応したシステムだった。
最終章 ズウェズダ移住団へ続く
最終章 ズウェズダ移住団
研究所のモニターを終戦から数年後にセット。
アウダス七世以外のほぼすべての者は、ズウェズダへ移住した。
そして、アウダス七世の息子、アウダス八世が皇帝になるはずだった。
でも、彼は皇帝になる代わりに、初代連邦議会長になった。
ズウェズダ周辺連邦の。
彼らは、故郷を「想いや感情を伝えるすべての場所」とした。
そして、フェデウを忘れないことにした。
やがて、イリーナがあの論文を書く。
それは、3.5次元のアウダス七世にも送られた。
だから、彼が三次元にいない時期の論文を持っていた。
レオンは誰もいなくなった研究室でつぶやく。
「これが……古アウダス王朝の真実。」
そして、新アウダス帝国の人々もここを目指してやってくる。
それは、レオンの時代から数十年先の物語。
アウダスの彼方へ 本伝 第二部 古アウダス宇宙内戦編 完
アウダスの彼方へ 本伝 第三部 ズウェズダ探索編 へ続く
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