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第六話 表 Please—at least you, get away.
ドアを開けた先は、またあの地獄だった。
赤い光が廊下を照らし、後ろにはエンティティが追ってくる。
僕達はまた、走り始めた。
先輩になにか聞きたかったが、先輩の顔は、今まで見たことのないほど真剣だった。
いつまでそうやって走っていただろうか。
僕達はいつの間にか、青い廊下にいた。
エンティティもおらず、平和な空間だ。
先輩は壁にもたれかかって息を整えている。
僕は先輩と同じように壁にもたれかかって休んだ。
突然、先輩が口を開いた。
「休み終わったら、また赤い廊下へ行くぞ。」
「なんでですか?」
「長時間滞在しなければいけないから。」
何を言っているのかはわからなかった。
けれど、僕には、僕のことを思っていってくれていることはわかった。
それからしばらくして、僕達はまた赤い廊下へ行ったり、青い廊下へ行ったりを繰り返した。
何回かすると追われることにも慣れた。
それがダメだったのだろう。
僕達のすぐ後ろに、エンティティがいる。
先輩も油断していたのだろう。
僕は、障害物にぶつかって、転んだ。
いや、わざと転んだ。
あのままでは、ふたりとも共倒れだ。
エンティティが僕のすぐ後ろにいるのが音でわかる。
結構前にいた先輩がなにか叫んでこっちに走ってきているが、間に合わないだろう。
僕の下半身の感覚がない。
先輩は僕の上半身を引きずって、青い廊下まで来たようだ。
廊下に、なにか見たことのない階段がある。
きっとあそこが目的地なのだろう。
先輩だけでも、現実世界に行けそうで良かった。
僕には現実世界に戻る理由がない。
そもそも、死のうと思って飛び降りたら、こんな場所にいたのだ。
だから、現実世界に戻りたい先輩だけでも助かってよかった。
先輩には返しきれない恩がある。
こんな形だけれど、返せてよかった。
目など無くても、先輩はきっと生きていけるから。