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コモルーのともしびと、渡り鳥のうた
僕は最近小説を色々出しているのでできたら読んでみて下さいお願いします🙇
第一章:居残り組の秋の朝
大きなカエデの木が、まるで燃えるような赤に染まる季節。
パチリスのピップは、今朝もふかふかのしっぽを丸めて目を覚ましました。ここは、人間が一人もいない、ポケモンたちだけの平穏な森「カエデの谷」です。
朝露に濡れたきのみを拾い集めながら、ピップは谷の広場へと向かいました。
広場の真ん中には、まるくて白い岩のようなポケモン、コモルーのルウがぽつんと座っています。
「おはよう、ルウ! 今日もいい天気だね」
ピップが元気に声をかけると、ルウは硬い殻の奥から、ちいさく「きゅぅ」と鳴きました。
ルウは、この谷で何年も暮らしています。
周りのタツベイたちが次々とコモルーになり、そして大空へ羽ばたくボーマンダへと進化していく中で、ルウだけはなぜか、ずっとコモルーのままでした。
「いつか、僕もあの雲の向こうへ行くんだ」
それがルウの口癖でしたが、頑丈な殻に包まれた今の彼には、羽もなければ、空を飛ぶ軽さもありません。
そこへ、バサバサと力強い羽音が響きました。
降り立ったのは、旅の郵便屋さんであるウォーグルのガルさんです。その大きな背中には、ぎっしりと手紙の詰まったカバンが揺れていました。
「みんな、集まってくれ! 北風の知らせだ。今年も『渡り』の季節がやってくるぞ」
ガルさんの言葉に、森の飛行ポケモンたちがざわめき立ちました。寒くなる前に、南の暖かい島へと旅立つ準備を始めなければならないのです。
「ルウ」と、ガルさんは優しく語りかけました。
「お前の心の準備はどうだ? 今年こそ、一緒に南へ行けるかい?」
ルウは少しだけうつむき、それから硬い殻をカチリと鳴らしました。
「うん。僕、みんなと一緒に飛びたいな」
けれど、ピップは知っていました。ルウが夜遅くまで、誰もいない崖の上で、何度も何度も地面を蹴っては、飛べずに転がっていたことを。
第二章:ちいさな灯火(ともしび)
旅立ちの日が近づくにつれ、森は慌ただしくなっていきました。
渡り鳥ポケモンたちは、長い旅路に備えて木の実をたくさん食べ、羽を整えます。ピップたち「居残り組」のポケモンたちは、旅立つ仲間たちのために、お守りとなる即席のアクセサリーを作り始めました。
ピップは、綺麗に磨いた「ひかりのいし」の欠片をツタで編み、ルウの首(らしき場所)に巻いてあげました。
「これ、遠くからでもピカって光るから。迷子にならないようにね」
「ありがとう、ピップ。大切にするよ」
その夜、谷は大嵐に見舞われました。
激しい雨がカエデの葉を叩き、冷たい突風が吹き荒れます。
ピップが自分の巣穴でガタガタと震えていると、遠くで「ピジィーー!」という悲痛な悲鳴が聞こえました。
ピップは飛び起き、雨の中へ飛び出しました。
声のした方へ向かうと、そこには激しい風で折れた大木の下敷きになり、羽を痛めて動けなくなっているちいさなポッポの姿がありました。
「大変だ! 誰か、誰か来て!」
ピップが叫びますが、嵐の音にかき消されてしまいます。
その時、暗闇を割って、白い丸い体が転がってきました。ルウです。
ルウは重い体を投げ出すようにして、折れた大木に体当たりを食らわせました。
「コモォーーーッ!」
ゴン、と鈍い音が響き、大木がわずかに持ち上がります。その隙にピップがポッポを引き抜きました。
しかし、嵐はさらに激しさを増し、冷たい雨が容赦なくポッポの体温を奪っていきます。
「寒いよぉ……」と震えるポッポ。
その時、ルウがポッポを自分の体の方へと引き寄せました。
ルウの殻の隙間から、ぽうっと暖かなオレンジ色の光が漏れ出しました。
それは、彼がいつか大空へ羽ばたくために、体の中で大切に育てていた「竜の炎」のぬくもりでした。
ルウは自分の殻を盾にして風を遮り、体の中からあふれる熱で、ちいさなポッポとピップを包み込んだのです。
「あったかい……」
ピップはルウの体に寄り添いました。ルウの殻は、まるで火にかけた石のように、優しく、どこまでも温かいものでした。
ルウ自身は、体力を激しく消耗しながらも、一晩中、二匹を守るために温もりを分け与え続けました。
第三章:それぞれの空
翌朝、嵐は嘘のように去り、どこまでも高い青空が広がっていました。
森の広場には、旅立ちを控えた渡り鳥たちの群れが集まっています。
夕べルウに助けられたポッポは、すっかり元気になり、お母さん鳥に見守られながら羽ばたきの練習をしていました。
「ルウ、ありがとう! 僕、忘れないよ!」
ガルさんが群れの先頭に立ち、翼を広げました。
「さあ、出発の時だ! ルウ、お前の準備は……」
ガルさんの言葉が止まりました。
ルウは、優しく首を横に振ったのです。昨晩、仲間を温めるためにすべてのエネルギーを使い果たしたルウの体は、いつも以上に重く、歩くのがやっとの状態でした。
「僕、今年はここに残るよ」
ルウは穏やかな声で言いました。
「昨日ね、わかったんだ。僕のこの硬くて重い殻は、誰かを嵐から守るためにあるんだって。空を飛ぶのは、この殻が自然に脱げるその日まで、もう少しお預けにするよ」
ピップはルウの足元に駆け寄り、その白い殻にぎゅっと抱きつきました。
「ルウ……!」
「泣かないで、ピップ。僕、ここにいるよ。冬の間、寂しくないように、ピップをたくさん温めてあげるからね」
ガルさんは深くうなずき、ルウの頭を大きな羽でそっと撫でました。
「お前は立派な、森の守り神だ。来年、お前がどんな姿になって空へ上がってくるか、楽しみにしているよ」
「キーエーーッ!」
ガルさんの合図とともに、何百匹もの鳥ポケモンたちが一斉に大空へと舞い上がりました。
それは、息をのむほど美しい、生き物たちの絨毯のようでした。
空を見上げるルウの首元で、ピップが贈った「ひかりのいし」の欠片が、朝日に反射してきらきらと輝いています。
飛び立つ群れの中から、ちいさなポッポが何度も振り返り、ルウに向かってちいさな羽を振っていました。
「綺麗だね、ルウ」
「うん、綺麗だね。いつか、必ずあそこへ行くよ」
ルウの言葉には、もう焦りも悲しみもありませんでした。
冷たい秋の風が吹く中で、ルウの体からは、まるで小さなストーブのように、ぽかぽかとした優しい暖かさが途切れずにあふれていました。
二匹は肩を並べ(ルウに肩はありませんが、ピップはそう感じていました)、仲間たちが見えなくなるまで、ずっとその青い空を見つめ続けていました。
(完)
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全然無理に送らなくていいですからねー