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どこかの変異生物
それから、長い間私はどちらにも属さない場所を彷徨っていた。
いずれこの私に差し伸べられる手が来るだなんて綺麗事は望んでいない。
ただ、あんな場所だと考える時間がないからだ。
それで歩いていたのに、突然鐘の音が鳴った。
それが合図だったかのように、私はその場所から引き剥がされた。
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死者と生者の境目を彷徨っている気がした。私は生と死はあまりわからないが、死者と生者ならばいくらでもわかる。そのまま進んでいた。リンクの北部へ。
リンク北部には大量の変異生物が蔓延っているらしいが、恐ろしいのは北部の情報はほとんど伏せられているため北部がどういう場所なのかを知りたい場合は自分の足で行くしかないということだ。
私の旧友は北部に向かったっきり帰ってこなくなった。
北部に着くと、雰囲気が著しく変わった。
そこら中に形が歪なキノコが生えていたり、温度は気色悪いぐらい暖かい。そして何よりも、整備の行き届いた人工物がある。その中の一つに白い正方形のものがあった。遠くから見ても縦横10kmほどは軽く超えてそうだ。
そこに向かう為歩いている。ふと空を見上げると、緑色の煙がそこら中から立ち昇り、そして空には大きなトンボの怪物のようなものが飛行していた。変異生物は図鑑などでしか…いや、あまり見たことはなかったがその怪物がとにかく恐ろしいのは目に見えてわかった。
しばらく歩いていると、横から足音が聞こえた。それでそちらを向くと、黒に近い灰色のパーカーとズボンと黒い手袋というシンプルな装いの者がいた。目は無関心そうにどこかを見つめていた。どういう人物なのかはわからないが、知り合いでもないしそもそも人間なのかもわからないのでそのまま進むことにした。
しばらく歩いていると突然なにかの遠吠えが遠くから響き渡った。すると大きな足音が聞こえ、ここにやって来た。
目玉が不規則な並び方で7つほどあり、口もまた途切れ途切れに身体の一部が裂け、そこが口の機能を果たして、10mほどはありそうな狼だった。
その狼はこちらを見つめると、爪をジャキンと鳴らして伸ばした。
なんてことだ、私は武器なんて持ってないぞ。狼はそんなことも構わず、私を引っ掻こうとした。
突然、斬撃。
狼の爪の軌道を刀を持った何かが横切り、それを阻んだ。それは着地した。先程のあのパーカーの人物だ。狼はその人物に吠えるとその人物を攻撃しようとした。しかしその人物は狼の腹部に滑り込み、刀で貫いた。その狼はその一撃が効いたのか、遠吠しながらどこかへ消えていった。
「誰ですか?」
その人物は答えなかった。ただこちらをしばらく見つめたあと、刀で地面にこんな字を刻んだ。
***セジ***
そしてその人物はどこかに消えた。
そして、私は変わらず歩き続けた。