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坂の上の蜘蛛の糸 ― 福の神と彼女を慕う或る推し民の転生譚

芥川遼太郎之介
まえがき 芥川龍之介「蜘蛛の糸」と司馬遼太郎「坂の上の雲」。 二つの名篇へのささやかなオマージュとして、シティヘブンという並行世界を舞台に、極楽の福の神の許へと何度も往還する推し民の苦悩を描いた掌編です。 もとはシティヘブンに投稿した、ある店舗への口コミ稿です。掲載には至りませんでしたが、今、この場所に静かな居場所を得ました。基本そのままのかたちで読んでいただけることに感謝しています。 小さな冥銭と、画面の向こうへつながる一本の糸を頼りに、何度でも極楽を訪れようとする男の転生譚を通して、推し活の甘やかな歓びと、その裏で背負う八苦の相、愛別離苦、求不得苦を静かに考察します。
あとがき 本作は、ある体験と、とある店舗への口コミ稿から生まれたフィクションです。心のままに綴った一篇は、「体験談としての具体性を欠く」として一度は埋もれかけましたが、今、ここに静かな居場所を得ました。 登場する名称や人物像は、極楽界シティヘブン省という並行世界の物語として綴ったものであり、実在のサービス・店舗・人物を特定したり、その評価を行うことを目的とするものではありません。 一人の推し民の小さな転生譚として読んでいただければ幸いです。