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夢追少女
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闘強少女道璃夢 1
夢追少女
☆
BLIZZARD・ANGLE
ブリザード・エンジェル
☆
ボクの名前は、ユキ。
ボクは、女子、少女、17歳の女だ!
そして、あだ名は、子供の頃から、妖怪、バケモノ、雪女。
なんでかと言うと、見た目、見たまんまを表してそう呼ばれた。
先ずは、肌が白い、しかも透き通る程に白い、さらに髪色が白い、産まれた時から白髪でサラサラストレート。
極めつけが、オッドアイ、右の目が鳶色、左の目が青色なのだ。
我ながらそりゃ妖怪だわなって思ったものだ。
当然のように社会はボクが溶け込む事を拒んできた。
ただ見た目の妖怪度合いが凄すぎるのかちょっかいを出す勇気も無いのか肉体的なイジメには合わなかった。
無視シカトいない者扱いは小学生の六年間と中学生の三年間は当たり前で教師ですら関わりたがらないでいた。
もっと言えば親でさえ、両親揃ってボクの扱いに匙を投げて構うことさえ鬱陶しがっていた、たぶん今も鬱陶しいと思っているだろう。
0、0001パーセントも有るか無いかの確率で生まれきたボクに戸惑いながらも一応可愛がろうと色々誤魔化したり隠したりして育ててくれた。
ただそれも、ボクが3歳まで、4歳になると妹が生まれ、その瞬間から家族、家の中でもボクはいない者、見えない者となった。
妹の名は、カレン。
カレンは、健康な肌色で両目とも黒くフサフサの黒髪だったからね。
両親は、ボクの存在を社会から隠すため幼稚園には通わせなかった。
6歳になると小学生、ここからは義務教育だからとりあえず入学式の次の日から学校へ連れて行ってくれて、後はボク任せ、不登校になろうが関わりもしない。
13歳からの中学生も義務教育だからとりあえず入学式の次の日から学校へ連れて行ってくれたて後はボク任せだった。
家族の中でもいない者になった4歳から小学校も不登校だからずっとひとりで家にいた。
でもある日、転機がきた。
10歳のある日の夜だった。
その日の夜は両親と妹カレンは一泊二日の旅行に出ていた。
夜のテレビなんて見たこともなかったが、その夜に何故か好奇心がおこりテレビのスイッチを入れてみた。
ボクの目に飛び込んできた鮮烈!
テレビ画面の中でキラキラと激しく躍動する少女達、華やかなコスチュームで、走る飛ぶ、ぶつかる吹っ飛ぶ、倒れる倒れても倒れても立ち上がりまた走る飛ぶぶつかる吹っ飛ぶ。
『宇宙一煌めく女子プロレス!』
その素敵さに感動した、そして虜になった。女子プロレスを知ろうと我を忘れた。
11歳12歳は女子プロレスを知ることに日々を費やした。
13歳時に中学校を卒業すれば義務教育が終わる、終わればボクも自由になれる。
自由になれば女子プロレスの世界、プロレスラーになれると思った。
それならボクも女子プロレスラーになりたい。なるにはどうすればいいか?
ボクなりの思考回路で思案したのがまずは運動能力向上と体力アップを目指す事だった。
昼間誰も居ない家の中で、基礎トレーニングから始めた。
腕立て伏せ、腹筋に背筋運動、スクワット、等々思いつくだけトレーニングをした。
夜間家族が寝静まると家を抜け出す、夜中ならボクの見た目を隠すためのフードもマスクもしなくても誰にも見られないからだ。
まずは思いつくだけランニングをする、ランニングを終えると家から少しだけ離れた公園に行くと鉄棒や砂場ででんぐり返しやジャンプキックのイメージトレーニングをする。もちろんそれが正解かどうかはわからなかったけど運動能力と体力は次第にアップしていった。
夜が明ける前に、家に帰りひと眠りして食事をする。
家族の中でいない者扱いでも母親は朝昼夜の食事だけは普通に与えてくれていた。
まぁ餓死とかされるは困るって思っていたのかもしれないのだろう。
女子プロレスラーになりたいための暗中模索我夢者羅無我夢中な日々は1年が経っていた。
いつものように夜中の公園ででんぐり返しやジャンプキックを繰り返し一息つくと傍らにあったベンチに腰を下ろすと無意識にうとうとした、ふっと気付くと日が昇りはじめ薄っすらと辺りを明るしていた。
