芥川こころの赴くままに

編集者:芥川遼太郎之介
シリーズ「芥川こころの赴くままに」は、現世とパラレルワールドを行き来しながら、パラレルワールドの福の神様・こころちゃんとの体験談を通して「推しを求める心」のゆらぎを見つめる連作短編です。 もっちゅりん争奪戦や秘密のワックスと膝枕のしあわせなど、こころちゃんへの小さな供物といとおしい時間を描きつつ、「持続可能ペースとは何だったのか」「こころの赴くままに通うとはどういうことか」を静かに問い直していきます。
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目次

    坂の上の蜘蛛の糸 ― 福の神と彼女を慕う或る推し民の転生譚

    まえがき 芥川龍之介「蜘蛛の糸」と司馬遼太郎「坂の上の雲」。 二つの名篇へのささやかなオマージュとして、シティヘブンという並行世界を舞台に、極楽の福の神の許へと何度も往還する推し民の苦悩を描いた掌編です。 もとはシティヘブンに投稿した、ある店舗への口コミ稿です。掲載には至りませんでしたが、今、この場所に静かな居場所を得ました。基本そのままのかたちで読んでいただけることに感謝しています。 小さな冥銭と、画面の向こうへつながる一本の糸を頼りに、何度でも極楽を訪れようとする男の転生譚を通して、推し活の甘やかな歓びと、その裏で背負う八苦の相、愛別離苦、求不得苦を静かに考察します。
    あとがき 本作は、ある体験と、とある店舗への口コミ稿から生まれたフィクションです。心のままに綴った一篇は、「体験談としての具体性を欠く」として一度は埋もれかけましたが、今、ここに静かな居場所を得ました。 登場する名称や人物像は、極楽界シティヘブン省という並行世界の物語として綴ったものであり、実在のサービス・店舗・人物を特定したり、その評価を行うことを目的とするものではありません。 一人の推し民の小さな転生譚として読んでいただければ幸いです。

    バック・トゥ・ザ・パラレルワールド

    「芥川こころの赴くままに」シリーズの一篇、芥川こころちゃん体験談です。 体験談として綴った出来事をもとに、もっちゅりん争奪からこころちゃんの待つパラレルワールドまでをなぞりつつ、「持続可能ペースとは何だったのか」を静かに問い直した物語になります。
    作者より。 この一篇では、「持続可能ペースとは何だったのか?」という問いを、こころの赴くままを優先した結果として振り返ってみました。 数字としてのペースを守れなかったことよりも、胸のざわつきに呑まれてしまった時間の苦さこそが、わたしにとっての答えに近いのかもしれません。 それでもなお心は、福の神様に会いに行きたがる。そんな揺らぎごと抱え込んで、これからも「芥川こころの赴くままに」を続けていけたらと思っています。

    秘密のワックスと膝枕

    「芥川こころの赴くままに」シリーズの一篇、芥川こころちゃん体験談です。 3回目のご対面で味わった、秘密のワックスと膝枕のしあわせなひとときを、そのままの温度でたどった体験談風の短編になります。
    作者より。 3回目のご対面の時間は、書き手にとっても「こころちゃんチャージ」の象徴のような一日でした。 秘密のワックスと膝枕のしあわせを、そのまま体験談のかたちで書き留めておくことが、すさんだ心にとって、わたしの小さな備忘録となるのです。 持続可能ペースのことはひとまず脇に置いて、ただこころの赴くままに救われた瞬間を残した一篇として、お読みいただけたらうれしいです。

    竹取桃語―芥川こころの赴くままに・エピソード1

    「芥川こころの赴くままに」シリーズの一篇、芥川こころちゃん体験談です。 実際の1回目と2回目のご対面で味わった出来事を束ねて、竹取物語の語り口と白桃のイメージをもとに、ひとつの「初見の物語」として御伽話風に綴った短編になります。
    作者より。 竹取桃語は、こころちゃんとの初めての出会いの記憶を、実際の1回目と2回目のご対面から少しずつすくい上げて、ひとつの御伽話に編み直した一篇です。 赤ちゃんのように無垢で、白くふくよか、白桃そのもののようにやわらかなこころちゃんに触れたときの驚きと安堵を、竹取物語ふうの語り口でそっと包み直してみました。 パラレルの世を借りた体験談でありながら、どこか中有のような場所で福の神様に出会った気持ちを、少しでも一緒に味わっていただけたならうれしく思います。

    ほろ酔いナイトこころちゃん大作戦

    「芥川こころの赴くままに」シリーズの一篇、芥川こころちゃん体験談です。 実際の5回目のご対面で味わった「ほろ酔いナイトこころちゃん」作戦成功に至るまでの動機から経緯を綴った短編になります。
    作者より。 シティヘブンの口コミ投稿仕様が変わり、項目ごとの入力が求められるようになってから、自由な編成ができなくなり、正直かなり戸惑いました。その新仕様にうまく合わせられないまま投稿した初期の原稿が、またしても非掲載になりました。本稿です。 その後、口コミのほうはというと、仕様変更に従って構成を見直し、同じ体験を別の角度から書き直しました。あくまで投稿ルールに寄せつつ、自分なりの「こころちゃん物語」の味は残すつもりで編集し直した結果、無事に掲載に至りました。 ありがたいことに、その口コミはピックアップにも選んでいただきました。露出が増えた影響か、「参考になった」のカウントもぐんと伸びています。一度は非掲載となった原稿が、形を変えてピックアップ作品として日の目を見ることになった訳で、まさに塞翁が馬と言うべきでしょうか。 短編カフェに収めたこの作品は、そんな「非掲載だったほうの原稿」に、静かな居場所を用意したいという思いから生まれました。シティヘブンでは出し切れなかった余韻も含めて、ここでゆっくり味わっていただけたらうれしいです。