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⭐️第9話 母の日
自室の壁に飾ってある昔の写真。今ではすっかり色褪せちゃってる。
15年くらい前の私、シオラ、お父様、お母様…。
この写真に写ってる人の中で|現在《いま》も生きてるのは、
私しかいない。
魔界の街の外れ、そこにはある程度の大きさの墓地があった。立ち並ぶ墓石や十字架の間を抜け、私はここにある中で一番大きな墓石の前で止まった。
あの事故で死んじゃった3人のお墓。
現場で見つかったのは、お父様とシオラの無惨な姿。でも…
お母様だけは、どれだけ探しても見つからなかった。
「お母様……」
このお墓の下にお母様は埋まって無い。けど、やっぱりお母様の魂はここにいる気がして…
『ほんと嫌なやつよね』
心の中で静かに囁く声。私がお城に帰ってから、シオラはずっと私に憑いている。
「…嫌なやつって?」
『あの黒髪のやつ。あいつがお母様の遺体を事故現場から持ち去ったの。私、ちゃんと見てた』
「えっ?」
持ち去った…?何のために?
『何のため…って…そんなの知るわけないでしょう?』
「そう…だよね…」
『…お姉様…』
「? どうかした?」
『…ーー……』
その時シオラは、何かを言ったように見えた。けど、なんて言ったかは分からなかった。
…え、待って、黒髪?
「…その、遺体を持ち去って行った人の特徴って、詳しく覚えてる?」
『特徴、ね……。黒色の短めの髪で、桃色の瞳をしていたわ。背は高めで、男性…だと思う」
「そっか……」
…少し前に黒い髪に、ピンク色の瞳をした男性を見たことがある気がする。
『…少し、疲れた。じゃあね』
「えぇ、ありがとう、シオラ」
急に、心の中の声が「無」になる。電話が切れるような、そんな感じ。
「黒髪…」
…あれ?
黄河くんって…髪の色黒くなかった?
…でも…今25歳だから…事件が起きたとき、彼はまだたったの10歳…。背もそんなに高くないはず…。
……いや、彼なら外見くらいはいくらでも……。
……あぁぁっ!もうわかんなくなってきた!このことを考えるのはやめよ……。
持ってきた花束をお墓にお供えして、私はその場を去った。