その薄い明るさに人影を見た、黒色のスウェット上下に白色のスニーカーを履いてる。
人影は体を捻りながら膝を曲げ腕を前に後に振り戻し片足立ちから脚を前に横に後に伸ばし戻すと体の向きを変えまた同じ手順を繰り返している。
ボクはその人影の動きに見とれ時間を忘れた、さらに辺りはすっかり明るくなっていた。
明るくなって見えた人影は、ボクの父親よりも年上で祖父よりも年下に見える男の人だった。
男の人は、フゥーと息を吐き終えるとボクに向かって声を掛けてきた。
「おはようさん」
その言葉にボクは我に返り思わず返事を返した。
「おはようございます」
いつぶりだったろうか人と普通に挨拶するなんて。しかもボクの見た目にも何のリアクションする事もなくだった。
いない者扱いの者には家族すら挨拶しないのだから。
うん。と頷いた男の人はスッーと息を吸ってからゆっくりと息を吐き両脚を広げ腰を落とした。
ボクは自然に腰をあげ男の人に近づき声を掛けた。
「あの、何をしてるの?」
「形だね、東洋の武術にはだいたい形ってのが有って仮想の相手に稽古するんだ」
「仮想の相手って?」
「今風に言うなら、イメージトレーニングかな」
「へえ~ボクと同じってこと?でも…一人でイメトレばっかしてると誰かと向き合ってやりたいって思わない?」
「もちろん、相手と向き合ってする組手とか乱取りの稽古もする時もある」
「組手?乱取り?って?」
「今風に言うなら、スパーリングみたいなもんだな」
「へえ~ボクもスパーリングやってみたいなぁ。じゃあさ、ボクとスパーリングやってくれない?」
ほぉ~と男の人は目を丸くしてボクを見つめてきた。
「やれんのかい、お嬢ちゃん」
お、お嬢ちゃんって…
「ボクのなまえは、ユキだよ」
うん、と頷きながら男の人が答えてくれる。
「わしの呼び名は、ハリケンだ」
ハリケーン?なんだか不思議ななまえ…まぁいいか。
ボクは、ハリケーンさんに対峙するように立ち位置を変え向かい合うと両脚を広げ前に左足を踏み出し腰を落とし両腕を前に出しクラウチングスタイルで構えた。
「ほぉ~レスリングかい?」
ハリケーンさんが訊ねてくる。
すかさずボクが答える。
「プロレスだよ!」
うん、うん、と頷きながらハリケーンさんも腰を落とし両腕を前に出しクラウチングスタイルで構えた。
「うわ、プロレス出来るの?」
「見様見真似でな」
マジで?なんなんこのヒト…
お互いに向き合い、ファイト!
ハリケーンさんの掛け声を合図にボクはさらに大きく踏み出しロックアップを仕掛けた。
ザッシ!と衣擦れの音とともにハリケーンさんがロックアップで応えてくれる。
ングッ?動けない、不思議なことに前にも後ろにも左右にもびくともしない自分の体も相手の体もだ。
戸惑った瞬間、上半身の力が抜け前へとつんのめる、ハリケーンさんの体が視界から消えた、同時にボクの頭が締め付けられる。
ハリケーンさんがロックアップから体を入れ変えボクのサイドに移りヘッドロックに極めてきたのだった。
極められたヘッドロックにもがいてみるがびくともしない、瞬間体がふわっと浮きくるりと視界が回り地面に背中から落とされる。
ベッタと言うかバッタと言うかボクは自分の背中が地面に着いた感覚に全身の力が抜け落ちた。
ふわりとハリケーンさんが立ち上がりボクに向かって右手を差し出してくれた、その右手をボクも右手を差し出して掴まえた。
ひょいとボクの体が起こされ立ち上がる、ハリケーンさんはボクの背中をパンパンと払いなが言葉を掛けてくれた。
「ユキちゃん、何歳?」
「14」
「まだまだこれからだ、まずは体を作るんだ、食って寝てトレーニング食って寝てトレーニングの繰り返し」
「うん」
「背丈は、160はいるな、体重は、50以上であとはパワーアップしないと」
「うん、わかった」
そんなこんなの話しをして、また会うと約束して、すっかり明るくなった町中をマスクやフードで自分を隠しもせずボクは家に帰った。
ハリケーンさんとのスパーリングは週3回が自然に行われた、そして1年が経っていた。
いよいよ中学生義務教育も終わりに近づいてきた、ボクは『宇宙一煌めく女子プロレス』の団体への入門書を入手した。
ただ入門書には親の承諾が必要なのだ。
両親はボクの変化に気づいているのだろか?
