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縁結び屋 氷の縁結び娘は初恋に出会う。〜⑥兎糸の家〜
「では、話はこれくらいに致しましょうか」
作り笑いをしながら美桜が言う。
これで、拓海は両家の契約を破った。
雪下からは、家の名に泥を塗ったと非難される。
兎糸からは、最悪のイメージを抱かれる。
これは、両家への宣戦布告だーー
ゴクリと唾を飲み込む。
涙が溢れてしまいそうだった。
何で、そこまでして拓海は私を守ろうとするの?
「おい、帰るぞ」
美氷は迷わなかった。
拓海があちらを向く。
隙があちらこちらにできる。
そしてその隙の中には、拓海の石が入っているところもあった。
美氷は縁切りの石を手に取った。
「おい、何する気だ」
早速気づいた拓海だが、もう遅い。
「封印」
周りが光り、眩しくなる。
そして、美氷の耳元でチョキン、という音が聞こえた。
これで縁の糸は切れた。
もう拓海の姿は見えない。
縁を切ると言うことは、相手の姿さえも見えない。会うことも出来ない。
相手が透明人間になったような感じだ。
(さようなら)
今までありがとうございました、と心の中でお礼を言う。
そして縁結び屋の口コミには、夏美のコメントが載っていた。
『私の恋もやっと成就して嬉しかったです!あと、受付の女の子と男の子がどっちも美男美女でいい感じだと思うので、応援してあげてください!』
…良い感じ、か。
美氷はまた夏美のコメントを読み返した。
そうだったら良かったのに。
出会う時も、場所も、私の地位も違かったら良かったのに。
私が落ちこぼれじゃなかったら?
私が、普通に兎糸の人間として幸せに生きていたら?
自分を責めた。
私が落ちこぼれじゃなかったらよかったのに。
ーー雪下家
「拓海」
重々しい声で雪下の当主が拓海の名を呼ぶ。
「儂は、お前という孫の祖父が誇らしかった」
…何言ってんだこの爺。|戎森家《えびすもりけ》に一時期乗っ取られそうになったくせに。
心の中で拓海は悪態をついた。
「単刀直入に言う。美桜様の御前に軽々しく現れた女とはどういう関係だ?」
はっ、と拓海は笑った。
「縁結び屋」
「…おい、石を持って来い|あれ《••》をな」
「はっ」
戎森の重臣が純白の光を纏う石を持ってきた。
「嘘ならば闇に、本当ならば純白にーー」
雪下の当主は、石を拓海の頭に乗せた。
色は、灰色になった。
「は、灰色…っ!?」
「この様な色になるという記録は…なかったはずだ…」
「探せ!ありったけの文献をかき集めるんだ!」
大人達がドタバタと動き始める間に、一人の娘が拓海に近づいた。
「拓海様」
「…あぁ、ゆあのか」
「灰色になったのはきっと私のおかげですわ」
胸を張っているゆあのに、拓海は言い放った。
「白と黒を混ぜれば、何色になると思うか?」
ゆあのは口を開かなかった。