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アウダスの彼方へ 外伝 ルカの3.5次元旅行記
とある町のとある人物
第一章 落下
次に目を開けたとき、僕は大自然の中にいた。
花が咲き乱れる平原。
どこまでも続く森。
目の前にそびえたつ山々。
「……きれいだ。」
僕は呟いた。
でも、すぐに音が消えた。
僕はいくつか違和感を覚えた。
計算上、四次元では音が大きく響くはずだった。
もしかして、四次元じゃない?
十歩進むごとに、目印として石を一つずつ置いていった。
なぜか、最初の位置に戻った。
並べた石を見た。
ところが、石の間隔は一つ一つ大きく異なり、ところが、途中から石が消えていた。
さらに、その先に置いた石は、最初に置いた石より後ろへ移動していた。
今度は方位磁針を使って歩こうと思った。
でも、針はぐるぐる回り、一点に定まらない。
空が暗いから、星を頼りにしよう!
でも、空に星はなく、色は青のような、紫のような、薄暗い色だった。
なのにあたりは明るい。
まさか、3.5次元?
第二章 3.5次元へ続く
第二章 3.5次元
アレクシウスの父の研究でも出てきた、3.5次元。
そこでは、時間も空間も音も変という計算結果が出ていた。
この空間と同じだった。
僕はやっとここでこの空間が3.5次元であることに気づいた。
そして、3.5次元では三次元の存在が安定しないことを思い出した。
もしかしたら消えるかもしれない。
でも、あくまで可能性があるだけだ。
僕は研究者である限り、未知を探究し続ける。
アレクシウスは必ず救いに来るだろう。
「旅をしてみるか。」
僕はそう思った。
アレクシウスがここへ来たとき、生きていると分かるように、印を残そうと思った。
そうしているうちに、あたりは暗くなり、3.5次元最初の夜になった。
謎の人影が辺りに数人現れた。
実体はないが、簡単な意思疎通ならできそうだ。
謎の人影が指をさしている場所に、
アレクシウスへ生きていることを伝える印を置こうと思った。
第三章 「手紙」へ続く
第三章 「手紙」
手紙の内容に悩んだ。
近くには、さっきまでなかった白い塔が来ていた。
その近くの破片を拾い上げた。
すると、塔はすぐ遠ざかった。
破片には、見覚えのあるマークが彫ってあった。
古アウダス王朝の王印だった。
やっぱり古アウダス王朝は、この空間を研究していた。
アレクシウスのお父さんの理論も、全部が間違いじゃないのかもしれない。
手紙に書く内容は決まった。
風に飛ばされないように、工具箱の中に入れた。
そして、約束の丘の上へ向かった。
丘まではとても長くかかった。でも、どれくらいかはわからない。
ここは常識が通用しない場所---------- 3.5次元だ。
行く途中、何度もアレクシウスが見えた。
そのたび、話しかけた。
返事が来ることはなく、大抵は数分で消える。
幻覚だった。
そして、
やっと着いた。
約束の丘の上へ。
第四章 約束の丘でへ続く
第四章 約束の丘で
僕は約束の丘の上に着いた。
ずっと、白い七つの塔を見ていた。
上から見ると、全部星形だった。
古アウダス王朝の国章も中心に星がある。
七つ。
古アウダス王朝の研究施設であることはほぼ確定した。
ずっと見続けた。
ずっと。
ずっと。
ある日、アレクシウスが見えた。
僕は叫んだ。
もしかしたら、僕「も」かもしれない。
音は聞こえないから。
すると、アレクシウスは手を振り始めた。
僕も手を振った。
そして、白い塔へ入っていった。
きっとまた幻覚だ。
僕はまた待った。
今度は、山を向いて。
もう、幻覚を見たくなかった。
また、待った。
アレクシウスを。
すると、
後ろから声がした。
「ルカ!」と。
最終章 再開へ続く
第五章 再開
後ろから声がした。
「ルカ!」と。
また幻聴だと思った。
でも、期待はした。
しても意味がないと思った。
なのに、期待してしまう。
それが人という生き物だ。
振り向いて、話しかけた。
「アレクシウス?」
そこにはアレクシウスがいた。
……でも、また幻覚かもしれない。
握手をした。
そこで、本当にきたことが分かった。
「どれぐらい待った?」
アレクシウスの質問に答える。
「分からない。一日かもしれないし、十年かもしれない。この世界じゃ、時間は当てにならないか
ら。」
そしてまた、白い七つの塔へ戻る。
アレクシウスはアウダス七世に最後に聞く。
「父の仮説は、あってましたか。」
アウダスの彼方へ 外伝 ルカの3.5次元旅行記 完
本伝 第一部 第九章へ続く