相変わらず気にも止めず会話も無いけれど…
両親、家族としては唐突だったろう…
ボクは、女子プロレス団体の入門書と女子プロレスラーになる夢、覚悟、情熱を語り、産まれた時からの透き通る程に白い肌色と白髪と眼の色は変わらないが、しっかりと鍛えて、ウエイトアップしビルドアップされた体をボクを除いて一家団欒を演じている父に母に、妹カレンに提示し承諾のサインをもらった。
ボクは、中学校の卒業式が行われたその日の夜に女子プロレス団体のある首都圏へ向かい、時を得て入団テストを受け、合格を経て入団し練習生となった。
『宇宙一煌めく女子プロレス』の団体の練習生として、1年間は、あっと言う間に過ぎプロテストに合格しデビューが許さた。
デビュー戦が出来ると決まるとある大会のリングで観客、団体のファンへ紹介され挨拶をした。
この時、ボクは人生で初めて長袖にロングパンツのジャージを着ていたとわいえマスクやフードで白髪や白すぎる肌の顔を隠すこと無く大勢の人前に立ったのだった。
その日の夜にボクは、波利井拳(ハリケーン)さんに電話をした。
ハリケーンさんは我が事のように喜びある提案をしてくれた。
「なんかさ、キャッチフレーズがあると良いよね?」
「キャッチフレーズですか?」
「そうそう先輩達にもあるんじゃない?」
はぁ、確かに有るね~
「でも、自分から言うのも図々しくないですか?」
「あははは、じゃわしからひとつ提案はどうよ?」
マジで!?
「ぅわ〜おねがいします」
「おぅ、ほな、言うぞ、嵐のように激しいユキ。ってことで、ブリザード!とな、一目瞭然、神に選ばれたルックスは、天使、エンジェル!だな、で合わせて、ブリザード・エンジェル!なんてどうよ?」
ブ、ブリザード?エンジェル?
って言うか、神に選ばれたルックス……
ボクは、このハリケーンさんの言葉にじわりと涙が溢れ出した。
今までずっと、妖怪だとかバケモノだとか言われてた見た目を神に選ばれたルックスだなんて。
「いい〜いいです、これ、ブリザード・エンジェル!使わせてもらいます、ありがとうございます」
遂に、デビュー戦の日がやってきた。
透き通る様な白い肌を敢えてセールスポイントに純白にシルバーのキラメキをデコレーションしたリングシューズにコスチュームに身を包みバックステージで出番をまつ。
デビュー戦は、タッグマッチである、いつも練習のコーチングしてくれた先輩、マッスル・レディ!ミドリ先輩とのチームだ。
対戦相手チームもこの日、同じデビュー戦のひとりと先輩とのチームだった。
いよいよ出番がきた、会場に、マッスル・レディ、ミドリ先輩の入場テーマ曲が鳴り響く。
入場ゲートをくぐる、入場テーマ曲が耳に直に鳴り響く、入場花道にスポットライトが当たりレーザー光線が煌めく中を歓声に応えながら、進みリング、イン。
コーナに立ちリングアナウンサーの選手コールを待つあいだに会場の観客席を見回した。
何千人という観客がボク達を見ている。そんな中でも本部席の後に知った顔が見えた、妹のカレンと母親が座っていた。
特に残念では無いが父親の姿を見ることは無かった。
と、突然会場の照明が消え観客席の一点にスポットライトが当てられ場内アナウンスが始まった。
「ご来場の皆様、ビッグサプライズでございます、本日デビューの選手達への花束贈呈ため、東洋の神秘、グレート・ハリケーン選手の登場です」
うおお〜うおお!会場が観客が異様な雰囲気の盛り上がりになる。
会場に和楽器の音色の入場テーマ曲が鳴り響く、スポットライトの中にギラギラのジャケットを羽織った人影があらわれた。
そのギラギラの人影がリングに向かって右手を突き上げたポーズで歩んでくる。
ギラギラの人影がリングインすると会場の照明の明るさが戻り、赤と黒色の隈取りされたファントムマスクの顔がさらされた。
「グレート・ハリケーン選手より花束の贈呈です」
まず、花束を手にしたハリケーンが赤コーナーへ向かいデビュー選手に花束を手渡す。
続けて、青コーナーへ向かいデビュー選手である、ユキに花束を手渡すと右手を差し出した、ユキも反射的に右手を差し出して握り合った時、聞き覚えのある声が聞こえた。
「ユキちゃん、おめでとうさん」
えっ?まさか、ハリケーンさん?と思った時にはすでにハリケーンはリングを降りていた。
ボクは、感謝の気持ちにじわりと涙に滲む両目いちど閉じ改めて姿勢を整え気を引き締めた。
リングアナウンサーがリング中央に立ち高らかにコールした。
「青コーナー、本日デビュー戦、一目瞭然神に選ばれたルックス!ブリザード・エンジェル!ユキ、〜!」
うおお〜、ドドドッ!どよめきと歓迎を煽る足が踏み鳴らされた。
遂に来たんだ、遂に辿り着いた、遂に始まる、もう隠すことも誤魔化したりしなくても良いんだ!
ボクは、17歳、女子プロレスラーだ!!
宇宙一煌めく女子プロレスラーへのゴングが鳴り響いた。
カァーン!!
終り。